自己評価・他己評価とは？意味や特徴、違いを知って自己診断結果を活用する

性格や価値観の種類は様々ある

「自分にはどのような職業が向いているのだろう？」と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

自分自身の事について深く知ることは、そのような疑問を解決する第一歩となります。また、相手や周りの人間の事を知る事で、採用や良好な対人関係のコツがつかめます。

本記事では、ミツカリにおける「自己評価・他己評価」という軸について考察します。自分の価値観に合っている職業や仕事環境を探すことにおいて、自分が自己評価寄りなのか、他己評価寄りなのかを知ることは職選びの際や転職活動において、良い基準となります。それぞれの特徴を描写した後、それぞれの価値観に向いている職業や役職を紹介し、コミュニケーションや配属における注意点を紹介します。

適性検査や自己診断での「自己評価・他己評価」とは？

適性検査はもともと、人それぞれの特性の違いを、効率よく整理する為に開発されたものです。適性検査研究で最も盛んに行われている性格・価値観は、「人それぞれの違い」を説明する為に開発されました。したがって、どの性格・価値観が優っているかどうかと言う絶対的な判断基準は存在しません。優劣を付けない前提があってこそ、「それぞれに適した職業」や「自分に合ったコミュニケーションの取り方」と結びつける事が可能になります。

性格を適性検査で測る場合、大きく分けて「特性論」と「類型論」に分けられます。ミツカリが捉える性格・価値観とは、複数ある軸の上での自分の位置を測る「特性論」と言う理論に分類されます。

ミツカリは、いくつかの軸の上で性格・価値観を描写しますので、前者の「特性論」に当てはまります。「特性論」に基づく研究は、心理学研究の中でも最も古くから行われている研究の一つで、社会心理学や産業・組織心理学の応用により、性格と仕事のパフォーマンスや人間関係の向上などについて研究されています。

一方で類型論とは、血液型占いのように「あなたはO型」と一つのカテゴリーに当てはめて考える理論です。「特性論」は類型論とは異なり、より複雑で多様な描写を可能にします。

今回の記事では、ミツカリの「自己評価・他己評価」に焦点を当てます。自分がこの軸の上でどちら寄りなのか、またはどちらもバランスが取れているかを理解する事が、少しでも職業選択や対人関係に役立つ事ができれば幸いです。

ミツカリにおける他の項目については、該当する記事をご覧ください。

自己評価な人の特徴とは

自己評価とは、自分の意見や考えを明確に持ち、自分の中で正しいと思うことを大切にする価値観です。他人からの評価にはあまり流されずに、自分の中での価値基準の中で納得のいく仕事をしたいタイプです。

社会や組織が定めた目標よりも、自分なりに定めた目標に向かって頑張る方がモチベーションが高く保てます。明確な指示がなくても主体的に働くことに慣れています。

他己評価な人の特徴とは

他己評価とは、他者の客観的な視点を通じて自分の価値観を確認していくタイプです。他己評価の人は、周囲から認められることや、信頼や尊敬を得ることが大切だと考えます。

自分の属するチームの基準や社会の定める目標に向かって頑張りたいタイプです。他人のニーズを汲み取り、自分がそのニーズに答えることで満足感を得ます。明確な指示や評価基準があると、それを達成するために忠実に結果を出そうとします。

自己評価・他己評価の注意点について

「特性論」に基づくミツカリは、自己評価・他己評価のどちらか一方に特定するのではなく、あくまで連続値の上での相対的なスコアを算出します。つまり、自己評価と他己評価のちょうど真ん中に当たる「どちらとも言えない」バランスの取れた価値観になることも十分に起こりえます。誰しもどちらの側面を持ってはいるけれど、自分の置かれた状況に応じて、どちらの側面が強く出やすいかが人によって異なります。

価値観とは変わりうるもの

自己評価・他己評価のような価値観は人生のステージによって変わりえます。例えば、社会人経験の少ない新卒生にとっては、あまりキャリアの方向性が定まっていないために他己評価である可能性があります。

一方で、ある程度自分のキャリアを積んで、自分の本当にやりたいことがわかってきた中途採用者にとっては、自己評価寄りになるかもしれません。

実際に、ミツカリの社員受検者（年齢が紐付いている受検データ）を対象とした分析では、年齢の上昇とともに、自己評価の割合が増加することがわかっています。

自己評価・他己評価と職業適性の相性とは

自己評価・他己評価の人々には、どのような職業が向いているのでしょうか。

現代ほど複雑化した世の中では、多様な職業が存在します。それぞれの職業には、それぞれに特化した必要なスキルや能力がありますが、「自己評価・他己評価」にも適性の相性はあります。

心理学研究によると、性格によって向いている・向いていない職業をある程度予測することができるます。主に産業・組織心理学、社会心理学を中心に、性格検査を用いて人の様々な行動パターンを結びつく研究が多く行われてきました。

以前の心理学研究では「○○なタイプの人は××な職業を選んでいる傾向がある」と言うところまでしか分かっていませんでした。最新の心理学研究の結果から「性格と職業適性の相性」が仕事の活躍度を予測しうる事が分かってきました。

特筆すべきなのは、ドイツの研究グループによる、社会人の性格と「職業に適すると思われる性格」とのマッチを調べた大規模な研究です。研究結果によると、ある職業における「望ましいと思われる性格」と「実際の性格」との相性が良い人ほど年収が高い、と言う結果がでました。つまり、自分の性格に合っている職業を選んでいる人ほど、パフォーマンスが高いと言う事です。

この研究の結果は、自分のしたい事がまだ明確に決まっていない就活生や、現在の仕事が自分には合わないと感じている人にとっては大きな手掛かりになるのではないでしょうか。自分が何をしたいのか明確に決まっていない場合、まずは自分の性格や特徴を知る事で、ある程度自分のパフォーマンスを最大化できる職業を効率よく見つけ出す事ができます。

自己評価に向いている職業とは？

自己評価向きの人にとっては、裁量権を任され、自分の意見を反映しやすい職場が理想的です。さらに、自分のアイディアや、自分なりの頑張りが評価されるような評価制度が向いていると言えます。

他人にどう思われるのかは、さほど気にならないので、独立して働ける環境にも向いていると言えます。

そのような職業には、科学者、研究者、学者、研究開発、起業家、投資家、などが挙げられます。

他己評価に向いている職業とは？

他己評価向きの人にとっては、仕事に対しての評価とフィードバックを周囲からしっかりと得られる環境で実力を発揮しやすいです。既存の評価基準や、周りの期待に応えられるかどうかを評価の基準として見られる環境が適していると言えます。

仲間やクライエントのニーズに答えることにモチベーションを感じるので、人との関わりが多い環境にも向いていると言えます。

そのような職業には、看護師、医療事務、トレーナー、教師、医療ソーシャルワーカー、行政書士、広告宣伝、マーケター、経営コンサルタント、顧客サービス、などが候補に挙げられます。

コミュニケーション方法や職場の環境選びへの応用

今の自分が自己評価寄りなのか、他己評価よりなのかが分かれば、職業選びだけでなく、自分の置かれた環境での他人とのコミュニケーションの取り方にも生かすことができます。

例えば、自己評価の人にとっては、裁量権が与えられなかったり、指示やマニュアル通りで自分の意見を反映させづらい業務だとストレスを感じます。また、自己評価の人は、他己評価の人から見ると、自分の考えを重視するあまりに、客観的に自分を見ることができていない様に見えてしまうかもしれません。

他己評価の人は、良い仕事をしたと思っていても、周囲から褒められたり評価されない制度にストレスを感じます。目標や要望が曖昧であったり、自主的な行動を求められる環境や、自ら目標を探さなければならない業務にはストレスを感じます。また、他己評価の人は、自己評価の人からすると、周囲の評価を気にしすぎるがあまり、自主的な行動を疎かにしている様に見えます。

自己評価と他己評価は、互いに対照的であるが故に、同じチームや環境下に配属された場合には上手なコミュニケーションが必要になってきます。しかし、最初の前提で述べたとおり、本来、価値観の違いに優劣はありません。

お互いの長所と短所が見えやすい環境はあっても、あくまで同じ目標に向かっているのなら、そこに辿り着くまでの思考や手段のプロセスが違うのです。むしろ、対称的な価値観を理解して上手く対処できれば、お互いの短所を補完しあう関係性を築ける可能性もあります。

たとえお互いの思考プロセスが違っていたとしても、同じ目標を共有している事と、それぞれの違いをお互いに理解している状態が、ストレスをコミュニケーションに繋がります。違いが存在すること自体はそこまで問題ではなく、共通理解のない状態がトラブルの原因になります。また、違いを事前に把握していれば、配属などでトラブルを最小限に留めることができます。

このような観点から見ると、自分の「自己評価・他己評価」のスコアをまずは把握することが良質なコミュニケーションや配属の第一歩となります。また、配属の責任を任される人事担当者の方にとっては、社員のスコアを把握しておくことは実に有用な情報になります。

例えば、自己評価のスコアが高い人には、自発性の高い部署や、責任の思い部署に配属できます。他己評価のスコアが高い人には、周りからのフィードバックが正当に与えられる環境、期待や評価を明確に表示してくれる会社や部署が向いています。これらの戦略的な判断や人材配置も、適性検査などの客観的な指標を使って価値観を測ってみて初めて、意識的に行うことができます。

自己評価・他己評価と上手く付き合っていこう

性格・価値観にはそれぞれに優劣はなく、自分と他人との違いを上手く整理するために使えるものです。多くの適性検査をはじめ、ミツカリでは「特性論」という理論を使い、それぞれの軸の上で、人の性格や価値観の程度を計測し可視化します。今回紹介した「自己評価・他己評価」の特徴を理解する事で、自分に向いている職業を予測したり、ある程度参考にすることができます。

自己評価の人にとっては、意思表示をしたり、裁量権の多い部署や職業が向いています。他己評価の人にとっては、自分の頑張りが周囲から正当に評価されたり、評価制度が明確な環境が向いています。このように、自分に合った職業を探す際には、まずは適性検査を使って自分の性格や価値観を客観的に見つめ直してはどうでしょうか。

自分の価値観を深く知ることは、自分のやりたい事が決まっていない場合や、現職が自分に合わないと感じている転職者にとって、大きなきっかけになります。特に価値観などはキャリアの段階によって大きく変わりうるので、節目ごとに確認することをオススメします。

自分自身の性格や周りの人間の性格を知ることで、コミュニケーションの取り方や配属に生かすことができます。適性検査を通じて性格を知ることは、企業の人事担当者だけでなく、働くすべての労働者にとって効果的に活用できます。