仕事の価値観とは?種類や例を知って面接やマネジメントに活かす!

仕事において重要な価値観が存在する

人間を表す言葉として「性格」や「価値観」などがあります。ともに抽象的であり、混同して認識されがちな概念でありますが、厳密には異なる概念です。

心理学などの学術研究の分野では、性格とは「モノについて感じたり、考えたり、行動する時のモチベーションになる、ある一定の傾向や特徴」と定義されています。価値観とは「人生の様々な場面での自分の行動や意思決定などに影響を与える、自分自身の中で優先順位のつけることができる抽象的な概念」と定義されています。

価値観はある程度大人を指して使われることが多いです。価値観が形成されていない赤ちゃんの言動を表現する際に「人懐っこい性格」や「人見知りをしない性格」などと言われることはありますが「平和主義だ」「利己主義だ」などの価値観で表現することは、あまりないのではないでしょうか。

人間には様々な価値観があります。生活してきた環境や信念、生き方によって価値観は様々あります。普段の私生活で重要となる価値観(金銭感覚など)もあれば、仕事で重要となる価値観(挑戦志向)もあります。

仕事をする上でも、価値観の違いについて理解しておくことは重要です。上司から重要な仕事を頼まれた際にも「新しいことに挑戦できる!」と考える人もいれば「面倒なことを押し付けられた」と考える人もいます。価値観の違いを理解できていなければ、「上司や同僚との人間関係がうまくいかない」「上司や経営者の仕事の仕方が気に入らない」「社風に馴染めない」などのミスマッチを引き起こし、結果離職につながってしまいます。

ミスマッチの問題を採用の見極め段階で解決しようとしているのが「カルチャーフィット採用」です。カルチャーフィット採用は、近年HRテックと呼ばれる新分野で注目を浴びています。カルチャーフィット採用とは、職業スキルなどではなく、求職者と会社の双方向の「心理的な」要素のフィットを重視して採用を行う手法です。カルチャーフィットの有用性については、新卒採用、中途採用、人材配置のシーンで、近年注目が高まってきていると言えます。

心理的な要素として「性格」と「価値観」があります。性格は「ビッグファイブ理論」と言われる研究が非常に有名です。ビッグファイブ理論では、人の性格を5種類に分類し、各種類の程度によって人の性格を判別するものです。仕事をする上でも非常に重要ですが、仕事をする上で特有の性格(私生活に関わらない)などは挙げられていません。

今回は「仕事をする上で影響の大きい価値観」について、どのように価値観の要素を分けたら良いのか、カルチャーフィット採用をするための具体的なイメージを持って頂けるように、掘り下げて説明します。

仕事の価値観の性質とは

仕事における価値観は、個人が人生のどのステージに立っているかによって大きく変わりえます。例えば、就職を経験したことのない就活生と、既婚で子供ができたばかりの転職者がいたとします。両者にとってのキャリアの価値観とは、どのような違いが起こり得るでしょうか?

ミライセルフ独自のインタビューによると、妻子持ちの協力者においては「給与をシビアに考えざるを得ない」と言う声がありました。この意見は、ある程度自分のやりたい事を犠牲にしてでも、給与重視のキャリア志向に傾いている事を示唆しています。

一方で、妻子を養う責任のない就活生にとっては、給与はそこまでシビアな要素ではないかもしれません。まずはやりたい事をやる、又は自分に合ったキャリアを模索している段階であるかもしれません。もしくは就活生の中でも、やりたい事がないが故に、まずは給与の多さを重視して、後に仕事にやりがいを見出していく方法もあるかもしれません。

例のように人生の段階において、仕事の価値観は十分に変わり得る事がわかります。職務経験の有る無しは、一番分かりやすい基準であるでしょう。そしてタイミングによって左右されるこのような価値観は、多くある要素の中でも優先順位度が高いのではないでしょうか。

ミツカリの開発段階のヒアリング・インタビューの中で、仕事において様々な価値観がマッチングを行う上で重要である事が分かりました。

例えば、起業や新規事業に携わりながらも、事業が上手くいかなかった経験のある人は、着実に事業を進めていきたい傾向があるようでした。おそらく失敗の経験から挑戦する事のリスクを十分に理解する事ができたからだと考えられます。

職場の仲間とプライベートでも共有した方がモチベーションが上がる、と言うタイプの方もいました。一方で、そのようなウェットな職場は暑苦しい、と思う方もいました。

価値観の好みは、キャリアの段階によっても影響され、どの部署で働いた事があるかによっても、変わっていく可能性が示唆されました。つまり、生涯ある程度一定(もしくは緩やかに変化していく)性格とは違い、仕事の価値観は就労中という短い時間の中でも変わり得る可能性があります。

どのような価値観を重視しているのであれ、事前に確認をしておく事はカルチャーフィット採用を実行するにあたって、とても重要です。新卒採用と中途採用においても仕事の価値観が異なるのはもちろんのこと、中途採用であっても「どんな職場で、どんな経験を積んだのか」によっても仕事の価値観は異なります。「給与重視」と「公私混同」の価値観を比較した場合に、家庭があるから「給与重視」は譲れないであったり、一定の給与を水準を満たしているから「公私混同」は譲れないなどと、価値観の優先順位も人によって異なります。

キャリアの価値観を構成する上で重要な要素について

仕事の価値観は、その人が「人生のどのステージに立っているか」によって変わり、「譲れない価値観の優先順位」も違うことを説明しました。具体的に、事前にミスマッチをなくすために何ができるのでしょうか?

まずは仕事の価値観について、どのような価値観があるのかを知っておくことが大切です。価値観は漠然とした心理的要素であるため、全体像や詳細を掴みづらいのが難点です。明確な基準なしに、少ない面接時間でフィットを見極めるのは困難であるでしょう。

性格や価値観を知るために活用できるのが適性検査です。適性検査は「整理されて吟味された」要素を、その程度を数値化(可視化)してくれます。

当たり前ながら数値化(可視化)するだけでは意味がありません。数値化(可視化)するだけでミスマッチが事前に防げるのであれば、適性検査を導入している企業において「人間関係がうまくいかない」「社風に馴染めない」などの理由で離職が起こらないはずです。ミスマッチを事前に防ぐためには、適性検査の受検結果を活用する必要があります。

適性検査の受検結果の活用方法としては「求職者と採用側の双方向でズレが起きた時に、問題を生んでしまう大事な要素」を確認することが挙げられます。もし、ズレを事前にわかっていれば、入社後のミスマッチも最小限に止めることができます。

仮にカルチャーフィットを事前に確認しない状態で採用してしまうと、早期離職に繋がる可能性が十分にあります。「仕事における「価値観」を語るとき、必ず意見が別れる10のこと」という記事では、仕事でよくある衝突について価値観のズレという観点から考察しています。この記事には、ミツカリとの要素と重なる部分が多くあります。

ミツカリを開発するにあたり、独自のヒアリング・インタビューと、学術研究の理論に沿って、キャリアの選択において比べるべき重要な価値観を抽出しました。「人それぞれの価値観の中でも、合わないとストレスを感じたり、軋轢を産むような価値観は自分にとって何ですか?」と言うような質問を中心に、ヒアリング・インタビューを進めていきました。

ヒアリング・インタビューの内容をもとに、7つの要素と相反する14個の価値観を抽出しました。

  1. 理念重視・ビジネス重視
    「社会全体の利益を重視するのか」
    「自分の利益を重視するのか」
  2. 自己評価・他己評価
    「自分の中での評価基準を大切にして、納得したい」
    「他人の評価基準の中で、達成したい又は評価されたい」
  3. 過程重視・結果重視
    「アウトプットに行き着くまでの過程こそが大事だと思い、過程を含めて評価してもらいたい」
    「アウトプットこそが全てで、結果だけを重視したい」
  4. 専門追求型・組織貢献型
    「自分の専門性を生かして仕事をしたい」
    「組織全体に総合力で貢献したい」
  5. 仕事重視・プライベート重視
    「自分の生活の中で仕事を優先したい」
    「自分の生活の中でプライベートを優先したい」
  6. 給与重視・仕事内容重視
    「とにかく高い給与が欲しい」
    「仕事のやりがいを重視したい」
  7. 私仕混同・私仕分離
    「職場の同僚とプライベートを共有する事が大事だと考えている」
    「プライベートで仲良くすることはあまり意味がないと考えている」

ヒアリング・インタビューを通して、これらの要素が違っていたゆえに起こった様々なエピソードが聞く事が出来ました。

例えば、ウェットな職場の雰囲気(プライベート重視)とドライな職場の雰囲気(仕事重視)では、本人の好みによって本音が言いづらくなるケースが生じたりします。

スタートアップなどの中小企業では「専門追求型」が求められているのに対し、大企業では「組織貢献型」が社員に求められている点で大きく異なっていることもありました。(あくまで傾向ですので、すべての中小企業が「専門追求型」であるわけではありません。)仮説として、スタートアップや中小企業は少人数規模であるがゆえ、新人教育や研修に予算がかけられないために、即戦力を求める背景があることが考えられます。

価値観を考慮したマネジメントや採用をする際の注意点

価値観を考慮する際は、どの要素が「良い・悪い」という基準はなく、あくまで個人と組織が置かれた状況によって相対的に「合う・合わない」が決まることを認識することが重要です。どの要素にも個人差・組織差が生まれるため、ギャップが生じるという事です。

キャリアの段階や、どのポジションを求めているかによって、これらの価値観の優先順位は個人の間、組織の間でも変動します。入社前だけでなく、入社後にも、定期的な擦り合わせを実施することをオススメします。

ミスマッチを入社前・入社後で防ぐために

入社後のミスマッチが原因で起こる損失を防ぐには、事前にすり合わせを行う事で、ある程度軽減できます。特に、明確なビジョンをもつ求職者と、そのような人物を強く求める傾向の強い中途採用においては、キャリアの価値観を確認しておくことは非常に重要なのではないでしょうか。(スタートアップにおける中途採用の注意点については、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社様の「現役CFOがエンジニアに贈る「失敗しない!スタートアップ企業への転職(前篇)」」「現役CFOがエンジニアに贈る「失敗しない!スタートアップ企業への転職(後篇)」」をご覧ください。)

ミスマッチを防ぐためには、面接より前に適性検査の受検結果を確認しておくことと、自社の社員はどのような価値観を持っているのかを事前に把握しておくことが重要です。実際の面接の場では、お互いの価値観のすり合わせを行うことが重要です。

面接でのすり合わせの際に押さえておきたいポイントは「どの要素が今一番重要なのか?」「どの部分なら、妥協できるのか?」を明確にすることです。

当然ながら、全ての要素で完全同意するケースは稀でしょう。むしろ、違いを明確にし、優先順位を事前に確認しておくことが、良いマッチングになります。

ミツカリは、求職者・自社の社員の仕事の価値観を数値化(可視化)はもちろんのこと、「重大なミスマッチを引き起こす価値観」や「面接の場で確認すべき質問」など、採用面接でミスマッチを防ぐための「面接用シート機能」があります。特に採用コストが高い中途採用において、事前のマッチングを確認しておくことは特に重要であると考えます。

採用面接だけでなく、入社後におかれた役職や人生のタイミングによっても、価値観の優先順位が変わる可能性があります。入社時に受けた適性検査の結果を何年も使うのではなく、定期的なすり合わせを行う必要があります。定期的なすり合わせを行っていれば、例えば、入社後の結婚や出産といったイベントに備えて、価値観の変化を確認することができます。この場合、入社時や昔のデータが手元にあれば、相手の状況を組み込んだより深いカウンセリングが可能になるでしょう。

仕事の価値観を定期的に確認しよう!

仕事の価値観は、早期離職を引き起こす可能性のある価値観です。価値観という抽象的な概念ながら、その人が「人生のどのステージに立っているか」や「譲れない価値観の優先順位」によって変化するため、非常に掴みづらい概念です。

価値観を把握するためには適性検査が有効です。適性検査は「人がどのような性格・価値観を持っているのか」を目的として作られたものであり、「優秀なのかそうでないのか」を判定するために作られたものではありません。精錬された適性検査であればあるほど、その精度は高まります。

採用適性検査であれば「仕事の価値観」に特化した把握が可能になるでしょう。当然のことながら受検してもらうだけでなく、受検結果を活用し、求職者と社員の価値観のすり合わせを行うことが重要です。

入社前はもちろんのこと、入社後にも定期的に「仕事の価値観」を確認してすり合わせを行うことが大切です。変わったあとの価値観に気がつくことができれば、より深いマッチングやマネジメントが可能になるのです。

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    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

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