従業員の性格・価値観をマネジメントに活かそう!
「価値観や人柄重視で採用したいけど、どうしたら良いのだろう?」「採用者をどのように配属すれば良いのだろう?」 と、人事担当者の方ならば一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
そんな時に役に立つのが「カルチャーフィット採用」と呼ばれる方法です。人には他人との相性がありますが、その相性を考える上で見るべき要素は「性格」や「価値観」といった概念です。
カルチャーフィット採用とは、一般的によく見られるスキルではなく、性格や価値観といった「人の性質」での相性を考える採用・配属・マネジメントの仕方です。カルチャーフィット採用は、近年注目されており、離職率を下げたりする利点があります。
本記事では、ミツカリにおける「私仕混同・私仕分離」という項目に絞って、カルチャーフィット採用で有効となる箇所を紹介します。「私仕混同・私仕分離」という基準をしっかり理解することは、カルチャーフィットを考慮した採用・配属・マネジメントを考える上で非常に重要になってきます。
スキルなどは入社後でも訓練して養成することが可能ですが、性格や価値観を変えることは容易ではありませんし、変えていく段階でトラブルを引き起こしかねません。採用段階では変わりにくい「性格」や「価値観」を見極めて、「スキル」は入社後の研修などで伸ばすという考え方が、売り手市場における人材確保では重要です。
ミツカリにおける他の項目については、該当する記事をご覧ください。
- 外向型・自問型
- 論理型・想い重視
- 共感型・主観型
- 協調型・競争型
- 冷静型・情熱型
- 楽観型・慎重型
- 自己評価・他己評価
- 理念重視・ビジネス重視
- 過程重視・結果重視
- 専門追求型・組織貢献型
- 着実志向・挑戦志向
- 仕事重視・プライベート
- 給与重視・仕事内容重視
- 私仕混同・私仕分離(この記事です)
そもそも適性検査で何が測れるの?
適性検査はもともと、人それぞれの特性の違いを、効率よく整理する為に開発されたものです。「どの性格・価値観が優れているのか」と言う判断基準は存在しません。
優劣を付けない前提があってこそ「それぞれに適した職業」や「自分に合った組織風土」と結びつける事が可能になります。近年では、社会心理学や産業・組織心理学の応用により、性格や価値観を基盤にしたカルチャーフィットの効用について研究されています。多くの研究によると、カルチャーフィットが高いと離職率が低かったり、業務満足感が高くなるなどといった事が明らかになっています。
本記事では、ミツカリの「私仕混同・私仕分離」に焦点を当てます。候補者、採用者、また社員がこの項目の上でどちらに寄っているのかを知る事ができれば、少しでもカルチャーフィット採用や入社後の対人関係に役立てる事ができます。
私仕混同な人の特徴
私仕混同の人は、仕事仲間、上司や部下と、プライベートを共有しても構わないタイプです。プライベートを一緒に過ごしたり、自分の深い部分を共有する事で、親近感をモチベーションに変えたいタイプです。会社の人間同士が、お互いのプライベートの部分まで知り合い、家族のような状態が組織にとって良いと感じています。
プライベートの時間でも、仕事に繋がる情報やアイディアがあれば反応し、逆に仕事中にプライベートな話題で盛り上がる事にも楽しみを感じます。私仕混同な人は、俗に言うウェットな会社(飲み会やイベントが多く、多くの行事を通して帰属意識を高めるような風土のある会社)に肌が合います。
私仕分離な人の特徴
私仕分離の人は、自分のプライベートを職場の同僚、上司や部下とあまり共有したくないタイプです。プライベートと仕事はきちんと区別した方が、メリハリが出てより仕事に集中できると考えます。職場の人間同士がお互いに深く関わらずとも、プライベートはお互いに好きな事をし、やるべき仕事は一緒にきちんとこなすようなプロフェショナル集団に憧れます。
職場で私生活の話をして無駄に残業が増えたり、逆にプライベートに必要以上に仕事が入り込んでしまい、しっかりと休めなくなるのは避けたいタイプです。私仕分離の人は、俗に言うドライな会社(飲み会や会社イベントが少なく、業務というやるべき明確な仕事が与えられているような風土の会社)が肌に合います。
ミツカリを解釈する上での注意点
ミツカリにおいて重要な点は、私仕混同・私仕分離のどちらか一方に断定的に決まるのではなくて、ミツカリはあくまで連続値の上での相対的な位置を測っていると言う点です。つまり、ちょうど真ん中くらいに当たる「どちらとも言える」バランスの取れた状態も十分にありえます。
カルチャーフィット採用での応用方法とは
現代ほど複雑化した世の中では、多様な会社や組織が存在します。そしてそれぞれの会社には、それぞれ違った規模、ビジネスモデルがあり、また、異なる価値観や志を持つ人間が集まっています。そのような要因によって、それぞれの組織風土というものに違いが生まれます。
カルチャーフィット採用とは、入社後に社員を教育して理念を教えるのではなく、既に近い価値観を持つ人材を積極的に採用していく方法です。カルチャーフィット採用の方が、伝統的な従来の採用方法に比べて、教育に時間やコストを掛けずに済み、効率的に組織の生産性を上げる事ができます。
カルチャーフィット採用で「私仕混同・私仕分離」といった具体的な基準があれば、組織風土を明文化することで、母集団形成や人材要件定義の段階で役に立ちます。組織風土を明文化できれば、具体的な職場環境や施策の違いについて言及することも有効です。
組織文化と具体的な評価方法や仕事の仕方の繋がりが見えると、求職者としては入社してからの自分がより一層想像しやすくなります。このように、組織全体として一番強く出ている項目がわかれば、カルチャーフィットが分かりやすい求人票を作成したり、採用フローの初期段階で自社のブランディングに生かす事ができます。
ミツカリ(人事担当者向け)を使えば、このような採用計画立案時でのカルチャーフィット採用を効率化する事ができます。
私仕混同の多い組織風土
自社に私仕混同の社員が多いのであれば、組織風土は「仕事仲間と公私ともに仲良くなれる風土」と言えます。
職場環境や施策の違いについては、勤務時間以外で干渉する機会が少なく、社員同士が仕事だけに打ち込んでいる印象を与えます。
私仕分離の多い組織風土
自社に私仕分離の社員が多いのであれば、組織風土は「仕事と私生活の切り分けが明確な風土」と言えます。
職場環境や施策の違いについては、仕事の内容にやりがいを感じている社員が多く、さらにそのようなモチベーションを引き出す制度が整っている場合が考えられます。
カルチャーフィット配属への応用方法とは
採用の次に人事担当者が直面する問題が、配属の問題です。カルチャーフィットを重視した配属において、押さえておきたいポイントは2点あります。それは、①職務の性質と②部署ごとの相性です。
私仕混同の職務適性について
「私仕混同」の社員を配属するとしたら、社員とのコミュニケーションが多く、勤務時間以外での付き合いが、仕事の成果や社内での過ごしやすさに繋がりうるような職務や職場環境が望ましいです。仕事とは関係のない場面でのコミュニケーションも、信頼に繋がるような職務や部署が向いています。
私仕分離の職務適性について
「私仕分離」の社員を配属するとしたら、業務に関係のある事だけに集中できる職場環境が適しています。社員とのコミュニケーションの内容よりも、成果がしっかり問われる評価制度が望ましいでしょう。また、定時に帰宅できたり、決められた勤務時間以上の事が求められない働き方が適しています。
部署ごとの相性について
「私仕混同・私仕分離」の項目を配属に応用する上で考えたいのは、どこの部署に、近しい人間が集まっているのかを調べて見ることです。このような配属は、異なる性格の者同士が同じ組織に集まると、誤解やストレスを生みやすいという前提から成り立っています。
特に「私仕混同・私仕分離」の価値観は、社内でのコミュニケーションの取り方に関わってくるので、価値観の異なるメンバーが混在してしまうと、ストレスやモチベーション低下の原因になります。このような理由から、採用や部署配置の時点で、個人の価値観と、組織風土の価値観を事前に擦り合わせておく必要があります。私仕混同・私仕分離は、互いに対照的であるが故に、同じチームで混ざり合ってしまった場合には、上手なコミュニケーションが必要になってきます。
しかし、最初の前提で述べたとおり、本来、価値観の違いに優劣はありません。特に給与重視・仕事内容重視の価値観の違いは、個人の好みに大きく依存します。したがって、違いが存在すること自体はそこまで問題ではなく、共通理解や事前の擦り合わせがないままの採用や配属こそがトラブルの原因になります。自分と企業の違いを事前に把握していれば、採用や配属でのトラブルを最小限に留めることができます。
私仕混同の人視点でのミスマッチとは
私仕混同の人にとって、私仕分離の人はノリが悪くチームの大切さを軽視しているように見えてしまいます。
私仕分離の人視点でのミスマッチとは
私仕分離の人にとって、私仕混同の人は仕事とは関係のない部分に労力をかけている効率の悪い人に映ってしまいます。
人材マネジメントへの応用方法とは
ミツカリで測る事ができる性格を使って応用できるもう一つの領域が、人材マネジメントです。
自社のハイパフォーマー分析をすることで、ハイパフォーマーに共通する性質を見つける事ができます。もし、ハイパフォーマー達の間で、スキルではない部分での共有点を見つける事ができれば、採用計画立案において有力な情報になります。なぜなら、既にハイパフォーマーに成りうる潜在的な性質をもつ人材を採用の段階で探す事ができると、入社後にスキルを教育するリスクとコストを抑える事ができるからです。
部署ごとのハイパフォーマー分析も有効です。必要な業務内容と私仕混同・私仕分離の関係性についてより掘り下げる事ができれば、自社のビジネスモデルにはどのような人が向いているのかが、よりクリアーになります。
ある部署の中で私仕混同の人がハイパフォーマーであるとすれば、その業務をこなす為には、勤務時間の外での人付き合いが成功の鍵である可能性が分かります。まずは私仕混同の性質と、その業務の成果との関係性を導き出してから、私仕混同の社員に共通するスキルを逆算するのも効果的です。
私仕分離の人がハイパフォーマーであったなら、業務内容を超えた人付き合いはそこまで重要ではないのかもしれません。そこからさらに、私仕分離の社員に共通する具体的なスキルを探しましょう。このように、自社にとってのトップパフォーマー分析をする事で、人材要件定義をさらに明確にする事ができます。
ミツカリの「私仕混同・私仕分離」の特徴を理解すれば、それを手がかりに、採用・配属・人材マネジメントなどの領域で、戦略的な人事に繋がります。
私仕混同・私仕分離を人事業務に活かしてみよう!
性格・価値観にはそれぞれに優劣はなく、自分と他人との違いを上手く整理するために使えるものです。
多くの適性検査をはじめ、ミツカリでは、人の性格や価値観の程度を計測し、可視化します。本記事で紹介した「私仕混同・私仕分離」の特徴を理解する事で、より戦略的な採用に落としこむ事ができます。そのためにはまず、求職者、候補者、また社員の性格を正しく理解することは、カルチャーフィット採用を行う上での第一歩になります。
採用段階では、カルチャーフィットを強調した人材要件定義や求人票を作る事に役立ちます。配属においては、それぞれの部署や職務との相性を比べることで、パフォーマンスを最大化し、ストレスを最小化する人材配置が可能になります。人材マネジメントにおいては、自社のハイパフォーマーの共通する性質の程度を知ることで、より潜在的な要素に着目した人材要件定義や採用ができます。
ミツカリにおける他の項目については、該当する記事をご覧ください。
- 外向型・自問型
- 論理型・想い重視
- 共感型・主観型
- 協調型・競争型
- 冷静型・情熱型
- 楽観型・慎重型
- 自己評価・他己評価
- 理念重視・ビジネス重視
- 過程重視・結果重視
- 専門追求型・組織貢献型
- 着実志向・挑戦志向
- 仕事重視・プライベート
- 給与重視・仕事内容重視
- 私仕混同・私仕分離(この記事です)