リーダーシップ論とは?リーダーシップ理論の歴史や研究動向について

リーダーシップにも「理論」がある!

多くの企業が「リーダーシップがある人材」を求めています。リーダーシップは組織の運営を行う上で、組織の理念・概念など抽象化した行動指針を立て、組織内外を常に俯瞰的にみながらプロジェクトを引っ張っていくのに必要な能力です。

リーダーシップを持つ人材が活躍すると業績が上がるだけではなく、同じ組織のメンバーも鼓舞されて生産効率が上がったり、絶大な信頼関係を構築して人材流出の防止にもつながります。

リーダーシップは何も管理職や経営者だけに求められるものではありません。組織人としての意識を持ちながらも、構成員がそれぞれに自立的に業務を行うことが「良い組織」を作るためには大きな命題となっており、それゆえに「リーダーシップがある人材」は重宝されているのです。

「リーダーシップ」は、古くから学問として研究されてきた歴史があります。リーダーシップの理論は古く、紀元前から着目されており、ソクラテスや孔子などの言葉は、現代でも信念として参考にしている人も多くいます。現代のリーダーシップ理論は1900年代から研究されています。組織を率いる力であるリーダーシップは、時代背景に併せて変化してきたのですが、今回はリーダーシップ論の歴史や変化してきた理由、各リーダーシップ論の概要について説明します。

現代のリーダーシップ理論とは?

リーダーシップは社会的な背景や、その時代に生きる人の価値観、仕事で求められる能力などによって、最適であるリーダーシップが変化してきました。現代のリーダーシップ論の中でも古典的と言われる「特性理論」、派生した「行動理論」「条件適合理論」「コンセプト理論」の主流となった4つの理論について、順を追って説明します。

特性理論(〜1940年代)

リーダーシップ理論の中でもっとも古典的と言われるのが特性理論です。

特性理論を一言で説明するならば「リーダーとしての資質を先天的な『特性』と捉える」ことを基礎にした理論であり、生まれ持った先天的な才能を用いてリーダーに適している人物像・適していない人物像を区別する研究が盛んに行われました。

特性理論では、リーダーシップを発揮できる人材の精査で主要な判断ポイントになるのは以下の項目です。

  • 知性:学識や判断力、創造性などの知的営みの能力が高い。
  • 行動力:判断力、協調性、社交性、適応力など状況に応じた行動の的確さ。達成志向、根気、忍耐などの最後までやり遂げる力がある。
  • 信頼感:自信、責任感に溢れメンバーとの関係性を構築できる。

しかしながら、より精密に「優秀なリーダーとは何か?」を研究する過程で、生まれ持った才能だけで説明することができませんでした。特性理論は「生まれ持った才能だけで優秀なリーダーとはならない」すなわち「優秀なリーダーを決める要因は才能以外の影響が大きい」ことが明らかになりました。

「才能以外の影響」を特定するために、リーダーシップ研究は「行動理論」に移行していきました。

行動理論(1940年代〜1960年代)

特性理論をアップデートしたものとして登場したのが行動理論です。「優秀なリーダーを決める要因」を特定するために、「優秀なリーダーが取る行動」に着目して、要因を逆算しようという試みです。

特性理論ではざっくりと「リーダーか非リーダーか」の区別にとどまりましたが、行動理論では「リーダーのタイプ」の分類まで守備範囲としたのです。

行動理論で特に有名なのが、三隅二不二(みすみじゅうじ)により提唱された「PM理論」です。PM理論では「課題達成機能(Performance)」と「人間関係・集団維持機能(Maintenance)」の2軸をとり、それぞれの○×を考察することで素朴に人材を4タイプに分類するというものです。

PM理論を含む行動理論は今でも活用されてはいますが、「優秀なリーダーの能力を誰でも身につけられるようにするにはどうしたらいいか?」という問題が課題として残りました。つまり「優秀なリーダーの真似をしていればその能力が身につく」というわけではなかったのです。

「優秀なリーダーが、どの環境においても優秀なリーダーになるとは言えない」ことも課題として挙げられました。前職で優秀なリーダーシップを発揮していたとしても、自社で優秀なリーダーシップを発揮できるとは限らないということです。リーダーを取り巻くビジネス環境や部下の人数やスキルなどによって、優秀なリーダーになる要因が変わるのではないかという仮説が生まれ、「条件適合理論」に移行していきました。

条件適合理論(1960年代〜1980年代)

条件適合理論は、リーダーはどのような状況においてどのような行動を取るのが効果的なのかを研究した理論です。行動理論に比べてフレキシブルな性質を持っています。リーダーシップのありかたは一様ではなく、状況や構成員の性質に合わせて変えていく必要があるという点に着目しているのが大きな特徴です。

代表的な条件適合理論として挙げられるのが、R.ハウスによって提唱された「パス・ゴール理論」です。パス・ゴール理論はリーダーを取り巻く状況をタスク構造・権限体系・ワークグループなどの「環境要因」と、構成員の自制心・経験・能力などの「部下の要因」が、リーダーに対してどのような影響を与えうるかをモデル化したものです。現代でも通用する理論となっており、リーダーシップ研修などで用いられることもあります。

条件適合理論によって、リーダーは自分を取り巻く環境によって行動を変える必要があること、常に優秀である普遍的なリーダーが存在しないことが明らかになりました。優秀なリーダーを雇ったとしても、会社の発展段階が変われば、優秀なリーダーでなくなる可能性があることを示唆しており、常に優秀なリーダーであるためには環境によって行動を変えられることが求められます。

コンセプト理論(1980年代〜)

現代のリーダーシップ論として主流となっているのが「コンセプト理論」です。条件適合理論を元に、具体的なビジネスシーンを想定して「適材適所のリーダーシップ」が詳細に研究されています。

具体的なビジネスシーンとしては、会社が経営危機に陥ったとき、人間関係やモチベーションが重要だとされるとき、メンバーの自主性を重視して意見や情報を引き出したいときなどがあります。条件適合理論であるパスゴール理論が「環境要因」と「部下の要因」の2つに分類していたのに対し、より詳細な条件、特殊な状況が想定されています。

現代のリーダーシップ論の大きな課題は、こうした時代の変化への対応とも言えます。高度経済成長期にはモノを作れば売れたため、上司が指示を行い部下が従う形が望まれましたが、現代ではロボットや人工知能の発達により単純作業が置き換えられていきます。

だからこそ、部下は従う一方でなく、構成員の一人としてもリーダーシップを発揮して新たな発想などが求められるようになりました。そして上司は部下の自由な発想を引き出し評価する姿勢などが求められているのです。

時代に合わせた「リーダーシップ」を

現代のリーダーシップ研究は1900年代から始まり、様々な仮説が検証された結果、現在のリーダーシップ論(コンセプト理論)につながっています。

現代は市場のグローバル化やロボット・人工知能技術の発達などにより、人間や組織として求められている内容も変化しています。それに応じてリーダーシップ論も変化しているということを、まずは押さえておく必要があるでしょう。

ただしリーダーシップ論が変化したとしても、結局は人間の一対一のやり取りが基本になるため、まずは一対一の部分がスムーズにいっているかどうかなどを再確認するもの大切です。

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