マミートラックの改善方法とは?対策方法を知り、女性活躍推進に繋げる

マミートラックが問題になる背景とは?

日本では現在、政府が進める働き方改革の一環として、女性活躍推進が行われています。

厚生労働省の平成28年度の調査によると、育児休暇制度を導入する事業所は年々増加傾向にあり、日本企業全体に女性活躍推進の意識が広まっていることが分かります。

育児休業制度の規定あり事業所割合の推移
出典元『厚生労働省』「平成28年度雇用均等基本調査」の結果概要

育児休業制度は、従来では育児のために退職を余儀なくされていた女性にとって非常に嬉しい施策であり、女性活躍推進の観点から見ても効果の高い制度です。しかし育児休暇の期間が終わっても、子どもはまだまだ手のかかる時期であるため、職場に復帰した女性がすぐに元と同じ業務をこなすことは困難です。

育児明けの女性に向けた働き方を表す言葉として、マミートラックと呼ばれるキャリアコースがあります。マミートラックとは「子育てと仕事を両立する女性のために、業務の量や時間に配慮した働き方」を表す、1988年に生まれた言葉です。

マミートラックという言葉は本来ポジティブな意味でしたが、近頃では「育児休暇から復職しても短時間の雑務しか任されなくなり、昇進・昇格の道が閉ざされてしまう」という、ネガティブな意味の言葉として使われています。

NHKの調査によると、マミートラックの経験があるかという質問に対して27.8%があると回答しており、約4人に1人がマミートラックを経験しているという結果が出ています。

マミートラックの経験
出典元『NHKニュースおはよう日本』“マミートラック”働くママの落とし穴

育児休暇が女性のキャリアの妨げになることは、当事者である女性だけでなく、女性活躍推進を目指す企業としても望ましくない問題です。

今回の記事では、マミートラックによって起きる問題を改善する対策方法についてご紹介します。

マミートラックとは?問題を改善する方法とは?

マミートラックとは、子育てをしながら働く中で発生する制約が原因で、育休から復帰した女性が昇進やキャリアコースから離れることを意味する言葉です。

マミートラックという名前は、女性が昇進コースから外されて同じ場所をずっと回っているような状態が、陸上競技のトラックを走り続けるのと似ていることに由来して名付けられました。

マミートラックの意味や定義

マミートラックは、もともとは子育てと仕事を両立する女性のための働き方というポジティブな意味で生まれた言葉でしたが、近年では仕事と育児の両立を希望する女性が昇進やキャリアの道を閉ざされてしまうという、ネガティブな意味で使われるようになりました。

マミートラックは育児支援として効果的な施策であり、施策そのものが問題なわけではありません。育休期間が終わっても子どもはまだ1歳前後ですから、保育園の送迎や帰宅後の世話を考えると、育休明けの女性にいきなりフルタイム勤務や残業を求めるべきではないでしょう。

マミートラックが問題になる理由は、企業側の思い込みによる女性との意思疎通不足が原因です。子育ては大変だろうという気遣いから、女性の意思を確認せずに時短勤務や軽微な業務の部署への異動を決めてしまうと、女性が仕事と育児の両立を望んでいた場合はモチベーションの低下につながってしまいます。

女性のためであるはずのマミートラックが問題になってしまう背景には「育児は女性が行うものである」「女性は子どもを産んだら家庭を重視すべきである」という会社全体、ひいては日本全体に根強く残る無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)が大きな原因の一つとして存在しています。

マミートラックの問題を改善する対策方法とは?

マミートラックの問題を改善する対策方法は、大きく分けて3つあります。

  1. 育休明けの女性に聞き取りを行う
  2. テレワークを導入する
  3. 評価制度や昇進・昇格の基準を改める

1.育休明けの女性に聞き取りを行う

マミートラックの問題を改善する1つ目の方法は、育休明けの女性に聞き取りを行う方法です。単純な方法ではありますが、マミートラックを望むか望まないかは個人の価値観や家庭の事情などによって異なるため、個別に聞き取りを行うことは非常に重要です。

育児と家事の両立といっても「育児を優先したいが少しでも家計を助けたい」という人もいれば「育児は夫や両親に任せて自分はバリバリ働きたい」という人もいます。前者にとってのマミートラックは非常に助かる施策となりますが、後者にとってのマミートラックは理不尽な左遷となってしまいます。

マミートラックの問題を改善するためには、定期的な面談で現在の仕事の状況や子育て環境の状況の聞き取りを行い「何が仕事の障壁になっているか」「今後どのようなキャリアを築いていきたいか」を確認して、社員一人ひとりと向き合う姿勢が大切です。

2.テレワークを導入する

マミートラックの問題を改善する2つ目の方法は、テレワークを導入する方法です。子育て中は、子どもの発熱や保育園の都合などで予定外の休みを取らなければならないことが多くありますが、テレワークを活用すれば家から出られない日でも様々な業務が可能になります。

テレワーク環境があれば、自宅からでも会議の出席や大抵のPC業務がきるようになり、通勤時間の節約や時短勤務の実質的なフルタイム化が可能になります。テレワーク環境を整えることができれば、子どもの予定で休まなければいけない、迷惑をかけてしまうというマミートラックの心理的負担を軽減することができます。

テレワークの導入はマミートラック対策だけでなく、介護離職の防止や業務の効率化にも役立つため、従業員のプライベートの事情に合わせた働き方が可能になり多様な人材の獲得・活躍にもつながります。

3.評価制度や昇進・昇格の基準を改める

マミートラックの問題を改善する3つ目の方法は、評価制度や昇進・昇格の基準を改める方法です。滅私奉公の精神は日本全体に根強く残っており、成果にかかわらず労働時間の長さがそのまま評価に繋がっている企業が多くあります。

労働時間を重視した評価制度では、長時間労働できる女性のみがキャリア組のレールに乗ることができ、育児に時間を取られる女性は短時間で大きな成果を出したとしても評価されず、モチベーションの低下や退職につながります。

評価の基準を労働時間ベースではなく成果ベースにすることで、在宅勤務や時短勤務でも成果を出している人を評価できるようになるため、優秀な人材をマミートラックに閉じ込めてしまうことを防止できます。

育児と両立しながらの昇進やキャリアアップは大きな困難を伴いますが、困難を承知の上で昇進を目指すほどの強い上昇志向を持つ女性は、企業にとって大変貴重な人材です。評価制度や昇進・昇格の基準を刷新することは、マミートラックの改善だけでなく優秀な女性管理職候補の育成にもつながり、企業にとって大きなメリットがあります。

マミートラックの改善は企業の成長につながる!

マミートラックとは、子育てをしながら働く中で発生する制約が原因で、育休から復帰した女性が昇進やキャリアコースから離れることを意味する言葉です。

マミートラックは、もともとは子育てと仕事を両立する女性のための働き方というポジティブな意味で生まれた言葉でしたが、近年では仕事と育児の両立を希望する女性が昇進やキャリアの道を閉ざされてしまうという、ネガティブな意味で使われるようになりました。

マミートラックは育児支援としては効果的な施策であるため、マミートラックの問題を改善するためには、育休明けの女性がマミートラックを望んでいるのか、育児中・育児明けでも仕事を頑張りたいと思っているのかを個別に聞き取ることが大切です。

マミートラックを望まない女性のためにテレワークや新しい評価制度を導入することは、時間や手間はかかってしまいますが、職場環境の改善や優秀な人材の確保につながるため、長期的な視点での企業の成長にも大きく貢献するでしょう。

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