新入社員の配属先の決め方にカルチャーフィットを使ってみよう!

 配属先を決めることは非常に難しい業務

人事担当者が担う仕事の中でも配属という業務は、企業の将来や組織全体のパフォーマンスに関わる重要な業務の一つです。しかし配属の仕方で悩む人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

採用フローの後の新入社員の配属は人事担当者にとっては悩ましい業務の一つです。配属がなぜ難しいのかというと、部署人数、希望、相性、適性といった様々な要素を、複数人同時に考慮しなければいけないからです。

例えば、Aという部署が人手不足であるが、新入社員がBという部署を希望していたら、どのような決断をすべきでしょうか?Cという社員が、適切とは思われないDという部署を希望していたら、どうすればよいのでしょうか?

自分の希望とは違う部署に配属されたり、職業適性に合わない部署に配属されてしまっては、生産性の低下や早期離職に繋がる場合があります。配属は会社にとって大事な意思決定であるが故に、組織にかかるコストとリスクもその分高いのです。

本記事では、配属の負担を減らして効率を上げる一つの解決策として、カルチャーフィット配属を紹介します。近年の学術研究によると、性格と価値観といった心理的特性に着目すれば、配属後のミスマッチをなるべく軽減してストレスをなるべく抑える事ができる可能性が指摘されています。

カルチャーフィット配属とは「適材適所」を心理的な要素に着目して達成する配属です。リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、配属の適材適所に関して最も重視している点は「人間関係の良い職場で働けること」と答える一般社員(1位)や管理職(同率1位)の方が多いという調査結果があります。

適材適所のために重視しているもの
出典元『リクルートマネジメント ソリューションズ』職場での「適材適所」に関する実態調査

つまり、人間関係の適材適所を実現する上で、性格や価値観といった心理的特性に着目することは、配属における問題解決の近道と言えるでしょう。そこで本記事では、複雑で曖昧な「人間関係の良さ」を適性検査を使ってひも解き、カルチャーフィット配属の具体的な応用例を紹介します。

性格や価値観を使って、どのような研究がされてきたのかを説明し、実際の選考採用からカルチャーフィット配属の業務に落とし込むまでの例を紹介します。

カルチャーフィット採用ってなに?

カルチャーフィット採用とは、性格や価値観などの心理的特性における相性をもとに、人と組織の組み合わせを考える採用・配属方法です。

多くの企業や新卒社員が、お互いの「性格・人柄」のフィットや、職業適性のフィットを解明する方法を求めています。なぜなら、人間関係のミスマッチや、職業適性のミスマッチが早期離職の理由に繋がるからです。

就職後にミスマッチが明らかになってしまうと、心理的なストレスを与えるだけでなく、早期離職につながります。早期離職を防ぐためにも、解決策を知り、事前に対策を行うことが重要です。労働政策研究・研修機構の調査によると、早期離職につながった理由として「労働条件」「人間関係」「仕事内容」の3つのミスマッチが「給与や賃金」よりも多...

一般的な採用は、選考採用の段階でスキルなどの「見えやすい」側面に焦点を合わせ、会社の理念や組織風土は入社後の研修を通して教育するのが典型的です。一方で、すでに近しい価値観を持つ人材を選考採用の段階から積極的に探して行く方法が、カルチャーフィット採用です。

カルチャーフィット採用には様々なメリットがあります。一つは、事前に相性が良い人材を確保してしまうため、入社後の理念教育にかかるコストとリスクをなるべく抑えることができる点です。入社後3年以内の早期離職の最大の理由は「仕事が合わなかった・人間関係がよくなかった」が挙げられるので、社員の教育で早期離職を防止する方法には限界があります。むしろ、自社の風土に合いそうな人材を積極的に採用して行くことで、早期離職の可能性が低い人材を獲得する事に繋がります。

「自社に合いそうな人材」を定義することは、自社の組織風土を理解する手がかりになります。つまり、カルチャーフィット採用を実践していくと、人材要件定義の明確化と自社ブランディングに繋がります。

変わりにくい「性格」の相性をみるカルチャーフィット採用

カルチャーフィットの研究が始まった背景には、心理学における性格研究の発展があります。性格とは「生涯通してある程度一定であり、人の行動を特徴付けるもの」と定義されています。生涯に性格の変化を分析した研究もありますが、それは人生という非常に長いスパンでの緩やかな変化であり、入社後や転職の時期だけに急に変わるものではありません。つまり、入社してから無理に教育する必要のない特性の相性に着目して、採用を考えることは非常に理にかなっています。

野村総研の調査においても「やる気や性格など、養成が難しい部分を採用で見極めるて人材を獲得することは、非常に重要である」と説明されています。
(参考URL:コア人材の確保・定着のための戦略 -コア人材の視点から-

性格の種類をどのよう分類すれば、人と人(あるいは組織全体)との相性を比べることができるのでしょうか。性格の分類の仕方でもっとも有力なのは「ビッグファイヴ理論」と呼ばれるもので、この理論によると性格は次の5つに分類できると言います。

  • 開放性 ー 知的好奇心などの程度
  • 勤勉性 ー 自己統制力やまじめさの程度
  • 外向性 ー 社交性や活動性の程度
  • 調和性 ー 利他性や協調性の程度
  • 神経症傾向 ー ストレスに対する程度

5項目を軸に、ヒトの行動や傾向は整理されると考えられています。これらの項目に良い、悪い、と言う基準はなく、あくまでビッグファイヴ理論は人の行動を普遍的に整理する事を目的として発展して来ました。優劣のつかない整理のしやすい軸を使う事を前提として、初めて相性(カルチャーフィット)を計測することができます。

近年はビッグファイブ理論を使って、性格と職業適性や性格とカルチャーフィットに関する研究が数多く行われています。

職業適性で年収アップ!ビッグデータによるカルチャーフィット研究

ビッグファイブ理論を使った研究は、性格と組織の相性と定着率や生産性の影響を分析する「カルチャーフィット研究」から、性格と職業適性との関係を探る研究まで、仕事に関する領域で多くの研究が行われています。中でも特筆すべきは、性格と職業適性との間の相性と年収を調べたドイツによる研究です。

ドイツの研究グループは、約8000人を超える社会人の性格データと、それぞれの職業適性の関係性を分析しました。職業適性は、職業紹介業者による判断に基づいて、それぞれの職業に望ましいと思われる性格を、ビッグファイブになぞらえて算出しました。この研究は「それぞれの職業に適していると思われる性格と、実際に働いている人の性格と、そのギャップが収入にもたらす影響」について分析しています。

分析からわかったことは「職業適性と近い性格をもつ人ほど、年収に良い影響がある」と言うことでした。自分自身の性格が、その職業が要求する適性に近い人ほど、そうでない人に比べて年間で約3200ユーロ(約40万)の差がでる結果となりました。

高い開放性の求められる仕事は、舞台俳優、映像関係、エンターテインメント業界などがありました。このような仕事には、開放性の高い人物の方が高い給与を稼いでおり、逆に開放性の低い人物は、年収が低いという事になります。

開放性がそこまで必要のない仕事は、事務職や労務関係の業務でした。つまり、開放性の低い人物にとっては、事務職や労務関係の仕事をしていた方が年収が高い傾向があり、逆に開放性の高い人物は、事務職や労務関係を苦手としていたのです。

この研究は少なくとも2つの重要な事を示唆しています。

一つは、職業適性には絶対的な基準はなく、パフォーマンスを最大化するような性格の適材適所が存在する可能性があると言う事です。それぞれの職業には要求されるスキルや、他人との関わり合い方が違います。人を楽しませるエンターテインメント分野は、斬新な発想や高い開放性が求められます。事務や労務などの作業では、創造性は必要でなくとも、緻密で正確な情報処理が求められます。高い心理的負荷が要求される業務では、ストレス耐性の高い人物(神経症傾向の低い人物)がよりパフォーマンスを発揮します。これらの結果からは、性格に良し悪しはなく、あくまで職業適性の適材適所が存在する、と言う示唆が得られます。

もう一つの重要な示唆は「相性が高い人物ほど実際のパフォーマンスの指標となる年収が高い」と言う統計的な結果が得られたことです。相性の良い職業を選んでいる人ほど、なぜパフォーマンスが高いのでしょうか?具体的な理由はまだ解明されていないものの、様々な予測が立てられます。例えば自分に適した仕事を選んだ人は、他の人よりもやりがいを感じながら仕事をしている可能性があります。また、自分に適した仕事を選ぶことで「自分はできる」と言う自尊心が高まりやすいでしょう。これらの研究結果は、職業選びや配属の際に、カルチャーフィットがいかに大事かを裏付けるものになります。

「性格は変わりづらい」という前提に戻ると、入社後のトレーニングで変化を期待するよりも、いかに入社前に相性を考えるのが現実的で効果的なのかが分かります。

選考採用への応用

カルチャーフィットの定義とメリットをおさらいした所で、具体的な応用例を紹介します。人事担当者がカルチャーフィット採用でできることは、大まかに分けて①人材要件定義②求職者と相性のすり合わせの2つの段階に分けられます。

人材要件定義の段階

一つ目は、自社の組織文化を定義し可視化することです。求職者にカルチャーフィットを求めるには、まずは自社にはどのような人が集まっているのか、どのような組織風土があるのかを知ることが必須になります。

カルチャーの定義や求められる人物像は、自社がどのようなビジネスモデルなのかによって変わってくるでしょう。多くの社員に共通する性格などといった、より深い部分で共通する特徴もあります。キャリアの考え方や仕事への価値観など、カルチャーフィットを測れる軸は様々です。どの軸が自社を一番的確に描写できるのかを、まずは議論してみてはどうでしょうか。

ビジネスモデルと社員の価値観ともに、社会的な意義を大切にしている組織であれば「社会貢献度の高い企業です・強い社会的意義を持つメンバーが集まっている企業です」などとまとめることができます。

自社を表すカルチャーを定義することは、選考採用の初期段階におけるブランディングにも繋がります。

求職者と相性のすり合わせの段階

二つ目は、実際の採用選考の場面でカルチャーフィットを考える段階です。ここでは、自社の一番強く出ているカルチャーとの擦り合わせをします。自社が一番重要視している組織風土と大きくズレていた場合、入社後の起こりうるトラブルなどを具体的にイメージさせやすくしましょう。

配属への応用

採用後に人事担当者をさらに悩ます作業が配属です。特に新入社員の配属は、職務との適性だけでなく、既に部署にいる人間との相性、人数不足の兼ね合い、社員の希望なども考慮にいれなければならないため、折り合いをつけるのが非常に難しいです。

本記事では、その負担を少しでも減らすためのカルチャーフィット配属の仕方を紹介します。カルチャーフィット採用の考え方をそのまま配属に応用させたのが、カルチャーフィット配属です。

配属の意思決定は非常に複雑なため、いくつかの段階に分けて分析する事をオススメします。

第一段階は、部署ごとのハイパフォーマーとの相性を考えます。一般的に存在する職業適性はあるものの、求められるスキルや特性はそれぞれの企業や部署毎に違うはずです。自社のメンバーを部署ごとに分析し、各部署のトップパフォーマーに共通している要素はないかを特定します。部署ごとのトップパフォーマーの特性が異なるのであれば、配属をする際に優先順位をつけて考慮します。

第二段階では、一般的な職業適性を考えます。第一段階でどうしても相性が特定できない場合や、組織がそこまで細分化されていない組織の場合に応用できます。外向性が高い人物ほど営業職に向いていることが多くの研究から示唆されているので、積極的に外向性の高い人物を営業に配属しても良いでしょう。人事部には、協調性の高い人物、また経理部には勤勉性の高い人物が適しています。それぞれの職務に一般的に適したと言われている相性を考えます。

そして最後に考えたいのが、業務別によるストレスの度合いです。神経症傾向の高い人物はストレスを感じやすいため、ストレスの比較的かかりにくい業務を優先的に考慮してみてはどうでしょう。

第三段階では、部署ごとに集まっている人間が共有する組織風土との相性を考えます。この段階は、第1、第2段階で考えた職業適性とはやや異なり、部署に集まる人間関係同士の相性を考慮する方法です。それぞれの部署ごとに、色濃く出ている特徴を見いだすことが大事になります。「性格や価値観が違い過ぎるとチーム内でストレスが生じ易い」という前提に立っています。この方法であれば、職業適性の相性がたとえ満足の行くレベルでなくとも、周囲との働きやすさをカバーすることで、ストレスをなるべく軽減することができます。

配属での注意点

配属に至っては、当然ながら上記で紹介した以上の要素が影響してきます。例えば、内定者の希望とマッチを考慮した配属先が食い違っている場合です。

希望が食い違っている場合は、具体的に入社後の様子をイメージさせるよう努めましょう。「性格と職業適性の相性が良ければ、年収(パフォーマンス)が上がりやすい」という過去の分析が既にあるように、自分の適性にあった業務を選ぶことは、長期的にはプラスである事を説得できるのではないでしょうか。

新卒の場合はキャリアの経験がないために、入社後の自分の適性を具体的に想像することが難しいはずです。こういう場合にこそ適性検査を使い、部署ごとや職務ごとの相性を可視化することができれば、より具体的にイメージすることが可能となります。

人手不足により、適性検査の回答に関係なく、やむを得ず人数を増やさなければ行けないケースもあるでしょう。そのような場合は、適性検査をあくまで共通認識のツールとして使いましょう。起こりうるミスマッチやストレスを事前に認識しておくことは、認識していない状態に比べて、ストレスの深刻度を抑えることができます。なぜなら、事前に起こりうるミスマッチをイメージしておけば、それを避けるためにある程度予測した行動を促す事ができるからです。

現実的には、カルチャーフィット配属を全員にうまく応用できるケースは少ないでしょう。どの段階での分析が可能なのか、人手不足はないか、などの優先順位をまずははっきりさせましょう。優先度の高い順から、カルチャーフィット配属で割り振って行くのが良いでしょう。

カルチャーフィット配属をまとめると、次のようになります。

  1. 部署ごとのトップパフォーマーを特定する
  2. 一般的な職業適性を考える
  3. 部署ごとの人間との相性を考える

これらの分析の段階を意識し、カルチャーフィット配属を検討されて見てはどうでしょうか。

カルチャーフィット配属をやってみよう!

採用・人事担当者にとって、採用選考から配属にかけての業務は非常に重要であるがゆえに難しい内容です。業務の負担を減らし、さらに配属後のパフォーマンスを最大化するために、本記事ではカルチャーフィット配属を紹介しました。カルチャーフィットを重視することで、入社後のパフォーマンスの向上や、離職率の低下が期待できます。

カルチャーフィットは、配属にもそのまま活かせます。効果的なカルチャーフィット配属をするためには、まず自社のカルチャーを定義し、人材要件定義を明確にしましょう。採用後の的確な配属でのポイントは、優先順位を明確にすることです。

どの段階(部署毎のトップパフォーマー、一般的な職業適性、部署毎の人間関係)で分析が可能なのかを考えましょう。それぞれの段階で適性検査を使い、カルチャーフィットをもとに配属を割り振っていきます。カルチャーフィット配属を取り入れることで、複雑な配属の業務をなるべく体系的に、かつ効果的に行うことができます。

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