人材アセスメントとは?管理職の育成・選抜に適性検査を活用しよう

人事評価の不満を晴らすには?求められる客観性と公平性

次世代の経営を担う経営幹部や管理職の育成は、人事労務部門だけでなく、企業や組織にとっても重要な問題です。経営幹部や管理職に最適な人材を登用・育成していくために、近年注目されている手法の一つが人材アセスメントです。

組織の中での人事評価に対する社員の不満は、国や時代を問わず多くあります。外資系人材サービス会社Adeccoの2018年2月の調査によると、会社の人事評価制度に不満を持っている社員は全体の62.3%で、過半数以上という結果が出ています。

あなたはお勤め先の人事評価制度に満足していますか
出典元『Adecco Power of Work』【アンケート調査】人事評価に関する意識調査

不満を感じる具体的な理由としては「評価基準が不明確」や「評価にばらつきが出て不公平である」などが上位に挙げられています。人事評価制度を見直す必要があると考えている従業員は、77.6%も存在します。

勤務先の人事評価制度を見直す必要があると思いますか
出典元『Adecco Power of Work』【アンケート調査】人事評価に関する意識調査

就職みらい研究所がまとめた『就職白書2018』によると「新卒採用活動にAI(人工知能)を導入することで期待できる成果は?」という質問には「マンパワーの削減」が73.7%、「合否の基準の統一」が45.8%と、客観的かつ効率的に正確な評価を求める企業が多数を占めます。

新卒採用活動にAI(人工知能)を導入することで、期待できる成果
出典元就職みらい研究所就職白書2018

社員の行動を適正に評価し、公平かつ透明性のある評価制度に近づける努力は、人事担当の大きな役割です。人物の能力や適性を客観的に評価する手法として、多くの企業で活用されているのが、今回のテーマである人材アセスメントです。

人材アセスメントとは?従来の評価方法との違いと特徴

人材アセスメントとは、組織以外の第三者による客観的かつ公平な評価で、社員の人材配置や昇進・昇格の適性を測定する手法です。

グローバル化が進展する現在は、経験や勤続年数で社員を評価していた時代とは異なり、業績をベースにした成果主義や役割等級制度を導入している企業が増加しています。しかし高い成果を出せる人材に管理職の適性があるとは限らず、組織やプロジェクトを円滑にマネジメントできないケースがあります。

従来の人事評価は、直属の上司が関わる部分が多く、上司と部下との人間関係が評価に影響しがちです。人事評価には客観性と公平性が求められるため、評価に上司の主観が入ってしまうと、部下の不満を招きます。

人事評価における様々なリスクを考慮し、人材配置や管理職の登用で注目を集めているのが、候補者の適性を客観的に評価できる人材アセスメントです。

従来の人事評価と人材アセスメントの違い

従来の人事評価と人材アセスメントの違いは、人の感情が関与しない公平かつ客観的な判断ができることです。

従来の人事評価は、業務の成果を踏まえた上での、直属の上司による主観的な評価が混じっていました。主観が入る評価方法では、上司と部下との関係性が評価に影響してしまいます。

実績が数字で出る営業部門(直接部門)と数字で出にくい管理部門(間接部門)では、数字を重視する人事評価制度での比較が難しく、間接部門の社員は評価基準に納得しにくいという問題もあります。

主観による評価のブレや、公平な評価基準の設定が困難といった問題は、人材アセスメントによる評価が解決に役立ちます。評価する側もされる側も、第三者による公平で客観的な評価であれば、結果に納得しやすくなります。

人材アセスメントのメリットについて

人材アセスメントは、優秀な人材、特に管理職の選抜・育成に不可欠な項目を設定できるため、組織の人事業務に多くのメリットがあります。

  • 客観的な評価ができる
  • 自己開発の動機付けになる
  • 人材発掘の助けになる
  • 採用段階のミスマッチが防げる
  • 昇進・昇格時のミスマッチが防げる

客観的な評価ができる

従来の人事評価制度では、上司の主観的な評価が入ることで、客観性と公平性に乏しい評価になる問題がありました。

人材アセスメントでは、企業が求める適性や能力を第三者の視点から分析・評価するため、客観的かつ公平な評価を実施できます。人材アセスメントを専門とする、人事コンサルティング会社のサービス活用も有効です。

自己開発の動機付けになる

自己の成長では「現状」と「あるべき姿」の差(ギャップ)を認識することが大切です。上司からの評価以外に育成面でも上司の感情が入ることで、認識のズレが生じてしまいます。

人材アセスメントによる第三者の客観的な評価であれば、理想とする姿と現実の差異を把握しやすくなり、上司も部下に対して納得のいくフィードバックができます。

人材発掘の助けになる

管理職は成果分の対価があっても業務時間が長く、プライベートを犠牲にせざるを得ないというネガティブな印象を多くの人が持っています。専門職を志す人材の増加で、管理職を目指す人が減少しているとも言われています。

管理職の適性を持っているか認識していない社員も多く、社内公募制度や社内FA制度で管理職候補を選抜するにも限界があります。

人材アセスメントを利用することで、企業側や社員本人が認識していなかった管理職の適性が可視化され、経営幹部・管理職候補生の発掘にも役立てられます。研究職や専門職などの専門家志向の高い社員からの人材発掘にも効果を出せます。

採用段階のミスマッチが防げる

書類選考や面接だけでは、応募者が自社に合った人材かどうかの見極めは難しい現状があります。新入社員のミスマッチを防止できなかったことで、早期退職者となるリスクがあります。

採用選考に人材アセスメントを取り入れると、客観的な評価から人材の見極めが可能になります。正確な人材の見極めができれば、ミスマッチを防止できる可能性も高まります。

昇進・昇格時のミスマッチが防げる

昇進・昇格を判断するときも、新しい役職で期待する働きができるかどうかの見極めが重要です。どんなに活躍している人材でも、新しい業務に適性があるかを見極める必要があります。

人材アセスメントを活用した客観的な人事評価は、昇進・昇格時のミスマッチを防ぐことができます。

人材配置の最適化に役立つ

新規にプロジェクトや部署を立ち上げるとき、問題になるのが人材配置です。人材アセスメントを活用すれば、人材の適材適所を実現できます。

人材アセスメントのデメリットについて

人材アセスメントは、組織の人事業務に多くのメリットがある一方で、昇進・昇格させるための評価項目・評価基準を作成する必要や、時間と労力がかかるなどのデメリットもあります。

昇進・昇格させるための評価項目・評価基準を定める必要がある

人材アセスメントでは、個人の管理職としての思考や行動を評価できますが、管理職に求められる感情や価値観などの人間性などの適性を具体化することはできません。

採用活動の「求める人物像」と同様に、自社の管理職に求められる感情や価値観などの人間性を具体的に定めて昇進・昇格時の評価基準にするなど、人材アセスメントの結果をどのように活用するかを決めることが大切です。

人材アセスメントの実施に時間と労力がかかる

人材アセスメントは、行動能力の有無や可能性を観察から見出す手法のため、時間と労力が必要です。人材アセスメント実施後には対象者に結果のフィードバックをする時間を確保しなければなりません。

人材アセスメントは、客観的かつ公平な採用選考・人事評価、教育研修を行うためには必要不可欠です。様々な人事業務に活用するだけでなく、対象者のフィードバックを通じてモチベーションを向上させるなど、人材アセスメントの結果を様々な方法で活用できます。人材アセスメントが企業の成長に貢献できることの共通認識を持つことが大切です。

人材アセスメント導入の注意点

人材アセスメントとは、公平かつ客観的な人材の見極めができる方法です。採用や昇格・昇進において、求める人物像を具体的かつ明確にすることで、求める人物像へのなりすましには注意しなければなりません。

人材アセスメントの対象者が、企業の求める人物像を演じることで、正確な評価がしづらくなります。人材アセスメントの目的を伝えるだけでなく、意図的に求める人物像を演じたとしても、採用のミスマッチや昇進・昇格のミスマッチを引き起こし、人材アセスメントの対象者自身が不幸になってしまう可能性も伝えることが大切です。

人材アセスメントで人事業務を効率化・正確化しよう!

人材アセスメントとは、人材の能力や適性を客観的かつ公平に評価する手法で、採用選考や人事評価などの様々な人事業務で活用されています。

人材アセスメントを導入する際は、評価することだけを目的とせず、評価した能力や適性を人事業務に活用する方法をあらかじめ決めておくことが大切です。

人材アセスメントを有効に活用すれば、従業員の不満を緩和できるだけでなく、人事業務の正確化と効率化も図れます。客観的・公平な評価ができていない、客観的・公平な評価を行うために多大なマンパワーを割いているなどであれば、人材アセスメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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