ビッグ・ファイブ理論とは?心理学での性格は5要素のみで分析できる

心理学研究の歩みと「ビッグ・ファイブ理論」

ビッグ・ファイブ理論とは、人の性格は5つの要素の組み合わせからなることを説明した理論で、近代心理学研究では主要な理論となっています。日本にも多くの適性検査が存在しますが、多くの性格適性検査は「ビッグ・ファイブ理論」を元に設計・開発がされています。

「ビッグ・ファイブ理論」を説明するには、心理学についての歴史を見ていく必要があります。

心理学研究は「人間とはなにか」を追求する哲学から成り立ち、歴史は紀元前まで遡ります。そもそも「心理学(psychology)」という言葉は、”psyche(精神、魂)”と “logos(論理、言葉)”というギリシャ語が起源とされており、その歴史は古代ギリシャの哲学者までさかのぼります。

日本語の「心理学」という用語は、幕末から明治初期の啓蒙家であった西周(にしあまね)氏が、”mental philosophy”という言葉の訳として用いたのが始まりとされています。「医学の祖」とされる古代ギリシャの医師ヒポクラテスも、その研究は心理学の分野にまで及びます。

古代ギリシャの哲学者・アリストテレスは、『プシュケーについて』という著作で、植物や動物、人間の心の性質について述べていますが、この本のタイトルには『心とは何か』や『魂について』といった心理学に通じる訳を見ることもできます。

先人たちの研究ののち、近代心理学は誕生します。19世紀、物理学の急速な発展とともに、他の領域の学問も、自然科学としての立場を確かなものにしようとする動きが活発化します。近代心理学も、その流れの中で生まれました。近代心理学の歴史は約150年程度とまだ歴史の浅い学問ではありますが、「行動の科学」としてさまざまな研究が続けられています。

人間の性格における分類方法はさまざまですが、近代研究においては、このヒトの性格を5つの要素で成り立つとした「ビッグ・ファイブ理論」が、現代の性格分類において最もメジャーである分類方法として確立されています。

今回は、多くの企業で活用されている適性検査への理解を深めるために、基礎理論となっている「ビッグ・ファイブ理論」について説明します。

ビッグ・ファイブ理論の内容や活用範囲とは?

「ビッグ・ファイブ理論」は、1990年代に心理学者のルイスゴールドバーグ氏が提唱した『パーソナリティの性格分析』において「人間が持つさまざまな性格は、5つの要素の組み合わせで構成される」とする考え方です。現在、パーソナリティ理論の中では最も有力なものとして広く活用されています。

心理学の性格研究では、長年にわたってさまざまな性格類型や特性が提案されてきましたが、お互いに別物であり科学ではない、という難問を長らく抱えていました。それを、ゴールドバーグ氏がある解析によって特定した構造が「ビッグ・ファイブ(The Big-Five factor structure)」です。

他の研究者による独立した分析でも、類似の結果が得られたことから、ようやく性格の科学的な記述は「ビッグ・ファイブ理論」にほぼ統一されました。

ビッグ・ファイブ理論の5要素とは

ビッグ・ファイブ理論とは、名前の通り、性格は5つの独立した要素から成り立つことを説明した理論です。

「ビッグ・ファイブ」の5要素は、研究者によって多少その内容は異なりますが、基本的な考え方は全て同じで、現在最も広く利用されているのは「コスタ&マックレー」のモデルです。

「コスタ&マックレー」のモデルでは、「外向性」「調和性」「誠実性」「神経症的傾向」「経験への開放性」の5つに大別されます。辞書にある言葉の中から性格に関する言葉を洗い出し、区分し、最後に残った5つの言葉だとされています。

それぞれの因子が高いから良い、低いから悪いというわけではなく、それぞれにメリットとデメリットが存在することに留意しましょう。

傾向 特徴
外向性 興味関心が外界に向けられる傾向 積極性、社交性、明るさ
調和性 バランスを取り協調的な行動を取る傾向 思いやり、優しさ、献身的
誠実性 責任感があり勤勉で真面目な傾向 自己規律、良心、慎重
神経症的傾向 落ち込みやすいなど感情面・情緒面で不安定な傾向 ストレス、不安、衝動的
経験への開放性 知的、美的、文化的に新しい経験に開放的な傾向 好奇心、審美眼、アイデア

引用元『モチベーショナップの法則』ビッグ・ファイブ(特性5因子モデル)

ビッグ・ファイブ理論を理解する際の注意点について

ビッグ・ファイブの考え方は、血液型のようにタイプ分けをして「このタイプの人はこういった性格」のように識別・分析するものではありません(ちなみにそういったものは「類型論」といいます)。ビッグ・ファイブは、各要素に点数付けするなどして、その配分や点数からその人の性格の特性を分析しようとするものです(こういったものを「特性論」といいます)。

「当たっている」や「当たっていない」など、その該当率を楽しむような方法には不向きですが、つかみどころのない性格というものを把握するためには、有効な面もあります。

「自分のことを知りたい」「自分の性格がよくわからない」という場合は、このビッグ・ファイブを手がかりに自己理解を深めていくことも可能です。この5つの要素は、大まかに自分の性格の傾向をつかむ手がかりになります。

「ビッグ・ファイブ理論」を用いた心理学研究の一例

ビッグ・ファイブの功績や性格・個性を適切に理解するためには「血液型性格分類」について知ると理解が深まります。

「ABO血液型性格分類」は日本だけで流行した擬科学と言われており、テレビ番組で繰り返し放映されたことで、私たち日本人には広く刷り込まれてしまった社会現象の一つです。しかしビッグ・ファイブ登場で性格分析が近代化し、血液型性格分類もまた多くのサンプルにもとづいて統計的に検証された結果、性格と無関係であることが確認されています。「A型だから少し真面目なところがある」という印象を持つのは誤りで、A型の集団の真面目さが何か底上げされているということは一切ありません。

性格研究では、構造的因果関係がないのにもっともらしく見える説や、特殊な人物にしか当てはまらない類型論を卒業し「もっとも有力な記述モデル」として、特性論に基づく「ビッグ・ファイブ・モデル」に到達した経緯があります。

仕事の業績とビッグ・ファイブに関する研究分野は関連性が高く、複数の職種で、多くの研究が行われています。中でも「良識性」がもっとも仕事のパフォーマンスと相関していることが知られています(ただし全てを左右するほどの影響力ではありません)が、実際には、仕事に必要な資質は職種ごとにさまざまです。

ビッグ・ファイブの性格記述には予測力もあるため、個別の仕事に重要な性格的資質を特定することで「苦手なことをやらされている」といった業務上のミスマッチを減少させることができます。

ビジネスの場で活きる「ビッグ・ファイブ理論」

「ビッグ・ファイブ理論」とは、現代の性格分類で主流となっている心理学の理論です。ビッグ・ファイブ理論をベースにした研究や適性検査も多く存在し、活用方法や実証報告も多くのものがあります。最新の研究内容を自社で活用する場合、現実的には確実性のある実証を行うことは困難なケースが多く、専門のHRテックサービス企業を活用することも一つの手となっています。

個性・性格を客観的に記述できるフレームワークがビッグ・ファイブに定まったことによって、誰もが、自分に適した道を探しやすくなったり、ビジネス上の実行リスクを制御するといった可能性は拡大しています。

ビッグ・ファイブは、人の性格の分類を正確に把握できる一助になることを知ることは、人材採用や人事評価での見極めを行う上で、非常に重要です。

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