ホラクラシー組織での社員の評価方法とは?評価制度の事例をご紹介!

ホラクラシー型組織を実現する上での課題とは?

ホラクラシーとは、階級や上司・部下の関係が一切存在しない組織の管理体制を意味する言葉です。ホラクラシー型組織とは「上司・部下といったヒエラルキーが存在しないフラットな組織」を意味します。

従来の企業はヒエラルキー型の階層組織がほとんどで、階級や上司・部下などの上下関係があり、命令系統が確立された組織が一般的でした。ホラクラシー型組織は、従来のものとはまったく異なる組織形態と言えます。

ホラクラシーという概念は、2007年に米ソフトウエア開発会社ターナリ―・ソフトウエアの創業者であるブライアン・ロバートソン氏が提唱し、アメリカやオーストラリア、スイスなどの非営利団体で採用され始めました。現在では、ホラクラシー型経営によって大きな成果を挙げる企業が少なからず誕生してきており、世界中で注目されています。

ホラクラシー型組織では、役職や職種などは存在しないかほとんど形式上のものであるため、個人が複数の役割を持つ場合があります。ホラクラシー型組織を実現する上での課題として、上司や部下などの上下関係がないため、従来の人事評価制度をそのまま運用できない点が挙げられます。

今回の記事では、ホラクラシー型組織における社員の評価方法について、ホラクラシー経営を実現した企業の事例をご紹介します。

ホラクラシー型組織における社員の評価方法とは?実際の企業事例について

ホラクラシー型組織における社員の評価方法を考える際には、実際にホラクラシー型経営を実現した企業の事例を参考にする方法が効果的です。

ホラクラシー型組織における社員の評価方法について、ホラクラシー型経営を実現した企業の事例を3つご紹介します。

  1. Airbnb(エアビーアンドビー)の事例
  2. 株式会社アトラエの事例
  3. ダイヤモンドメディア株式会社の事例

1.Airbnb(エアビーアンドビー)の事例

Airbnbとは、民宿や宿泊施設を「貸したい人」と「借りたい人」のマッチングサイトを運営している、従業員数約10,900名(2018年当時)のアメリカの企業です。

Airbnbのホラクラシー組織の特徴とは?

Airbnbで導入したホラクラシー経営の特徴として「マネージャーは『指示役』ではなく『お手伝いさん』」という考え方があります。ホラクラシー型組織では基本的にマネージャーという役職は存在しませんが、Airbnbではマネージャー職を完全になくしてはいません。

Airbnbのホラクラシー経営におけるマネージャーは、社員の目標やタスクを管理する「指示役」としてではなく、社員の業務遂行上の障害を取り除く「お手伝いさん」のような役割として存在しています。

Airbnbのホラクラシー組織の効果とは?

Airbnbのホラクラシーの効果としては、エンジニアが予期せぬ問題に遭遇した際に、マネージャーが「お手伝いさん」として問題解決の手助けやチームメンバーの不満の吸い上げなどを行い、円滑に業務を行うための環境を醸成・維持できるようになりました。

ホラクラシー型組織では、目標設定や目標にたどり着くまでのプロセス設計など、すべての意思決定が各グループに委ねられます。従来の組織であったような、複数の階層からの合意を得る面倒なプロセスなしに素早く物事が決められる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

Airbnbのホラクラシーでは、マネージャーでなくとも同程度の報酬が得られる「Individual contributors」という評価枠を導入しています。社員の働き方を階層という枠でとらえず、一人ひとりに選択権を与えた結果、社員が業務に対して当事者意識を持ち続けられるような仕組み作りを実現しています。

2.株式会社アトラエの事例

株式会社アトラエとは、求人メディアやビジネスマッチングアプリの企画・開発・運営を行っている、従業員数約43人(2018年当時)のHR Techベンチャー企業です。

株式会社アトラエでは、リーマンショックのタイミングで組織を見直し、マネージャー職を廃止してホラクラシーを導入しました。

株式会社アトラエのホラクラシー組織の特徴とは?

株式会社アトラエで導入したホラクラシー経営の特徴として、トップダウン型の指揮系統をなくし、プロジェクト単位で事業を進める形に変更しました。社員の数値目標を廃止してチーム全体で目標を共有し、会社の出退勤の時間や服装を自由化し、評価制度はメンバー同士で行う360度評価を導入しました。

株式会社アトラエでは、出世という概念を一切なくし、肩書は取締役と社員のみというフラットな組織になっています。社内の情報も基本的にオープンで、ホラクラシー型組織の特徴のほとんどを備えています。

株式会社アトラエのホラクラシー組織の効果とは?

株式会社アトラエのホラクラシーの効果としては、社員の誰もが意見を言いやすくなり、本来の意味での「民主主義的経営」を実現できたのが一番の効果だったとしています。

民主主義的経営として特徴的なのが、複数かつ特定のメンバーに個人を評価してもらい、メンバーの評価にもとづいて報酬を決定する360度評価制度です。現場の評価を直接報酬に反映できるため、従来のヒエラルキー型組織で問題になりやすかった「仕事の貢献度は高いのに、数字として出にくいせいで評価されない」といった不公平の是正に成功しています。

株式会社アトラエでは、メンバー同士の評価が人気投票になりやすいというホラクラシー組織の課題への対策として、誰もが優秀と評価する人材からの評価の価値が高くなるような仕組み作りを行いました。

3.ダイヤモンドメディア株式会社の事例

ダイヤモンドメディア株式会社とは、不動産業界向けのITサービスを提供している、従業員数約25名(2018年当時)の不動産ソリューション企業です。

ダイヤモンドメディア株式会社のホラクラシー組織の特徴とは?

ダイヤモンドメディア株式会社では、設立当初から以下のようなスタイルの経営を前提とした組織構築を行っており、日本におけるホラクラシー型組織の先駆者と呼ばれています。

  • みんなの給料はみんなで決める
  • 起業、副業を推奨
  • 肩書きは自分で決める
  • 雇う雇われるの概念が無い
  • 上司部下の概念が無い
  • メンバーの社内外ボーダーレス化
  • 経費の清算は個人の裁量
  • 財務情報は全部オープン
  • 働く時間、場所、休みは自分で決める
  • 代表、役員は選挙と合議で決める
  • 明文化された理念が無い
  • 採用する前に仕事をする

ダイヤモンドメディア株式会社のホラクラシー組織の効果とは?

ダイヤモンドメディア株式会社のホラクラシー組織の効果としては、会計や営業成果、労働時間などのデータを社員の誰もが見られる情報として公開し、業務を細かく分析できるようになりました。

アメーバ経営やABM(アクティビティ・ベースド・マネジメント)にもとづいて、営業成果や労働時間などを社内データとして蓄積して可視化した結果、業務が削減・効率化されて働き方の最適化が進みました。

ホラクラシー型組織の評価制度への理解を深めよう!

ホラクラシー型組織では、上司や管理職などの概念がないため、昇進や昇格などを含めた人事評価制度の運用が非常に難しくなります。

ホラクラシー型組織における社員の評価方法を考える際には、実際にホラクラシー型経営を実現した企業の事例を参考にする方法が効果的です。ホラクラシー型組織で効果的な評価制度としては、360度評価や客観的な成果主義などが挙げられます。

ホラクラシー型組織ならではのメリットは多数ありますが、ヒエラルキー型組織からホラクラシー型組織への移行には評価制度の整備が必要なだけでなく、さまざまな課題やデメリットが発生する危険があります。また、ホラクラシーを導入するためには、権力や既得権益を捨てる必要があるため、導入は慎重に進める必要があります。

ホラクラシー型組織を導入するために評価制度を切り替える際には、各社員からの理解を得ることが大切です。どのような目的があって評価制度を変えるのか、社員に対して具体的かつ明確に説明できるように、ホラクラシー型組織の評価制度への理解を深めておきましょう。

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