組織風土(企業風土)とは?活用のメリットや注意点を理解しよう!

知っているようで知らない「組織風土」

経団連によると、企業の経営環境は「働き方の多様化」「少子高齢化の進行」など、様々な要因により大きく変化おり、それに伴って企業と従業員のあり方も変化させていかなければいけないと説明されています。その上で、意識改革に溢れた社内風土や職場づくりが求められていると言及されています。

参考URL『日本経団連』主体的なキャリア形成の必要性と支援のあり方

日本経団連が触れているのは「社内風土」についてですが、類似した言葉として「組織文化」や「社風」などの言葉も、様々なシーンで用いられています。「組織風土」「組織文化」「社風」はいずれも抽象的な概念であるため、なんとなくのイメージは持ち合わせているものの、明確な違いなどを答えられる方は少ないのではないでしょうか。

経団連が述べる「社内風土」を醸成するためには、「組織文化」や「社風」などとの違いを明確にし、適した施策を行うことが大切です。そのためには、これらの言葉の違いを明確にし、具体的に何を変えようとしているのか、抽象的な目標から具体的な目標に落とし込まなければ、従業員間でも共通の目標を持つことができなくなります。

今回は「組織風土(企業風土)」にポイントを絞り、意味や定義、人事業務として活用するメリットやデメリットなどについて説明します。

組織風土の意味と定義とは

「組織風土」とは「組織において共通の認識とされる、独自の規則や価値観など」を指します。組織に所属する人(会社であれば従業員)が明確に、あるいは間接的に感じている、表面化された価値観のことを意味しています。従業員の考え方や行動、感情などに影響を及ぼしています。

「組織風土」は、一つの会社内に複数存在します。一つの組織として「会社全体」「営業部」「人事部」「営業部のチーム」などの視点で分かれます。「会社全体」のことを指す場合に「企業風土」となります。

組織文化(企業文化)や社風との違い

同じような意味として使われている言葉に「組織文化(企業文化)」や「社風」という言葉がありますが、それぞれ意味が異なります。

組織文化は、従業員の間で共有されている価値観や信念を意味します。主に「行動原理となる価値観」のことを指します。組織文化の例としては以下のようなものがあります。

  • 個人主義なのか、チームワーク主義なのか
  • 成果志向なのか、プロセス志向なのか
  • 上昇志向なのか、安定志向なのか
  • トップダウンなのか、ボトムアップなのか

組織文化は「個人主義 もしくは チームワーク主義」のようなどちらかだけしかないわけではありません。「完全な個人主義」や「どちらかというと個人主義」のような程度があります。

「組織風土」の「組織文化」の違いとしては、「外部からの影響を受けるか」「従業員のモチベーションに関わるか、仕事の仕方に関わるか」などがあります。「組織風土」は独自的・固定的な価値観を意味するため、自然発生するもので、外部からの影響を受けにくいです。「組織文化」は時代を反映する、創造的で自由な価値観であるため、競合他社や市場の影響などを受けて、意図せずとも徐々に変化する可能性があります。

社風は、従業員が感じる組織の雰囲気や考え方を意味します。「組織風土」と「組織文化」が組み合わさって出来上がるものです。社風の例としては、以下のようなものがあります。

  • ノリがいい
  • 社員同士仲がいい
  • 誰でも気軽に意見が言える
  • 明るい雰囲気
  • 上下関係が厳しい
  • 社内行事やイベントに参加しないといけない雰囲気
  • ピリピリしている

社風には良いイメージだけでなく、悪いイメージも含まれます。

「社風」は「組織風土」と「組織文化」を反映して構成されるものです。人間に例えるのであれば、話しかけやすい雰囲気(社風=人柄)は人見知りをしない(性格=組織風土)ことと自分よりも人との関わりを大切にしようとしている(価値観=組織文化)ことから構成されるようなものです。

どんな要素が組織風土に影響するのか

組織風土は、従業員が明確に、あるいは間接的に感じている、表面化された価値観のことです。自然発生した、ルール化されていない価値観が「就業規則」や「コンプライアンス規則」、「賞罰」や「人事評価制度」などとしてルール化されています。また明文化されたものだけでなく、「組織内のローカルルール」や「信頼関係」、「暗黙のルール」などの明文化されていなくても組織内で常識とされているような決まりや行動パターンなども含まれます。

組織風土は従業員の行動や感情、モチベーションなどに大きな影響を与えるものだといわれています。良くない風土が根付いていると、従業員同士のトラブルが増えたり退職者が多くなったり、場合によっては業績に大きな影響を及ぼすこともあります。

組織風土を活用するメリットとデメリットとは

組織風土は従業員の行動や感情、モチベーションに影響を与えています。そのため、労働生産性や離職率など、人事担当者の悩みとなる要素についても大きな影響を与えています。

組織風土を活用するメリット

  • 従業員の働きやすい職場環境をつくることができる
  • 組織の目指す方向やビジョンを共有できる
  • 生産性がアップし業績向上に繋がる
  • モチベーションの高い人材を育てることができる
  • 従業員同士の関係性がよくなる
  • 従業員が会社や組織を好きになる

組織風土を活用するデメリット

  • 明文化されていない暗黙のルールなども存在するので洗い出しが難しい
  • 改革に失敗したときのリスクが大きい
  • 望ましくない風土が浸透すると業績悪化や社内トラブルに繋がってしまう
  • 組織内に根付いているものなので、改革に時間を要することもある

組織風土を活用する際の注意点について

組織風土は、組織作りの基本となる「規則などの仕組みづくり」に大きな影響を与えています。しかし「組織風土」がどのような性質のものであるかをしっかりと理解していなければ、人事業務において「組織風土」を有効に活用できないどころか、「組織」そのものを崩壊させかねません。

一つ目の注意点として、1つの会社の中でも部署やチームごとにそれぞれの組織風土が存在していることが挙げられます。営業部と開発部で異なる風土があったり、営業部の中でも若手社員がリーダーを務めるチームと熟練社員がリーダーを務めるチームでは風土が異なる可能性があります。目に見えない暗黙のルールがあることを考えると、全てを洗い出すのは非常に難しく、時間もかかります。

二つ目の注意点として、組織風土は組織に根付いているものであり、変革するのは容易ではないことが挙げられます。人間の例だと「積極的に人と係り合う」価値観に変えることよりも「人見知り」の性格を変えるほうが非常に大変だということです。

会社の例だと「従業員が数字や結果に意識を向ける」風土にしようとしても、従業員にうまく浸透しなければ「やらされている感」が出てしまい、自主性や積極性が失われて変革に失敗する、経営層が現場のことを分かっていないと失望してしまう可能性すらあります。また変革に成功しても、それが合わなかった場合、「数字や結果のみを重視」しすぎて残業が増えたり、上司からの重圧に嫌気がさしたりする可能性があります。そうなった場合、既存の社員が退職し、新入社員を教育する人がいなくなり、最悪の場合、会社として機能しなくなる可能性すらあります。

同じように「従業員が自主性をもって積極的に行動する」風土をつくろうとした場合、自主性や積極性の方向を間違ってしまうと、従業員が社内の不満ばかりを口にするようになったり、従業員が楽することに意識をむけてしまったり、といったことになってしまいます。

強い組織をつくるために大切な「組織風土」

組織風土は会社全体だけではなく、部署ごとに存在する異なる風土のことです。外部からの影響を受けにくく、組織風土を変革するのは容易ではありません。

価値観や人間関係など目に見えないルールも風土の一部であることから、あいまいで抽象的な概念ではありますが、明確に定義し浸透させることで自社の強みや課題がわかり、強い組織にすることができるはずです。

「組織風土を変革したい」と思っても、まずは自社の組織風土がどのようなものか、現状を把握することから始めてみましょう。「組織風土を変革する」ことは容易ではないため、それ以外の方法で実現することができないのか、課題を明確化していきましょう。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として5,000社以上の企業に導入されています。サービスも8年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ