ティール組織とは?言葉の意味やメリット・デメリットについて

ティール組織とは?注目を集めている背景について

ティール組織とは、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、社員一人ひとりが裁量権を持って行動する組織形態を意味する言葉です。

ティール組織という概念は、コーチやアドバイザーとして世界各国で活動しているフレデリック・ラルー氏が2014年に執筆した原著『Reinventing Organizations』によって紹介され、新しいマネジメント手法として注目されるようになりました。フレデリック氏の考え方の特徴的な点としては「旧来のマネジメント手法は成果が上がっているが、実は組織に悪影響を与える可能性をふくんでいる」という指摘を行った点が挙げられます。

ティール組織では、組織内における上下関係や細かな規則、定例会や予算の設定といった旧来の組織構造や組織文化の多くを撤廃します。ティール組織は、意思決定に関する権限や責任のほぼすべてを社員個人に譲渡して、組織や人材に革新的変化を起こす「次世代型組織モデル」として世界中から注目されています。

今回の記事では、ティール組織の意味や目的、ホラクラシーとの違いやメリット・デメリットについてご紹介します。

ティール組織とは?意味や目的、ホラクラシーとの違いやメリット・デメリットについて

ティール組織の意味や定義とは?

ティール組織とは、組織形態の一つで、1970年頃に生まれた概念です。

ティール組織では、従来のピラミッド型の組織とは違い、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しません。社員一人ひとりが裁量権を持ち、意見を交わし合いながら、組織の中で進化し続ける目的に沿って行動する組織形態がティール組織です。

ティール組織は、相互に関係し合っている以下の3つの要素で構成されると言われています。

  1. 自主経営(セルフマネジメント)
  2. 全体性(ホールネス)
  3. 存在目的

1.自主経営(セルフマネジメント)

ティール組織を構成する1つ目の要素として、自主経営(セルフマネジメント)が挙げられます。

自主経営とは、組織環境の変化に対して、他者からの指示を待たず適切なメンバーと連携して対応する能力を意味します。ティール組織では、すべての意思決定が社員同士のアドバイスやフィードバックの与え合いによって行われるため、個人のスキルと組織全体の質が高まり、トップダウンによる対策に比べて最適な判断に到達する確率が高くなります。

2.全体性(ホールネス)

ティール組織を構成する2つ目の要素として、全体性(ホールネス)が挙げられます。

全体性とは、社員自身の感情や考え方をオープンにして、組織との一体感が得られるようになることを意味します。ティール組織では、メンバーが互いに自分の本音をさらけ出せる「心理的安全性」が保障されるため、活発で建設的な議論が行えるようになります。

心理的安全性については「心理的安全性とは?意味や定義、企業へのメリットや注意点について」の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

心理的安全性とは、チームの生産性を高める重要な要素として、Googleが2015年に発表したことで注目を集めた言葉です。心理的安全性が高い職場では、従業員が失敗を恐れずに発言・行動できるため、チームの生産性が大きく向上します。今回は、心理的安全性という言葉の意味や定義について説明した上で、心理的安全性を高めるメリットや...

3.存在目的

ティール組織を構成する3つ目の要素として、存在目的が挙げられます。

存在目的とは、組織が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを探求し続けることを意味します。ティール組織では、社長が決めた目的に従って動く従来の組織とは違い、変化のともなう目的を社員間で常に探求・共有します。ティール組織では、社員全員が組織の使命を意識して行動するため、社員の主体性や当事者意識が強くなります。

ティール組織が提唱された目的とは?

ティール組織とは、世界各国で活動を行っているフレデリック・ラルー氏によって提唱された概念です。

フレデリック氏は従来の「マネジメント」「組織運営」「上司と部下の関係」について、多くの人が当たり前だと思っていた方法が、実は大きな副作用をはらんでいると指摘しました。ティール組織を提唱した目的は、大きな副作用をはらむ従来の「マネジメント」の方法論をくつがえすことです。

フレデリック氏の理論によると、組織は多くの場合、従来の価値観を大きく変えるような革命的変化に出会ってパラダイムシフトを起こし、意識の発達段階を次のステージへと進めます。組織のステージは、経営者やトップマネジメント層の意識の発達段階に比例して、進化していくとされています。

フレデリック・ラルーによる5つの組織モデル
出典元『プロシェアリング』ティール組織とホラクラシーの違い〜2020年代も成長し続ける企業が探求すべき組織モデル〜

ティール組織とホラクラシー型組織との違いとは?

ホラクラシーとは、2007年に米国ソフトウエア開発会社の創業者ブライアン・ロバートソン氏が提唱した「階層や上司・部下の関係が存在しない組織体制」を意味する言葉です。

ホラクラシー型組織は、実践するためのメソッドやルールが存在し、ルールに則って運用が進められていきます。ホラクラシー型組織は「階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない」「社員全員で意思決定をしていく」など、ティール組織との共通点が多く存在します。

ティール組織とホラクラシー型組織はよく似た特徴を持っていますが、厳密に言えば「ティール組織=ホラクラシー型組織」ではありません。

ティール組織は、レッドからグリーンという組織形態を経て辿り着く、社員各自の自律的判断で機能する組織概念です。一方ホラクラシー型組織は、厳密なルールのもとで運営される、実践的な経営手法です。

ティール組織には明確なビジネスモデルはなく、概念の一部だけを組織に取り入れることも可能です。同じ組織内にオレンジ組織やレッド組織が存在しても機能するため、導入・運用方法の自由度が高いという特徴があります。

ホラクラシー型組織には明確なビジネスモデルが存在し、モデルに沿って導入・運用が進められます。ホラクラシー型組織は、導入・運用の自由度が低い代わりに、自由でフラットな組織を構築する再現性があると言えます。

ティール組織とホラクラシーの違い
出典元『プロシェアリング』ティール組織とホラクラシーの違い〜2020年代も成長し続ける企業が探求すべき組織モデル〜

ティール組織のメリットとは?

ティール組織のメリットとしては、社員の主体性や当事者意識の強化が挙げられます。

従来のヒエラルキー型組織では、経営トップ層の指揮のもとで企業の意義や事業目的、経営戦略が策定されます。経営層が決めた目的を達するために、各部署に売上目標や役割が与えられ、さらに目標を細分化しながらチーム単位の作業に展開されます。

ヒエラルキー型組織は、社員を評価・管理する役割が必ず存在するため、部下は上司に評価されるために職務に臨みます。ヒエラルキー型組織では、場合によっては自分に適性のない職務もこなす必要があります。たとえ自分に適性の無い職務であっても、指示された以上は遂行できなければ昇進や昇給に悪影響があるという、ネガティブな恐れが生じます。

ティール組織では、役職ではなく個々の能力によって業務が割り振られ、売上目標も存在しません。社員全員が意思決定権を持つため、組織の目的達成のために個人の主体性が自然と発揮されるようになります。

ティール型組織のメリット
出典元『プロシェアリング』ティール組織とホラクラシーの違い〜2020年代も成長し続ける企業が探求すべき組織モデル〜

ティール組織は、社員全員が組織の存在目的を常に意識し、目的を果たすための役割や業務、目標などを社員同士のコミュニケーションで決定します。社内の情報もすべて公開されているため、社員全員の当事者意識が常に高く保たれ、社員各自でのセルフマネジメントが可能になります。

ティール組織に関する誤解や注意点とは?

ティール組織は企業にとって多くのメリットがありますが、正しい知識を持って導入・運用しなければ逆効果になってしまう場合があるため、注意が必要です。

ティール組織に関する知識について、よくある誤解や注意点をご紹介します。

  1. 「階層構造を無くせばティール組織になる」わけではない
  2. 「人事制度を改めればティール組織になる」わけではない
  3. 「優秀な人材を集める」のではなく「一人ひとりの個性を受け止める」

1.「階層構造を無くせばティール組織になる」わけではない

ティール組織についてのよくある誤解として「組織の階層構造を無くしてフラットにすればティール組織になる」という勘違いがあります。もともと上手く機能していた組織で無理に階層構造を無くしてしまうと、社員の会社への信頼感が失われる危険があります。

ティール組織に限った話ではありませんが、組織作りのやり方を変える際には、上層部全員の考えをまとめる、社員全員への周知と理解促進を徹底するなど、段階的に進めていくことが大切です。

2.「人事制度を改めればティール組織になる」わけではない

ティール組織についてのよくある誤解として「組織の人事制度を改めればティール組織になる」という勘違いがあります。組織の世界観を変えずに制度を変えたり新しいルールを導入したりしてしまうと、社員の会社への信頼感が失われる危険があります。

ティール組織の導入の仕方に明確なルールはないため、ティール組織とはどういうものかを社員で共有しながら、必要に応じて制度の見直しを進めればよいでしょう。

3.「優秀な人材を集める」のではなく「一人ひとりの個性を受け止める」

ティール組織についてのよくある誤解として「優秀な人材を集めなければならない」という勘違いがあります。もちろん優秀であるのに越したことはありませんが、ティール組織で重要なのは社員同士がお互い自由に意見し合える環境です。

ティール組織を実現するためには、人材一人ひとりの個性を受け止めた上で、既存社員と感覚が合う人材を集めることが大切です。

ティール組織の導入は部分的・段階的に始めよう!

ティール組織とは、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、社員一人ひとりが裁量権を持って行動する組織形態を意味する言葉です。

ティール組織を実現するためには、ホラクラシー型組織と違って実現の手順に決まりがないため、段階的に発達させていく必要があります。

ティール組織では、社員各自が組織の存在目的を意識して行動し、目的達成のためのセルフマネジメントも行います。社員同士のコミュニケーションが促進され、生産性の向上にもつながるティール組織の導入を、まずは部分的な試験導入から検討してみてはいかがでしょうか。

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