グループディスカッションは大企業を中心に実施されている
採用選考における面接手法として、グループディスカッションが近年注目されています。
グループディスカッションとは、学生を数人のグループに分けてテーマを与えて議論させ、グループとしての結論を出させる選考方法です。
ダイヤモンド・ヒューマンリソースの調査によると、インターンシップの選考におけるグループディスカッションの実施率は約35%程度と、3社に1社が採用選考活動にグループディスカッションを導入していることがわかります。
出典元『ダイヤモンド・ヒューマンリソース』ダイヤモンド就活ナビ2019 就職モニターレポート12月調査
HRproの調査によると、グループディスカッションは他の面接手法と比べて、社員数1001名以上の大企業での実施率が高いことが分かっています。
出典元『HRpro』「2015年新卒採用中間総括調査」結果報告【3】
グループディスカッションは、求職者の協調性やコミュニケーション能力など、書類選考だけでは見極められない「他者との関わり方」を見極める面接手法として近年注目されています。
今回の記事では、グループディスカッションの目的や、採用選考に導入するメリット・デメリットなどについてご紹介します。
グループディスカッションとは?目的やメリット・デメリット、グループワークとの違いについて
グループディスカッションとは、学生を数人のグループに分けてテーマを与えて議論させ、グループとしての結論を出させる選考方法です。
グループディスカッションが個別面接や集団面接と大きく違うところは、学生が面接官の質問に答えて直接自分をアピールするのではなく、議論や発表の様子を通じてアピールする必要がある点です。学生の論理性や協調性、コミュニケーション能力など、書類選考や個別面接では評価が難しい要素を見極められる面接手法として、近年注目を集めています。
グループディスカッションは、議論中の様子のみを選考基準とする場合もあれば、結論をグループごとに発表させる場合もあります。議論のテーマは、誰でも話せるような身近なものから、ビジネスに関するものまでさまざまです。
グループディスカッションのテーマの種類については「グループディスカッションのテーマ(お題)の決め方とは?評価項目から考えよう!」の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
グループディスカッションとグループワークとの違いとは?
グループディスカッションとグループワークは、どちらも学生同士の関わり方を見て評価する面接手法ですが、評価のし方に違いがあります。
グループディスカッションは議論の内容が主な評価対象となるのに対して、グループワークは最終的なアウトプットが主な評価対象となります。グループディスカッションとグループワークの最大の違いは、グループディスカッションは「議論そのもの」が目的で、グループワークは「議論の結果」が目的である点です。
グループディスカッションの目的とは?
グループディスカッションの目的は、面接や書類選考では評価が難しい学生の個性や能力を、様々な観点から評価することです。
グループディスカッションで評価できる学生の個性や能力には、以下のようなものがあります。
- 本来の性格や価値観
- リーダーシップ能力
- 論理的思考力
- 協調力
1.本来の性格や価値観
グループディスカッションでは、学生がグループ内で「どのようなポジションで」「どのような発言するのか」を見ることで、書類選考や個別面接では判断しにくい本来の性格や価値観を評価するためのヒントが得られます。
2.リーダーシップ能力
グループディスカッションでは、初めて会う学生同士で「誰が」「どのように」議論の進行や最終的な結論をまとめるのかを見ることで、書類選考や個別面接では判断しにくいリーダーシップ能力を評価するためのヒントが得られます。
3.論理的思考力
グループディスカッションでは、学生同士で意見交換を行いながら時間内に結論をまとめることになるため、議論や結論で「分かりやすく」「筋の通った」話ができるかを見ることで、書類選考や個別面接では判断しにくい論理的思考力を評価するためのヒントが得られます。
4.協調力
グループディスカッションでは、議論の中で「他のメンバーの話に耳を傾けているか」「あまり意見が言えていないメンバーに配慮して意見を求められるか」を見ることで、書類選考や個別面接では判断しにくい協調力を評価するためのヒントが得られます。
グループディスカッションのメリットとは?
グループディスカッションのメリットとしては、書類選考や個別面接では判断しにくい「他者との関わり方」を評価できることが挙げられます。
学生のコミュニケーション能力は、個別面接でもある程度は評価できますが、グループディスカッションでは同じ立場のメンバーとのコミュニケーションの取り方を見ることができるため、より本来に近い姿を見て評価できます。
グループディスカッションは複数グループの同時進行で行われるため、一度に多くの応募者を効率的に評価・選考できるというメリットがあります。グループディスカッションの実施率が大企業ほど高いのは、多数の応募者を効率的に評価・選考できるという理由が大きいのかもしれません。
グループディスカッションによる選考は、優秀な人材を見抜けるだけでなく、他のメンバーの議論を邪魔するような人材や、極端に空気が読めなかったり理解力が低かったりといった、企業にとってあまり採用したくない人材を見極められるというメリットもあります。
グループディスカッションのデメリットとは?
グループディスカッションのデメリットとしては、浅い議論になりがちな点が挙げられます。
グループディスカッションは、実施直前にテーマを発表するため事前準備が難しく、物事をじっくり考えるタイプの人には不利な面接手法です。瞬間的なアイデア創出力やコミュニケーションスキルを持つ人材に評価が偏り、中長期的なリスク管理能力や戦略的視点を持つ人材の評価が低くなってしまいやすくなるため、注意が必要です。
就職活動に慣れている学生は「相手の意見を否定しない」「制限時間内に結論を出す」といった「グループディスカッションのコツ」を理解しているので、体裁を整えるだけの内容の薄い議論しか行われない可能性があります。
グループディスカッションで学生の本質を見極めるためには、発言量や進行役といった杓子定規な基準で評価するのではなく、議論の内容をしっかり聞いて評価することが大切です。
グループディスカッションは他の採用選考プロセスと組み合わせて実施しよう!
グループディスカッションとは、学生を数人のグループに分けてテーマを与えて議論させ、グループとしての結論を出させる選考方法です。
グループディスカッションは、学生の論理性や協調性、コミュニケーション能力など、書類選考や個別面接では評価が難しい要素を見極められる面接手法として、近年注目を集めています。
グループディスカッションによる選考では、学生の瞬間的なアイデア創出力やコミュニケーションスキルを評価できる反面、中長期的なリスク管理能力や戦略的視点を持つ学生の評価が低くなってしまいやすくなるため、議論の内容をしっかり聞いて評価することが大切です。
採用活動における選考方法を考える上では、議論の内容を評価の中心とするグループディスカッションを実施するのか、グループで協力した結果を評価の中心とするグループワークを実施するのかを決める必要があります。もちろん両方とも実施する・両方とも実施しないという選択肢もあるため、自社の採用要件定義の項目や、他の採用選考プロセスとの兼ね合いを踏まえて判断しましょう。