グループディスカッションのテーマ(お題)の決め方とは?評価項目から考えよう!

様々なシーンで活用されるグループディスカッション

1900年代初頭に急発展したグループワーク、今は様々な形式に発展し、グループディスカッション(GD)もその一つとなりました。

グループディスカッションは人材採用や大学入試で使用されているだけでなく、その後の新人研修や、大学の授業でも多く使用されています。しかし、グループディスカッションのお題(テーマ)はどのように決めるべきでしょうか?

グループディスカッションも参加者の行動を評価する方法です。グループワークと同様に、お題(テーマ)の決め方によって、評価できる項目が変わります。そのため、何を評価したいのか、目的を持ってお題(テーマ)を決めることが重要です。

本記事では、グループディスカッションで評価できる主な7項目「状況把握力」「積極性」「創造性」「柔軟性」「論理性」「協調性」「価値観」から、お題(テーマ)を決める方法について紹介します。

上記7項目以外にも「コミュニケーション力」や「発信力」「傾聴力」なども評価できますが、お題(テーマ)の決め方に依存しないため、今回の記事では除外して考えます。

お題(テーマ)については、「自由討論型・課題解決型」「フェルミ推定型」「選択型」「ディベート型」の4種類に分類し、お題の概要や評価できる項目について説明いたします。

グループディスカッション4分類とは?

グループディスカッションのお題(テーマ)は、主に4種類に分類できます。

  1. 自由討論型、課題解決型
  2. フェルミ推定型
  3. 選択型
  4. ディベート型

それぞれの概要や評価項目について、みていきましょう。

1.自由討論型・課題解決型

最も使われている、グループディスカッションでは基本的なお題形式です。
明確な答えが存在しない「課題」について、討論します。

絶対的な答えがないため、どのように課題を解決するべきか、自由な意見を発表することができます。話があちらこちらに飛びやすい傾向がありますが、その中で結論をどのようにまとめるか、具体性(根拠)はあるのか、などを観察することができます。

多数決で結論を出すよりも、参加者一人一人が十分に意見を交わし、どのような意見に納得して結論をだしたのか、という過程を確認できます。

評価項目について

  • 状況把握力
  • 積極性
  • 創造性

「状況把握力」は、自由な意見が飛び交い、他人の意見や物事との関係性を考えながら発言することが求められる自由討論型・課題解決型のお題ならではの評価項目です。様々な意見が飛び交うため、他人の意見や物事の関係性を考えながら発言することが求められます。そのため「状況把握力」を評価できます。

司会などの役割分担などはあるでしょうが、意見や考えを自由に発言できます。そのため、議論にどれだけ参加したのか「積極性」を評価できます。

お題に対する絶対的な答えがないため、参加者同士の相乗効果により、独創的な考えや意見が出ることがあります。この点から、新しい価値を生み出す「創造性」を評価できます。

テーマ(お題)例

「理想の社会人はどんな人か?」
「10年後に業界はどのように変化しているか?」
「女性が活躍する会社にするには何が必要か?」

2.フェルミ推定型

推定や計算を基本とした、論理的なお題がフェルミ推定型です。

フェルミ推定(Fermi Estimate)あるいは、フェルミ問題(Fermi Problem)は、本来科学分野において複数の物理量の間の関係を予測することを指しています。推定や計算テクニックそのものがフェルミと名付けられた理由は、彼がいつもほぼデータ不足の状況で精度の高い推定ができるからだと言われています。

実際には調査することができませんが、様々な仮説や論理を立てて、推測を行います。もちろん結論が正解に近い方が嬉しいですが、それよりもどんな仮説や論理を立てたのか、結論を出す過程を評価することが大切です。

評価項目について

  • 論理性
  • 独創性

フェルミ推定型のお題は、推定する内容を細分化し、それらを組み合わせることで数字の推測を行います。

細分化するためには、どのような条件が存在するかを整理し、それぞれの条件に対して数字の仮置きや条件同士の関係性を論理的に考える必要があります。そのため、「論理性」を評価できます。

専門的な数字に関しては、予め参加者に伝えたほうが良いでしょう。

どのような条件が存在するかというアイディアは人それぞれです。一見関係ないと思われる条件を思いつく参加者もいるでしょう。その点で「独創性」を評価できます。

テーマ(お題)例

「外食産業の年間市場規模は?」
「日本にパソコンは何台あるか?」
「今この瞬間にスマートフォンを操作しているのは何人か?」

3.選択型

いくつかの選択肢から、優先順位を決めるお題です。複数の選択選択肢の中から良いと思われる項目を選択するものと、それぞれの選択肢に優先順位をつけるものがあります。

自由討論型・課題解決型と同様に、優先順位に正解はありません。優先順位付けは、各参加者の価値観(何を重視して、何を切り捨てるか)に依存します。

評価項目

  • 価値観
  • 論理性
  • 協調性
  • 柔軟性

優先順位に正解がないため、各参加者が「何を優先するか」は主観に依存します。そのため、参加者の「価値観」を評価できます。特に「これだけは絶対に譲れない」という価値感があるのであれば、採用選考の際にも非常に参考になります。

主観で決めた優先順位から、グループとしての結論を出すために、客観的に説明し、参加者が納得する理由を導き出す必要があります。そのため、自分の意見に関する「論理性」が求められます。

議論を重ねても、必ずしも全員が納得した「優先順位」が決まるわけではありません。そのため、他の参加者の価値観を受け入れる「協調性」や「柔軟性」も評価できます。

テーマ(お題)例

「この中で一人だけ採用するなら誰か」
「親、恋人、親友、お金のなかで、優先順位をつけてください」
「支社を立てるなら、複数ある候補地の中から、どこに立てるべきか?」

4.ディベート型

対立する二択の中から、それぞれの立場に立ち、議論を行う方法です。選択型とも類似しているお題になります。

グループ分けの方法としては、参加者の自由に選ばせる方法と予め指定する方法の2種類があります。自由に選ばせる方法は、議論が白熱しやすいですが、人数が偏らないように注意が必要です。

評価項目について

  • 論理性
  • 協調性

対立する立場の相手に対して、自分の立場を客観的に納得させる理由を説明する必要があります。自由に選ばせる方法でもどんな根拠を持っているのか、予め指定する方法でもどんな根拠を見つけるのか「論理性」を評価できます。

議論が白熱すると、相手を打ち負かすことが目的となり、自分の主張ばかりしてしまう可能性があります。相手の意見をしっかり聞く、それに対してコミュニケーションをとる「協調性」を評価できます。

テーマ(お題)例

「給与、待遇などが変わらない場合、大手企業と中小企業のどちらに就職すべきか?」
「人事評価は年功序列か成果主義か、どちらの方が良いか」
「商品Aと商品B、今後の主力製品としてどちらに力をいれるべきか」

求める人物像から、お題(テーマ)を決めよう

グループディスカッションは「コミュニケーション力」や「発信力」「傾聴力」を行動から評価できる方法です。

さらに「状況把握力」「論理性」などの他の評価も行いたい場合には、お題(テーマ)設定が大切です。

応募者の状況把握力、創造性、積極性などを見たい時は、自由討論・課題解決型で、明確な答えが存在しないテーマが選ばれます。

応募者の論理性を強く問いたい時は、フェルミ推定型が適しています。実際に調査するのが難しい、とらえどころのない数量に関連するテーマが選ばれます。

応募者の価値観をはっきり見たい時は、「何を一番高く評価するか、なにを切り捨てるか」、優先順位を考えさせられる選択型が選ばれます。そして、チームで最終結論にたどりつくための柔軟性も測れます。

応募者の協調性を見たい時は、応募者に二択をさせるディベート型が選ばれます。また応募者の論理性や価値観も見ることができます。

応募者の様々な部分を評価するために全てのお題を実施する、というのはコスト的に現実的ではありません。どのお題を選ぶべきかは、自社の「求める人物像」から、どのような能力の優先順位が高いのか、から判断するとよいでしょう。

グループディスカッションでの評価だけが全てではありません。筆記試験や面接などと組み合わせることで精度の高い評価や見極めが可能になります。自社の採用戦略にあった選考方法・評価方法を適切に選ぶことが大切です。

様々な角度から、客観的な評価を行うことが、面接の精度向上、すなわち会社の業績向上にもつながります。

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