ソーシャルスタイルとは?多くの企業が社内のコミュニケーションに課題を感じている
ビジネス上のさまざまな場面で、業務そのものよりも対人関係に悩む人は少なくありません。
苦手と感じる相手は、社内外を問わず誰しもどこかにいるものです。しかし苦手だからといって距離をとるばかりでは、ビジネスや人間関係に支障が出る可能性があります。
社内のコミュニケーションに問題を感じている企業は多くあります。HR Proの調査によると、調査対象となった企業の7割以上が「社内のコミュニケーションに課題がある」と思っていることが分かりました。
出典元『HR Pro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
同調査の「コミュニケーション不足が業務の障害になるか」という質問に対して「大いにそう思う・ややそう思う」と答えた企業は、合わせて97%でした。
出典元『HRpro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
HRproの調査から、ほぼすべての企業がコミュニケーションの重要性を理解しながらも、社内のコミュニケーションがうまくいっていないという結果が出ています。
社内のコミュニケーションを阻害する要因としては「組織風土・社風」「対面コミュニケーションの減少」「コミュニケーションスキルの低下」などが挙げられます。周りの人と良い関係を築くための方法として、ソーシャルスタイル理論というコミュニケーションの理論があります。
今回の記事では、ソーシャルスタイルの意味や目的、企業におけるメリットや活用方法などをご紹介します。
ソーシャルスタイルとは?意味や目的、スタイルの種類や活用方法について
ソーシャルスタイルとは、人の言動を「感情」と「意見」の強弱を表す4つのスタイルに分けて考えることで、相手との適切な接し方を判断するコミュニケーションの理論です。
弊社サービス「ミツカリ」でも、応募者や従業員のソーシャルスタイルが一覧で閲覧できる機能を提供しています。採用面接時に応募者の方との会話をスムーズにする、配属予定部署の従業員とのスタイルの違いを理解するなど採用時だけでなく、人事面談や1on1面談時のコミュニケーションを円滑にするマネジメント時にもご活用頂けるように提供しております。
ソーシャルスタイルの意味や目的、企業におけるメリットや活用方法などについて、順を追ってご説明します。
ソーシャルスタイルの意味や目的とは?
ソーシャルスタイルとは、米国の産業心理学者であるデビッド・メリル氏が1968年に提唱したコミュニケーションの理論です。
ソーシャルスタイルは、人の言動を4つのスタイルに分けて分析し、相手が望ましいと感じる対応を探して選択する方法として活用されています。人の言動は、4つのうちいずれかのスタイルに大まかな方向性として分類されるといわれています。
ソーシャルスタイル理論は、効果的なコミュニケーションを行うための手法として、多くの企業で取り入れられています。特に営業職や販売スタッフなどの顧客と直接関わる職業は、ソーシャルスタイル理論を理解することで、ビジネスでのコミュニケーションがよりスムーズになるとされています。
顧客と直接関わらない職業であっても、他の従業員に仕事のお願いをするなどの社内コミュニケーションは必ず発生します。全従業員がお互いのコミュニケーション特性を理解している企業は稀です。お互いの特性を理解することは従業員規模が増えるほど実現が困難になるため、4種類という簡易的な特性を活用することで、社内コミュニケーション円滑化の施策として企業内研修などに用いる企業が増加しています。
ソーシャルスタイルの種類とそれぞれの特徴とは?
ソーシャルスタイル理論では、人のコミュニケーションスタイルは「感情」と「意見」の強弱によって、以下のような4つのスタイルに分類されています。
- ドライビング(自分の意見を主張し、感情を抑える)
- エクスプレッシブ(自分の意見を主張し、感情を言葉に表す)
- エミアブル(相手の意見を傾聴し、感情を言葉に表す)
- アナリティカル(相手の意見を傾聴し、感情を抑える)
出典元『リクナビNEXTジャーナル』あなたは何タイプ?コミュニケーション上手になるための4タイプ診断法
1.ドライビング(自分の意見を主張し、感情を抑える)
ドライビングとは、一言でいえば迅速かつ合理的に仕事を進めるタイプです。
ドライビングな人は、感情表現があまり強くなく、合理的に物事を達成していく傾向にあります。ビジネスライクな性格で、プロセスよりも結果を重視し、決断力に優れています。
2.エクスプレッシブ(自分の意見を主張し、感情を言葉に表す)
エクスプレッシブとは、一言でいえば周りから注目されることを好むタイプです。
エクスプレッシブな人は、感情表現が豊かで、自ら先頭に立って人を率いていく傾向にあります。どこにいてもノリが良く、トレンドに敏感で新しいことにも積極的に取り組みます。
3.エミアブル(相手の意見を傾聴し、感情を言葉に表す)
エミアブルとは、一言でいえばどこにいてもみんなの調停役になるタイプです。
エミアブルな人は、周囲の気持ちに敏感で、自分の話をするよりも相手の話に耳を傾ける傾向にあります。いつも明るく、自分のことよりも組織全体の調和を重視します。
4.アナリティカル(相手の意見を傾聴し、感情を抑える)
アナリティカルとは、一言でいえば周囲を観察・分析するタイプです。
アナリティカルな人は、普段はあまり感情を表に出さず、自分が話すよりも聞き手側に回る傾向にあります。独特の価値観や雰囲気を持っている人が多く、データの収集や分析に黙々と取り組みます。
ソーシャルスタイルの活用方法とは?
ソーシャルスタイルを実際のコミュニケーションで活用する方法は、大きく3つのステップに分けられます。
- 自分のソーシャルスタイルを知る
- 相手のソーシャルスタイルを知る
- 相手のスタイルに合わせてコミュニケーションスタイルを決める
1.自分のソーシャルスタイルを知る
ソーシャルスタイルを実際のコミュニケーションで活用するためには、1つ目のステップとして、自分のソーシャルスタイルを知る必要があります。
他人とのコミュニケーションにおいては、自分がどのような人間なのかを知っていなければ「相手が求めている対応が何なのか」「自分に足りないところはどこなのか」という課題に気付くことができません。
自分で認識している性格と周囲からの評価の間には、たいていの場合違いがあります。「本来の自分を認めてもらえない」「よく誤解される」などのコミュニケーション上のミスは、他者の視点と自分の認識がズレていることから起こるケースが多くあります。
ソーシャルスタイル理論で自分がどのスタイルの人間かを知れば、周囲からの評価が分かるようになります。自分のスタイルをチェックする際には、自分の判断にこだわらず、同僚や上司といった他者の目線で診断してもらう方がよいでしょう。
2.相手のソーシャルスタイルを知る
ソーシャルスタイルを実際のコミュニケーションで活用するためには、2つ目のステップとして、相手のソーシャルスタイルスタイルを知る必要があります。
ソーシャルスタイル理論において、スタイルは「感情」と「意見」の2軸で分類されます。相手のソーシャルスタイルを分析する際には、普段の言動や表現方法を観察することから始めます。
相手のソーシャルスタイルの分析方法は、たとえば普段から自己主張が強ければ「ドライビング」か「エクスプレッシブ」に近く、更にあまり感情を表に出さないのであれば「ドライビング」に近いと推測できます。
3.相手のスタイルに合わせてコミュニケーションスタイルを決める
ソーシャルスタイルを実際のコミュニケーションで活用するためには、3つ目のステップとして、相手のスタイルに合わせてコミュニケーションスタイルを決める必要があります。
コミュニケーション上で問題が起こりやすいのは「自分のルール」を前提に話を進めてしまうケースです。初対面で相手のスタイルを推し量ることは難しいですが、自分主体ではなく相手に合わせたコミュニケーションを意識すれば、致命的な問題はほとんど起こりません。
ソーシャルスタイルを活用するメリットとは?
ソーシャルスタイルを活用するメリットは、自分と相手のソーシャルスタイルを理解することで、相手への適切なコミュニケーションを実践できるようになることです。
適切なコミュニケーションは、商談相手とのビジネスシーンだけでなく、社内のスムーズな業務連携やストレスの少ない職場環境の実現のためにも非常に重要です。
会社や部署などの組織においては、ソーシャルスタイルをもとに従業員がお互いの性格や価値観を認め合うことによって、より効果的な組織形成を図れるというメリットがあります。従業員がお互いの強みや弱みを理解して補い合うことで、組織全体として最高のパフォーマンスを発揮できます。
ソーシャルスタイルを活用する際の注意点とは?
ソーシャルスタイルの似た人材ばかりを集めた場合、社内のコミュニケーションが円滑になる反面、組織全体の価値観が偏って視野が狭くなる危険があります。
組織として最高のパフォーマンスを発揮するためには、同じソーシャルスタイルの人材ばかりを集めるのではなく、4つのソーシャルスタイルを持つ人材をバランスよく配置することが大切です。
ソーシャルスタイルは組織のパフォーマンス向上に役立つ!
ソーシャルスタイルとは、人の言動を4つのスタイルに分けて考えることで、相手との適切な接し方を判断するコミュニケーションの理論です。
適切なコミュニケーションは、商談相手とのビジネスシーンだけでなく、社内のスムーズな業務連携やストレスの少ない職場環境の実現のためにも非常に重要です。ソーシャルスタイルを活用すれば、従業員がお互いの強みや弱みを理解して補い合えるようになり、組織全体として最高のパフォーマンスを発揮できます。
弊社サービス「ミツカリ」では、72問10分程度の適性検査で応募者や従業員の性格特性を検出できます。今回の記事で取り上げた「ソーシャルスタイル」についても、性格特性と同時に検出できるため、自社の組織特徴を再確認するだけでなく、管理職と部下のコミュニケーション時の注意点としてもご活用いただけます。
社内の人間関係を良くするために、ソーシャルスタイルを活用して従業員のコミュニケーションの円滑化・効率化を図ってみてはいかがでしょうか。