アンコンシャスバイアストレーニングとは?研修で無意識の偏見を改善する

アンコンシャスバイアスと女性活躍推進の関係とは?

現在日本では、労働力人口の減少による深刻な労働力不足に対応するため、国や政府の主導で働き方改革が進められています。働き方改革と聞くと長時間労働の改善を想像しがちですが、労働時間の改善以外にも、労働力を確保するために様々な施策が誕生しています。

働き方改革の様々な施策の一つとして、女性の活躍推進に関する施策があります。長年問題となっていたM字カーブ(女性の労働力率を年齢別にグラフ化した際に表れるアルファベットの「M」の形に似た曲線のこと。20代で働き始め、30代で出産・育児のために退職し、子育てが一段落した40代で再び職に就くという傾向)は、現在改善傾向にあります。

内閣府男女共同参画局の調査によると、女性の就業率は最近数年間で飛躍的に上昇しています。まだM字カーブがなくなったわけではありませんが、1986年には48.4%、2006年には59.7%だった30歳~34歳の就業率が、2016年には69.8%まで上がり、一番下がるMの谷の数値が大きく改善しています。

女性の年齢階級別就業率の変化及び推移
出典元『内閣府男女共同参画局』女性の年齢階級別就業率の変化及び推移

生産年齢人口(15~64歳)における日本の女性の労働力率は、70%を超えるスウェーデンやドイツには及ばないものの、アメリカやフランスとほぼ同率の65%となっており、日本の女性の労働力は世界的に見ても向上していることが分かります。

主要国における年齢階級別労働力率
出典元『内閣府男女共同参画局』主要国における年齢階級別労働力率(男女別及び男女計)

女性の就業率が世界的に見ても向上している一方で、世界経済フォーラムによる2018年のジェンダーギャップ(男女格差)指数では、調査対象の149か国のうち、日本は110位とかなり低いランクに留まっています。女性の就業率が上がっているにもかかわらず男女格差が大きいとされるのは、就業後の評価や環境の不平等さが原因です。

現在の日本では、男女雇用機会均等法をはじめとして様々な女性の活躍支援の施策がなされているため、男女平等な社会になったと思っている人が多くいます。しかし、自覚の無い差別や偏見は、未だに多くの人の無意識の中に根強く残っています。

自覚の無い無意識の差別や偏見を表す言葉として、アンコンシャスバイアスという言葉があります。アンコンシャスバイアスは差別や偏見を持っている当人に自覚が無いため、差別や偏見が存在していることに気が付きにくいという特徴があります。

今回の記事では、アンコンシャスバイアス対策の研修やセミナーで行われるトレーニングについて、どのような方法と効果があるのかをご紹介します。

アンコンシャスバイアスとは?研修やセミナーでのトレーニング方法とは?

アンコンシャスバイアスとは、無意識・無自覚の差別や偏見を意味する言葉です。アンコンシャスバイアスは、多様な人材を労働力として迎え入れる際の障害となるため、企業で働き方改革を進める上で必ず対策しなければならない問題です。

アンコンシャスバイアスには、対策を難しくする厄介な特徴が2つあります。偏見を持っている当人に悪意が無いため、良かれと思って行った発言や行動からでも問題が発生してしまう点と、偏見を持っていることが分かっても、自身の価値観が偏見であることを認められないケースが多い点です。

アンコンシャスバイアスの研修やセミナーによるトレーニングの方法とは?

アンコンシャスバイアスは個人での認識と改善が難しいため、アンコンシャスバイアスに対策するためには、研修やセミナーによるトレーニングが効果的です。

アンコンシャスバイアス対策の研修やセミナーで行われるトレーニングは、大きく分けて3つのステップで行われます。

  1. アンコンシャスバイアスの意味と自身が持つ偏見を知る
  2. アンコンシャスバイアスを実際に体験して気付いたことを共有する
  3. 他者からの客観的な意見を聞いてフィードバックする

1.アンコンシャスバイアスの意味と自身が持つ偏見を知る

アンコンシャスバイアスのトレーニングの第1ステップとして、アンコンシャスバイアスとはどのようなものなのか、どのような弊害があるのかについて知ってもらうことから始めます。

アンコンシャスバイアスの意味を知らない人は大勢います。アンコンシャスバイアスとは何なのか、どのような弊害があるのかについて身近な例から説明し、自身が知らぬ間に偏見や色眼鏡で判断してしまっていたことを認識してもらいます。

アンコンシャスバイアスは誰もが持ち得る無意識の偏見であるため、多少のアンコンシャスバイアスを持っていることは仕方がないと伝えておくことが重要です。

2.アンコンシャスバイアスを実際に体験して気付いたことを共有する

アンコンシャスバイアスのトレーニングの第2ステップとして、アンコンシャスバイアスを実際に体験して、自身の気付きや他者への気付きを共有してもらいます。

アンコンシャスバイアスを体験する方法としては、来客役と応接役に分かれて応接役がお茶を出し、応接役が男性の時と女性の時でどう感じたかを発表・共有するといった、ロールプレイとディスカッションを組み合わせた研修が例として挙げられます。この例の場合は、多くの日本企業が持つ「お茶汲みは女性の仕事」というアンコンシャスバイアスが体験できます。

アンコンシャスバイアスを実際に体験してもらう目的は、アンコンシャスバイアスを持っている事実と、持っているアンコンシャスバイアスの内容を認識してもらうことです。アンコンシャスバイアスを認識してもらうためには「自分が偏見を持っていると思われたくない」と黙られてしまっては意味がないため、感じたことを積極的に発言してもらう必要があります。

積極的な発言を引き出すためには、アンコンシャスバイアスを持っていること自体はさほど問題ではなく、自身がアンコンシャスバイアスを持っていると認められず、改善の機会を逃してしまうことが問題であると事前に伝えておくことが大切です。

3.他者からの客観的な意見を聞いてフィードバックする

アンコンシャスバイアスのトレーニングの第3ステップとして、体験を通して認識した自身のアンコンシャスバイアスについて、他者からのフィードバックを取り入れてもらいます。

アンコンシャスバイアスを解決するためには、当人がアンコンシャスバイアスを持っていることを認識する必要がありますが、長年持っていた価値観が偏見であると当人だけで認めることは非常に困難です。自身のアンコンシャスバイアスを認めるためには、他者からの客観的な意見を聞き、フィードバックする方法が効果的です。

自身が持っているアンコンシャスバイアスについて、どこが問題でどのように改善すべきかを研修の参加者同士で共有する場を設けることで、自身のアンコンシャスバイアスを認めて改善するための機会を得ることができます。

自身の考えではなく他者からの客観的な意見をフィードバックすることで、自分がどんなことをどう捉える傾向にあるのか、無意識にどう思っているのかが分かり、アンコンシャスバイアスの認識と改善につながります。

アンコンシャスバイアスは研修やセミナーによるトレーニングで改善できる!

アンコンシャスバイアスとは、無意識・無自覚の差別や偏見を意味する言葉です。

アンコンシャスバイアスを解決するためには、当人がアンコンシャスバイアスを持っていることを認識する必要がありますが、長年持っていた価値観が偏見であると当人だけで認めることは非常に困難です。

アンコンシャスバイアスを認識するためには、アンコンシャスバイアスについての研修やセミナーを実施し、他者からの客観的な意見をフィードバックするトレーニングを行う方法が効果的です。自分がどんなことをどう捉える傾向にあるのか、無意識にどう思っているのかが分かり、アンコンシャスバイアスの認識と改善につながります。

自社から偏見や差別を無くし、多様な人材が働きやすい環境を整えるために、アンコンシャスバイアスのトレーニング研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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