トライアル雇用とは?目的やメリット・デメリット、問題点について

トライアル雇用助成金とは

トライアル雇用助成金とは、職業経験の不足などから、技能、知識が十分にないと思われる求職者、また安定的な就職が困難な求職者に対して早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的として生まれた制度です。ハローワークや職業紹介事業者等から求職者の紹介を受け、一定期間受け入れ、その後雇用するか否かを見極める取り組みです。この一定期間の受け入れ期間(トライアル期間)に雇用した際に国から助成されます。

現在売り手市場が加速し、労働力不足が懸念される中で、すべての企業が求めるスキルのある人を採用するのは難しいでしょう。技能や知識面での教育を見据えて採用活動を行うことが求められますが、一方で成長の見込みがなかった場合などのリスクがつきまといます。求職者としても「会社の業務がうまくできるか分からない」「自分にあった仕事なのか」などといった不安を持ち合わせています。企業と求職者、双方の不安を解決するためにトライアル雇用制度が生まれました。

トライアル雇用制度は、企業として本採用となる前に適性や能力、また今後成長の見込みがあるか等を見極めができ、求職者としても「会社の業務がうまくできるのか」や「自分にあった仕事なのか」を確認できます。今回は企業側の視点で、トライアル雇用助成金の概要やメリットなどについて説明します。

トライアル雇用の概要と目的とは

トライアル雇用の目的は求職者、事業所どちらにもあります。

求職者に対しては、貧困などから学校に通えなかった等、様々な事情から正社員採用へのハードルが高い求職者に常用雇用へのきっかけを作り多くの雇用を生み出すことです。政府としても、労働人口が減少している中で、働けるのに就業ができていない人材へ支援するのは理解できる考え方です。

事業所には、売り手市場で人材不足に悩んでいる企業へ人材を流入させ、今までは採用する対象として見ていなかった未就業者などを採用し育成することで、新たな人材確保の取組みを作っていくことです。見極め期間をおくことでミスマッチを防ぐことも目的としているでしょう。政府としても、就業する企業への制度導入を促進するために助成金制度として、早期に導入するメリットを掲げています。

トライアル雇用助成金には、一般トライアルコースと障害者トライアルコース、建設労働者向けのトライアルコースの3種類があります。今回は最も良く使われるであろう「一般トライアルコース」に絞って説明します。

トライアル雇用助成金の受給要件(労働者・事業主)

トライアル雇用の対象者(労働者)は下記の項目すべてに該当し、かつ紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合に対象となります。

  1.  紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望する
  2.  紹介日時点で、学校卒業後3年以内で、卒業後、安定した職業に就いていない
  3.  紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  4.  紹介日の前日時点で、離職している期間(パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていない)が1年を超えている。
  5.  妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  6.  就職の援助を行うに当たって、生活保護受給者、母子家庭等、特別な配慮を要する

事業所の対象はかなり細かく定められています。トライアル雇用の不正受給が社会的な問題となり「助成金を受給したら、労働者には基本的に辞職してもらう」などの行為が蔓延し、トライアル雇用制度の本来の目的とは程遠い実態になってしまったためです。

代表的なものを掲載しますが、詳細は都道府県労働局あるいはハローワークへ問い合わせするなど、十分な事前確認を行ってください。受給要件は日々変わる可能性があるので「トライアル雇用助成金を受ける準備をしていたら、要件が変わった」などのこともありえます。

  1. 対象者に係る紹介日前に、当該対象者を雇用することを約していない
  2.  トライアル雇用労働者に係る雇用保険被保険者資格取得の届出を行った
  3. 過去1年間において、対象者を雇用していた事業主と資本的・経済的・組織的関連性等から密接な関係にない
  4. トライアル雇用労働者に対して、トライアル雇用期間中に支払うべき賃金(時間外手当、休日手当等を含む。)を支払う
  5. 雇用保険適用事業所の事業主である。
  6. 労働基準法に規定する労働者名簿、賃金台帳等を整備・保管している

トライアル雇用助成金の受給金額について

トライアル雇用の対象者1人当たり、月額最大4万円、最長3カ月間、最大12万円が支給されます。

対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合や認定事業主が35歳未満の対象者に対しトライアル雇用を実施する場合は、いずれも1人当たり月額5万円(最長3カ月間)の最大15万円となります。

トライアル雇用制度のメリット・デメリットとは
(労働者・事業主)

トライアル雇用制度にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。自社にも取り入れるべきか、総合的に判断しましょう。

求職者のメリットについて

最大のメリットは、応募する業務の経験が全くない、未経験の状態ても応募できる点でしょう。新しい職種や業界にチャレンジする機会が広がります。仕事の業務知識や実務経験よりも今後のポテンシャル等が判断基準になり、かつトライアル期間があることで採用側の目線も下がり、採用のハードルも他と比べるとそうそう高くないといえます。

求職者もトライアル期間で企業や仕事内容等を見定めることができるので、自分にとってより良い仕事なのか、企業なのかということを判断できます。

求職者のデメリットについて

デメリットとしては、最初から正規社員での採用ではないので、雇用が不安定なことが挙げられます。3か月間の間に見定められ正規社員になるのは、時間ラグが発生します。

事業所のメリットについて

事業所のメリットとしては、今後のポテンシャルを面接だけでなく、働きぶりで評価判断できる点です。正規社員にする前に見極め期間が持てることは自社にあうかどうかといった点でも判断できます。

今まで採用したことのない層からの採用の視点で、会社に新しい影響を与えてくれるかもしれません。さらに国から助成金が入るため、採用コストの負担も抑えることができます。

事業所のデメリットについて

今まで就業した経験のない未経験者等が入社をしますので、現場の教育や指導の負荷がかかります。場合によっては、ビジネスマナーや社会人としての基礎を教えるところから始まりますので現場担当者の負担は増加すると考えられます。

申請して助成を受けるまでの事務手続きがかなり多く、制度内容を理解し、事前に手続きや日程を確認するなど担当者の工数負担が多くかかってきます。

トライアル雇用助成金の注意点とは

1つ目として雇用開始日から2週間以内に手続きが必要となる点です。事前に日程などを確認し計画的に手続きをしていく必要があります。

2つ目は、助成金を受けるためには自社の企業ページなどからの採用は適応外である点です。ハローワークやこの奨励金制度に対して厚生労働省に同意書を提出して認められた職業紹介事業者からの紹介でないと適応になりません。

3つ目は、助成金を不正受給しようとする企業がおり、制度自体の見直しが頻繁に行われていることです。受給要件や金額の変更だけでなく、今後制度そのものがなくなる可能性も0ではありません。受給前の検討段階はもちろんのこと、受給後であっても改正内容について、定期的に最新の情報を確認する必要があります。

未経験人材の確保に活用できるトライアル雇用制度

トライアル雇用は売り手市場が加速して労働力不足になり、スキルを有する人材の獲得が難しくなる中で、人材の確保に有効に活用できる制度です。しかし「スキルがない=即戦力ではない=教育・研修コストがかかる」ことでもあり、経営者・人事担当者だけの判断でなく、現場としても教育に割ける時間があるのか、時間を割いてまで人員補充が必要なのか等を見極めていく必要があるでしょう。

スキルを持ちあわせていない人材を教育できることは、今後事業を発展させて人材を確保していく上では非常に重要です。また一定のスキルを習得した上でも「キャリアアップを目指したい」など、よりよい環境を求めて離職される可能性もあるため、自社の労働環境の整備も必要です。まずは入り口として、未経験者をどのように事業戦略に組み込んでいくのかを考えみてはいかがでしょうか?

資料ダウンロードフォーム

「従業員離職防止ガイド 人事施策編」が無料でダウンロードできます

企業の経営課題にも発展する従業員の離職を減らすためには、既存人材と新規人材へのアプローチがあります。
それぞれのアプローチ方法を、離職を防ぐチェックリストとして資料化した小冊子を無料でダウンロードして頂けます。

以下のフォームに必須項目をご記入の上、ダウンロードしてください。

関連するタグ