就業者の3分の1が3年以内に離職している現実
離職率は人事担当者・経営者の頭を悩ませる課題の一つです。厚生労働省の調査によると、新規学卒者(大学)の3年以内の離職率は20年以上30%前後で推移しています。
中途採用においても同様の離職率となっています。中小企業庁の発表によると、中小企業を対象とした調査ではありますが、中途採用においても3年以内の離職率が30%を越えています。
出典元『中小企業庁』人材の定着
厚生労働省の若年層雇用実態調査によると、若年労働者の定着のために実施している対策がある企業が70.5%と、多くの企業が人材定着のための施策を実施しています。
離職率と定着率は表裏一体です。得られる結果は同じであったとしても、離職率を低下させるアプローチと定着率を向上させるアプローチは、違った視点で考えることもできます。
今回は定着率を向上させることで得られる企業のメリットについて説明します。
定着率向上により得られるメリットとは?
定着率を向上させることにより、企業は多くのメリットを享受できます。メリット一つ一つについて確認しましょう。
採用・教育コストの削減
定着率の向上によって短期的に得られるメリットは、採用・教育コストの削減です。
マイナビが行った調査によると、入社予定者一人あたりにかかる費用の平均は、広告費やセミナー運営費などの直接的な費用だけで53.4万円にものぼります。人材を採用するためには、選考や面接に時間と人材を割り当てなければなれず、単純にその時間を時給換算するだけでも結構なコストになることがわかります。
出典元『マイナビ 新卒採用サポネット』新卒採用の予算について
大企業であればスケールメリットでひとりあたりの人件費を比較的低く抑えることができますが、小さな事業所などでは、業務や予算を圧迫する割合は大きくなります。
どんなに優秀な人材であっても自社特有の業務内容に慣れなければ活躍できないため、入社後に一定の研修を受ける必要があります。特に新卒の社員であれば業界のルールやビジネスマナーを含めた教育の為さらに長い期間が必要になり、研修や教育にかかるコストは大きなものになります。
労働生産性の向上
業務に慣れれば慣れるほど、時間あたりの労働生産性は高くなります。ベテランの社員になればなるほど、業務の流れを正確に把握し効率的に動くことができるようになります。
定着率が上がることで、社員の中にベテランが増え、彼らは他の社員に気を配ったり、お互いの特徴を把握し合うことでより効率のいい業務フローや親密で居心地のよい職場環境を作ることが可能になります。
社員のモラル・モチベーションの向上
離職率が高い職場の場合、採用・教育をする側も、採用された側の社員も「どうせすぐ辞めるから」と教育やマネジメントをするモチベーションが削がれてしまいます。投げやりなやり方で教えられた社員は後任の社員にも同じようなやり方で教育をするようになりますし、教えられる側も、業務に必要な最小限のことを学ぶにとどめようとします。
人間関係に対しても、良好な人間関係を構築する努力を怠りがちになってしまいます。一言で言えば、職場を大切にしない雰囲気が出来上がってしまいます。一方で、定着率の高い職場では、良好な職場環境ができやすく社員のモチベーションも高くなります。それは顧客満足度にも大きな影響を与えます。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上は定着率向上によって最終的に得られる最も大きなメリットです。
一件の顧客に対し一人の社員が変わらずに担当し続けることはそれだけで顧客に大きな安心を与えますし、頻繁に入る教育に業務時間を割かれることもなく、業務に熟達したベテランとしっかりと新人であってもしっかりと教育を受けた社員、しかも長く付き合う同僚としてお互いを大事にし合う環境においては、顧客の信用や満足度は向上します。
風評被害の防止
3年以内の離職率は、求職者が会社のことを判断し特定のイメージを持つ一つの指標になります。離職率が高い企業はそれだけで「社員を使い捨てる」や「激務」などのマイナスイメージを持たれてしまいます。
一方で定着率が高ければ、それだけ社員を大切にする魅力的な企業に映ることになります。
定着率アップは目的にも手段にもなる!
定着率は採用・教育コストの削減などだけでなく、業績アップにも密接に関係していることから、あらゆる企業において優先的に取り組むべき大きな問題です。
定着率は職場の雰囲気や社員のモチベーションにも大きく関わる、人事担当者だけでなく全従業員における問題であることを認識する必要があります。人手不足倒産は年々増加しており、少子化による労働人口の減少も暫くは続くため、定着率を向上させるメリットをまずは再認識しましょう。
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