ブラザーシスター制度とメンター制度との違いとは?
新人の教育研修制度において「ブラザーシスター制度」や「メンター制度」が用いられています。「ブラザーシスター制度」「メンター制度」とも、社員の定着や育成を目的とした制度です。
「ブラザーシスター制度」と「メンター制度」を厳密に定義すると、異なる制度です。ともに人材の教育を目的としていますが、メンター制度は「全社員を対象」としており、ブラザーシスター制度は「新入社員を対象」としている点が異なります。
メンター制度では、メンターにはメンティとは「別の部署の社員」が就いてメンティをサポートします。ブラザーシスター制度では「同じ部署の社員が」ブラザー・シスターとして、新入社員のサポートを行います。
ブラザーシスター制度は、メンター制度と合わせて、日本の約半数の企業が導入している制度と言われています。準ずる制度としてブラザーシスター制度が含まれるかは不明ですが、メンター制度・ブラザーシスター制度の共に導入していない企業は半数以下と考えることができます。
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!
本記事では、ブラザーシスター制度の制度概要や制度の目的、制度導入で期待できる効果などについて、ご紹介します。
ブラザーシスター制度について正しく知ろう!
ブラザーシスター制度とは、人材育成制度の1つで、新入社員教育にフォーカスした制度です。同じ部署の若手先輩社員が、新入社員をサポートするためにブラザー(兄)、シスター(姉)役となり、仕事や職場の人間関係などの悩みを聞いたり、アドバイスを行うというものです。
業務内容の不明点の質問だけでなく、誰に聞いたら答えが得られるのかといった内容や、今後のキャリアプラン・キャリアパスなどの質問も含まれます。
ブラザーシスター制度の目的とは
ブラザーシスター制度の目的は、新入社員の会社への定着率を上げることに尽きます。新規大卒者の入社3年未満の離職率は、30%超の状況が続いており、企業にとって自社社員の離職を防ぐことは重要課題の1つとなっています。
入社前にミスマッチやギャップを最小限に止める努力をしつつ、人材育成制度などを運用しながら、新入社員の定着を図ることが急務となっています。
ブラザーシスター制度導入で得られる効果とは
期待できる効果としては、新入社員の職場への定着が挙げられます。実際にブラザーシスター制度でサポート役となるブラザー(兄)とシスター(姉)を公募制で運用しているアサヒビール株式会社では、離職率の低下に繋がっているとされています。
データでは表しにくいものの、新入社員に対して指導を行うため、ブラザー・シスター側のマネジメントスキルの向上や、職場の一体感といった効果も期待されています。
ブラザーシスター制度のデメリットとは
新入社員の定着率向上やマネジメントスキル向上などのメリットだけでなく、デメリットも存在します。
1つ目としては業務負担の増加が挙げられます。ブラザー(兄)やシスター(姉)になる先輩社員は、自らの業務に加えて新入社員のサポートが求められます。全従業員がブラザーシスター制度への理解を持つことで、業務を分担するなどでの負担軽減など、職場の理解は必要不可欠でしょう。
2つ目としては新入社員の自立心が養われにくくなる点も挙げられます。新入社員のうちは分からないことが多いためにサポートが多くなりますが、課題に直面した場合に都度相談をしている場合には、新入社員自身が課題を解決する能力を身につけるのが遅くなる可能性があります。すべてをサポートするのではなく、適切なサポートが求められます。
ブラザーシスター制度・メンター制度の違いをまとめると
ブラザーシスター制度での指導者は入社2年・3年程度の若手社員であり、指導を受ける人は新入社員となります。指導内容としては、業務上の指導やアドバイス、人間関係を含む仕事上のメンタルサポートが挙げられます。
メンター制度での指導者は別の部署の先輩や上司であり、指導を受ける人は全社員が対象となりえます。指導内容としては、指導を受ける人(メンティ)のキャリア形成が挙げられます。
気軽に取り入れやすいのがブラザーシスター制度!
ブラザーシスター制度は、新入社員の入社後のフォローアップの一環として行うため、メンター制度よりも取り入れやすい制度です。指導役であるブラザーシスター役が関わる範囲はメンター制度に比べて限定的であり、また、先輩社員が入社したての後輩社員をサポートするというごく自然の流れの中で、よりカジュアルに導入できます。
「新入社員の定着」という制度導入の目的も明確であるため、同じ部署内で一体感を持ち、課題解決に向けて動けるというメリットもあります。効果的なブラザーシスター制度運用のためには、メンター制度と同様、新入社員と先輩社員との相性を考慮するなど、様々な点に留意することが重要でしょう。