構造化面接とは?目的や進め方、メリット・デメリットについて

Googleも採用する面接の手法「構造化面接」とは

構造化面接とは、臨床心理学におけるアプローチのひとつで、「あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、マニュアル通りに実施していく」という面接手法です。

構造化面接の最大のメリットは、面接者が誰であっても一定の基準で候補者を評価できることが挙げられます。複数人の面接官による評価のばらつきを抑えることができます。統一感のある採用選考は、複数人が絡む採用選考プロセスの効率化にも大きく貢献します。

構造化面接を取り入れるべき採用チームの特徴4つとは

  1. 1回の面接時間を短縮したいが、なかなか実現できていない
  2. 面接後の評価において採用チーム内で意見が割れることがある
  3. 採用計画達成のために、採用基準未達の人材にも内定を出している
  4. 入社して半年以内の早期退職者がいる

構造化面接を導入することをおすすめしたい採用チームは、こうした特徴を複数合わせ持つチームです。これらの問題が生じる背景にある課題は2つあります。

1つ目は、応募者見極めの判断基準が曖昧であることです。2つ目は、面接官が主観で質問と評価を行っていることがあげられます。

具体的には面接の多くの時間を想定質問や誘導質問に費やしていたり、面接官がハロー効果に引きずられて評価を行っているケースが多く見られます。

構造化面接の定義や目的とは?

構造化面接とは「自社の採用要件を明確にしたうえで、あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、マニュアル通りに面接を実施していく面接手法」と定義されています。

構造化面接を導入する目的は、応募者のパフォーマンスを客観的に予測して合否判定を出すことで、採用のミスマッチを防ぎ、採用の効率化を図ることです。上述したような課題の解決に役立ちます。

構造化面接の進め方について

構造化面接を実施する際は、4つのステップを意識しましょう。

  1. 自社の採用基準を明確にし、評価項目・評価基準を設定する。
  2. 起点となる質問をする。
  3. フォローアップとなる質問をして掘り下げる。
  4. 評価項目ごとに4〜5段階の評価基準を策定し、面接合否を判定する。

1.自社の採用基準を明確にし、評価項目・評価基準を設定する

面接では、具体的に何を評価するのかの評価項目だけでなく、どのように評価するのかの評価基準を設定することが大切です。評価項目・評価基準は自社がどのような人材を採用したいのか、採用基準を具体的かつ明確にする必要があります。

面接は非常に限られた時間内で実施しなければなりません。評価項目が決まっていなければ、どんな質問をしたら良いのかが分かりません。評価項目が決まっていても、評価基準が決まっていなければ、面接官ごとに人物に対する評価が変わってしまいます。

2.起点となる質問をする

例えば「計画力」という評価項目を採用における重要指標とした場合には、「プロジェクト計画段階の設計が功を奏して、成果を収めた経験についてお聞かせください」など、応募者が持つ計画力についての話題を促します。

大切なのは、何を評価したいのかの目的に沿った内容にすることです。目的に沿っていない質問になってしまうと、ただの雑談で終わってしまい、「計画力がある人材なのか」の評価ができなくなってしまいます。

3.フォローアップとなる質問をして掘り下げる。

2で行った起点となる質問からずれないよう、掘り下げるための質問を用意しておきます。

失敗した話や苦労した話があれば、具体的にどんな問題があると考えたのか、いつ問題であると気がついたのか、どのような解決策で対応したのか、プロジェクト内での役割は何かなど、掘り下げられる質問は多数あります。評価項目・評価基準をより掘り下げていくことで、聞くべき質問内容も異なります。

4.評価項目ごとに4〜5段階の評価基準を策定し、面接合否を判定する。

「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」などのように評価基準を区分し、その判断基準も明文化しておきます。

失敗した話や苦労した話のなかで、主体的に行動して解決しているのであれば「非常に良い」、プロジェクトリーダーに従うなど主体的な解決策ではないものの解決に貢献したと考えられるのであれば「良い」、失敗した話や苦労がなかったり主体的な動きが見られなければ「普通」、現実味のないエピソードや再現性のない解決策であれば「悪い」など、自社の採用基準ではどの程度のスキルが求められるのかを明確にしておけば、必然的に評価基準も明確となります。

また、質問を作る際には、以下3つのフレームを活用すると良いでしょう。

行動面接手法

STARと呼ばれる手法を用いて、応募者の行動に基づいた質問をする方法です。

S(Situation) :そのときの状況について問いかける
T(Task):そのときの課題について問いかける
A(Action):どのような行動を取ったのかを尋ねる
R(Tesult):どのような成果を得られたのかを尋ねる

状況面接

行動面接では応募者の過去の体験に基づく質問を行いますが、状況面接では仮説に基づいた質問をします。

「もし〜という状況だったら」という仮説のもと、STARに沿って質問を投げかけるこ
とで、経験に裏打ちされた応募者の力量を測っていくのです。

コンピテンシーモデルの活用

コンピテンシーと呼ばれる、ハイパフォーマーに共通する行動・思考の特性を職種ごとにあらかじめ用意しておき、この指標と応募者の過去の成果を見比べることで、応募者の未来の成果を予測するのです。

構造化面接のメリットとは

構造化面接の最大は、面接者が誰であっても一定の基準で候補者を評価できることです。一度に大量の面接を行う場合でも、面接官のスキルや経験に左右されない面接を行うことができ、面接官による評価のばらつきを抑えることが可能となります。

理想的な面接は、1次面接で通った方は2次面接もみんな合格する、そんな採用です。1次面接でのフィルター機能向上には、構造化面接はうってつけの手法です。

面接の結果を評点化しやすく、遠隔でも結果を共有しやすいというメリットもあります。構造化面接を導入することは、採用のIT化にも適しており採用業務の効率化を進めやすいのです。

構造化面接のデメリットとは

構造化面接のデメリットは、大きく3つ挙げられます。

  • あらかじめ用意された質問への答え以上の情報を得にくいため、面接が確認的な機能しか果たさなくなる。
  • 応募者の新たな側面を見出す、自由な発想を発見するなどが難しい。
  • 応募者によっては、尋問されたような感覚に陥る場合もあり、企業への好感度が下がる。

構造化面接を行う際の注意点について

構造化面接では質問をあらかじめ用意しておくため、事業方針が変わった場合など、採用目的の変更に応じてアップデートが必要となるので注意が必要です。

古い目的のままで構造化面接を実施してしまうと、面接で評価できる項目や基準が現在の採用目的と一致せず、どんな人物かの予測は立つが、採用すべき人材であるかが判断できないなどの状況に陥ってしまいます。

構造化面接は「採用目的」に合わせて設計しよう

構造化面接を行うことは、あくまでも採用活動の過程のひとつに過ぎません。目指すべきは、構造化面接を行うことで採用工数を削減しつつも採用確度は上がる、そんな姿です。

質問やマニュアルを整える前に、経営戦略・事業戦略に沿った人材採用ができるよう、構造化面接で質問する内容や期待する回答を見直すことが重要です。

面接でどんな事柄や能力を評価したいのか、例えば論理的思考能力であったり積極性であったり、候補者に期待するものは何なのか、採用目的に合った構造化面接を設計することで、採用業務の効率化も図れるのではないでしょうか。

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