人材ポートフォリオとは?人材難に対応したマネジメント手法!
日本では現在、政府が打ち出した「一億総活躍社会」のキャッチフレーズのもとに、働き方改革が進められています。
従来では主要な働き手として見られてこなかった女性や、生産年齢人口でなくなった65歳以上の人材、派遣社員などの様々な働き手が活躍できる方法として、裁量労働制や時短勤務、リモートワークやパラレルキャリアなど、様々な働き方が推奨されています。
人材ポートフォリオとは、売り手市場の影響で人材獲得が困難になり、慢性的な労働力不足から多様な人材の活用が求められる中で注目されている、様々な事情を抱えた人材の働き方をサポートする人材マネジメントの手法です。
今回の記事では、人材ポートフォリオとは何なのかという言葉の意味から、人材マネジメント手法としてのメリット・デメリットを説明していきます。
人材ポートフォリオの意味と目的、メリット・デメリットとは?
人材ポートフォリオの「ポートフォリオ」とは、元々の意味としては「紙を綴じる綴じ紐や書類入れ」のことです。
ポートフォリオという言葉は、提示する相手や状況に合わせて自由に差し替えたり組み合わせを変えていくといったニュアンスから、金融業界で有価証券の組み合わせや個人の資産構成を意味する用語として使われ始めました。
人材ポートフォリオとは、自社にとって必要な人材の構成を考える、人材の構成に対する資源の配分を考えるなどの、人事戦略を意味する言葉です。
人材ポートフォリオの意味と目的とは?
人材ポートフォリオとは、様々な雇用形態や能力を持った社員を、組織の状況や事業の戦略に合わせて適切に配置するための、人材マネジメントの手法です。
人材ポートフォリオを設計するうえでの重要な要素は、個々の人材の状況や能力の分析と、分析した人材の配分です。2つの軸をもとに人材を4種類に分類し、人材配分の最適化を目指していくやり方が、人材ポートフォリオ設計の最も一般的な手法です。
2つの軸を「創造-運用」「組織-個人」と設定した場合、人材の種類は以下の4つに分類されます。
- クリエイティブ人材(創造・個人)
- マネジメント人材(創造・組織)
- エキスパート人材(運用・個人)
- オペレーション人材(運用・組織)
出典元『クレイア・コンサルティング株式会社』人材ポートフォリオ設計
クリエイティブ人材であれば個人の能力を発揮しやすい環境に配置する、マネジメント人材であれば評価や処遇は組織全体の業績と連動させるなど、各人材に対し適切な評価方法や仕事の割り振りなどを行うことで、人材の能力を最大限に引き出します。
人材ポートフォリオを活用するメリットとは?
人材ポートフォリオを活用するメリットとしては、各人材の能力や個性に合わせた配置を行い、人材の特性を最大限に活かせることによる、労働生産性の向上が挙げられます。
経営側が人材の配置を把握しやすくなり、人材不足や余剰を適切に管理できるようになることも、人材ポートフォリオを活用する大きなメリットです。
どのような人材配置にも強みや弱みがありますが、現在の配置の強みや弱みを把握することで、将来起こりうる問題を予測して前もって対応したり、事業戦略の変更に対応して社員の割り振りや重点を変えたりと、状況の変化に対応した採用戦略が取りやすくなります。
人材ポートフォリオを活用するデメリットとは?
人材ポートフォリオを活用するデメリットとしては、正確な人材ポートフォリオを設計するための適性分析に、相応の手間と時間が必要になることが挙げられます。
誤った分析にもとづく配置をしてしまうと、社員の不満増加や労働生産性の低下につながる恐れがあるため、人材ポートフォリオを導入する際の適性分析には、手間と時間を惜しまないことが大切です。
人材ポートフォリオを導入する際の注意点とは?
人材ポートフォリオを導入する際には、事業の戦略上で重要になる2つの軸を「創造ー運用」「組織ー個人」といったように、簡潔な言葉に落とし込む必要があります。
人材ポートフォリオはあくまで分析のための手法なので、分析結果から最適な人材の配置や必要な新規の人材を判断し、具体的な業務につなげる作業も必要になります。
人材ポートフォリオで組織の労働生産性を向上させよう!
人材ポートフォリオとは、様々な雇用形態や能力を持った社員を、組織の状況や事業の戦略に合わせて適切に配置するための、人材マネジメントの手法です。
人材ポートフォリオは、売り手市場による労働力不足や、働き方改革による多様な人材の活躍などの要因により人材マネジメントの重要性が増している中で、どんな企業でも比較的取り組みやすく効果が出やすい手法です。
人材を適材適所に配置し、人材が持つ能力を最大限に活かすことで労働生産性の向上が図れる人材ポートフォリオを、人材マネジメントの手法として取り入れてみてはいかがでしょうか。
人材ポートフォリオの具体的な手法や作り方などについては、次回以降の記事で解説していきます。