組織適応力の高い人材を見抜く指標、組織適応性とは?
組織適応性とは、人材がどのような組織風土と相性が良いかを判断するための根拠となる、人材の性格や価値観の傾向を意味する言葉です。
組織適応性は、部署やチームなどの組織と個人の適応の度合いを分析するために最適な指標の1つとして、様々な業種・職種で活用されています。
UZUZの調査によると、重要な退職理由は1位が「仕事が自分に合わなかった」で16.7%、2位が「労働時間が長かった」で13.8%、3位が「社風が合わなかった」で13.4%でした。
出典元『UZUZ』【調査リリース】第二新卒・既卒の20代に聞いた就職活動に関する調査
退職理由の調査結果1位の「仕事が合わなかった」という理由は、職務適応性や仕事の進め方・評価のされ方である、組織適応性が原因になっているケースが多くあります。また3位の「社風が合わなかった」という理由も、組織適応性を事前に確認すれば、退職を防げた可能性があります。
同一業界・同一職種であっても、仕事の進め方や評価の仕方は企業ごとに異なるため、人材の組織適応性が組織風土にマッチしているかの確認は非常に重要です。
人材の組織適応性と組織風土とのミスマッチは、生産性の低下を引き起こすだけでなく早期離職にもつながってしまう可能性があるため、採用や異動といった人事業務では人材の組織適応性を常に意識しておく必要があります。
今回の記事では、自社への組織適応力が高い人材を見抜くために、組織適応性にはどのようなタイプがあるのかをご紹介します。
組織適応性とは?組織適応力の高い人材を見極める方法について
組織適応力とは、人材の組織への適応しやすさを意味する言葉です。組織適応力の高い人材を見極めるためには、組織適応性にどのような種類があるのかについて知っておく必要があります。
組織適応性の意味や目的についてご説明した上で、組織適応性にはどのような種類があるかをご紹介します。
組織適応性の意味や目的とは?
組織適応性とは、人材がどのような組織風土と相性が良いかを判断するための根拠となる、人材の性格や価値観の傾向を意味する言葉です。
売り手市場が続く現在の人材市場において、多くの企業が「長く活躍する人材を採用する」ことを大きな目的にしています。自社で長く働いてもらうために各企業で様々な施策がなされていますが、厚生労働省が調査した新卒者の入社後3年以内の離職率は、最も離職率が低い大学卒でもほぼ毎年30%を超えている状況が続いています。(平成28年・29年は、2年目・3年目の離職率が未集計のため、数値が低くなっています)
組織適応性は、人材の獲得が難しい現在の人材市場において「いかに早期離職者の代わりを確保するか」ではなく「そもそもの早期離職者の数を減らす」という目的で注目を集めています。
組織適応性の活用法としては、社員の価値観やパーソナリティから自社の社風や組織風土を分析し、応募者の価値観やパーソナリティと比較した結果を、採用や配置の判断基準に活用する方法が一般的です。
組織適応性の種類とは?性格や価値観によって分けられる4つの傾向について
組織適応性は、性格や価値観などの傾向から、大きく4種類のタイプに分けられます。
- 創造重視:チームの一体感を求め、リスクをとるチャレンジャータイプ
- 結果重視:ビジネスライクで、リスクをとるビジネスパーソンタイプ
- 調和重視:チームの一体感を求め、確実性を重視する堅実タイプ
- 秩序重視:ビジネスライクで、確実性を重視する組織タイプ
出典元『SPI3ニュース』研究結果からみる、メンター制度の有効性と成功のカギ
組織適応性のタイプごとのマッチングが上手くいけば、人材は自分に合った職場で働けることでモチベーションや生産性が上がり、企業は自社に定着しやすい人材を採用できるようになります。
1.創造重視:チームの一体感を求め、リスクをとるチャレンジャータイプ
創造重視とは、新しい事業やサービスを創造することに向いているタイプです。
創造重視の度合いが高い人材は、基本的に社交的で、自分の考えを率直に表せるコミュニケーション能力に長けたタイプです。仕事の上では、結果だけでなく、結果に至るまでの過程も含めて評価して欲しいタイプです。
創造重視の人材は、人間関係の構築やチームワークが大切で、仕事で成果を出す為にはまずプロセスの質を上げたいタイプなので、企画や制作などが向いています。IT系やWEB系、広告業界や商社などの変化に富んだ業界で活躍します。
2.結果重視:ビジネスライクで、リスクをとるビジネスパーソンタイプ
結果重視とは、合理性を重視しつつ自分のペースで仕事を遂行したいタイプです。
結果重視の度合いが高い人材は、合理性を重視しつつ高い目標に意欲的に取り組み、何事にも挑戦的なタイプです。仕事の上では、論理性を重視し、過程よりも結果を評価してほしいタイプです。
結果重視の人材は、プロセスよりは最終的な結果を見て評価してほしいタイプなので、自身の実力が成果に直接反映されるような評価制度のある企業が向いています。外資系企業や金融系、コンサル系などの業界で活躍します。
3.調和重視:チームの一体感を求め、確実性を重視する堅実タイプ
調和重視とは、自由や多様性などを尊重し、チームプレーを重視しながら着実に物事を進めるタイプです。
調和重視の度合いが高い人材は、自由と多様性を重視し、人間関係や環境の歪みなどを敏感に察知する傾向があります。仕事の上では、チームの和を重視して対立が起こらないように調整し、物事を円滑に進めることを得意とします。
結果重視の人材は、チームワークや多様性を生かすチームリーダーや調整役、利害関係を調整するような経理・財務、人事・総務系などの仕事が向いています。ネットワ―ク管理やシステム設計のような、着実性が求められる業界で活躍します。
4.秩序重視:ビジネスライクで、確実性を重視する組織タイプ
秩序重視とは、手続きや規則に従って行動し、計画的に物事を進めるタイプです。
秩序重視の度合いが高い人材は、細かいことに気を配り、落ち着いて仕事に取り組むタイプです。仕事の上では、きちんと順序・ステップを踏み、真面目で常識的な判断をするタイプです。
秩序重視の人材は、簿記や伝票作成業務、定型業務の推進など、ルールに従った業務を行う仕事が向いています。事務職や公務員のような、真面目さや確実性が求められる業界で活躍します。
組織適応性は人事業務の重要な指標になる!
組織適応性とは、人材がどのような組織風土と相性が良いかを判断するための根拠となる、人材の性格や価値観の傾向を意味する言葉です。
組織適応性は適性検査によって調べることができますが、組織適応力の高い人材を見極めるためには、組織適応性にどのような種類があるのかについて知っておく必要があります。
自社の組織風土に合った組織適応性を持つ人材は、会社への定着率や仕事へのモチベーションが高くなりやすく、離職率の改善や生産性の向上が期待できます。採用や配属などの人事業務において、組織適応性は重要な指標になっていくでしょう。