労働移動支援助成金とは?再就職の人材採用を強化できる助成金!

人材採用時に使える助成金とは?

売り手市場によって、人材を確保することが難しくなるのと比例して、1人あたりを採用する金額についても年々上昇しています。

2014年のマイナビの調査によると、各社が中途採用時に使用する求人広告費の平均は年間353万円、人材紹介費は382万円と少なくない金額となっています。1人採用あたりの当たり求人広告費の平均もおよそ40万円ほどとなっています。

求人広告費が「昨年より大幅に増えた企業」は38.4%、「やや増えた」は30.1%と、約7割の企業が「求人広告費が増えた」と回答し、年々採用コストは上昇している傾向があります。

求人広告費の実績
出典元『マイナビニュース』年間採用経費は353万円、1人当たりの求人広告費は機電系の「64万円」が最高

アベノミクスや東京オリンピックの影響で経済が活性化する一方で労働人口は減少していくため、売り手市場がどんどん加速し、人材獲得競争が激化することは想像に難くありません。今後より採用コストの負担は増えていく可能性は高いでしょう。特に中小企業などは、ある程度の採用費を掛けないと人材が集まらない現状があり、コスト面でも厳しい状況に陥っております。

厚生労働省は、人材採用を促進させようと様々な助成金(補助金)を設けています。該当する助成金があれば、コスト負担を抑えることができるため申請しない手はありません。

助成金については様々な種類や該当要件などで複雑化しており、理解が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では「離職者の円滑な労働移動を図る場合の助成金」として「労働移動支援助成金」についてお伝えします。労働移動支援助成金についても、複数の助成金がありますので、概要を説明します。

再就職者が対象の労働移動支援助成金とは

厚生労働省が出している採用や雇用についての助成金は数多くあります、今回はその中の「労働移動支援助成金」に焦点を当てます。

労働移動支援助成金とは、離職を余儀なくされる労働者に対して、再就職支援や職業訓練等を行った事業主に給付される助成金のことで、再就職支援給付金とも呼ばれます。国としても、日本の年功序列型から通ずる「維持型の雇用」から「移動型の雇用」へと転換していくことを期待しており、移動型の雇用支援を行う制度です。

労働移動支援助成金のコースについて

労働移動支援助成金は「再就職支援コース」「早期雇入れ支援コース」「中途採用拡大コース」の3種類があります。各コースは目的が違いますので、それぞれについて確認しましょう。

再就職支援コース(離職を余儀なくされる従業員を支援する)

再就職支援コースは、離職者の再就職に関して支援を行った際に助成されるコースです。事業規模の縮小などによって、従業員に離職してもらわなければならない状況に陥った場合などに、次の就職先を探す支援を促進するコースとなっています。

従業員の次の仕事探しを行うために人材職業紹介事業会社に支援を委託した場合、委託にかかった費用の一部が助成されます。また再就職をスムーズにするための訓練やグループワークを実施した場合は、支援金額が上乗せされます。

離職が決まっている労働者に対して、就職活動を行うための休暇を与えた場合や、再就職を実現するための訓練を教育訓練施設等に委託した場合にも、助成の対象となります。

早期雇入れ支援コース(離職を余儀なくされた求職者を雇う)

早期雇入れ支援コースは、再就職支援計画などの対象である求職者を、離職後3ヶ月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、継続して雇用することで助成されれうコースです。離職を余儀なくされる求職者の方は、多くの場合急な離職を迫られ、転職活動の準備が難しいです。彼らの早期就職を支援するコースとなっています。

ただし、有期雇用契約(契約社員や紹介予定派遣)などは対象外となります。離職後3ヶ月というと猶予期間があるように思えますが、転職活動の準備や選考期間、入社準備などとスムーズに進めていなければ、対象外になってしまう可能性があります。

中途採用拡大コース(中途採用を強化する)

中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備し、生産性の向上を図った際に助成されるコースです。現在は減少傾向にありますが、新卒採用のみを行っている企業も多かったり、中途採用を行っていても年齢制限を設けている(年齢制限を設けるのは原則禁止されていますが、別の理由で採用を断るなどで、暗黙のルールとして存在しています)と、転職が難しくなるため、この制限の緩和を支援するコースです。

対象となるのは①中途採用率50%未満の事業所が20ポイント以上向上させた場合②45歳以上の方を初めて中途採用した場合になります。さらに生産性が6%以上向上している場合、追加で「生産性向上助成」を受給できます。

各コースで助成される金額とは

各コースでもらえる助成金額は、一律ではなく、それぞれ異なります。各コースについて説明します。

再就職支援コースの助成金額

再就職支援コースでは「再就職支援を職業紹介事業者に委託する場合」と「求職活動のための休暇を付与する場合」、「再就職のための訓練を職業訓練施設などに委託する場合」の3つに分けられます。

再就職の支援を職業紹介事業者に委託する場合

再就職を支援する場合には、3種類の支援金額の合計が支払われます。総委託費用もしくは60万円のいずれか低いほうが上限金額となります。

1つ目として、通常の費用があります。総委託費用から、訓練実施費用・グループワーク加算金額を除いた金額に対して、比率として計算されます。中小企業主であるか、特例区分であるかによって、比率が異なります。最も良い比率は、中小企業主であり特例区分に該当する、45歳以上を対象にした再就職支援の場合は80%が支給されます。逆に中小企業主でなく、特例区分にも該当しない、45歳未満の場合は25%が支給されます。

2つ目として、訓練実施費用があります。上限30万円として、訓練実施に関わる費用の2/3が助成されます。

3つ目として、グループワーク費用があります。3回以上の実施で1万円が加算されます。

この金額が、1人あたりで支給されます。1事業所あたりの上限は500人となっています。

求職活動のための休暇を付与する場合

休暇1日あたり5,000円、最大180日分が支給されます。中小企業主であれば、1日あたり8,000円となります。再就職が実現していなければ、そもそも支給されない点には注意しましょう。

離職の翌日から1ヶ月以内に再就職が実現した場合は、1人につき10万円が加算されます。

再就職のための訓練を職業訓練施設などに委託する場合

訓練実施の費用の2/3が助成されます。上限は30万円となっています。再就職が実現していなければ、支給されません。

早期雇入れ支援コースの助成金額

早期雇入れコースでは、支給対象者1人につき30万円が支給されます。優遇助成の条件と賃金基準を満たした場合には、最大100万円が支給されます。

優遇助成の条件を満たすためには、事業所の成長性が認められるか、早期雇入れを行った従業員が一定の条件を満たす事業所から離職したものかの2つの観点で判定されます。

早期雇入れを行った従業員に対し、職業訓練を実施した場合には、1時間あたり800円(Off-JTの場合は900円)が支給されます。また訓練経費の実費あたり上限30万円までが負担されます。こちらも優遇助成の場合は1時間あたり1,000円(Off-JTの場合は1,100円)、実費あたり上限50万円と優遇助成となります。

中途採用拡大コースの助成金額

中途採用拡大コースは、①中途採用率を向上させた場合は1事業所あたり50万円②45歳以上の方を初めて中途採用した場合は1事業所あたり60万円が支給されます。

更に生産性を控除させた場合は①中途採用率の支給を受けていれば25万円②45歳以上の方を初めて中途採用した支給を受けていれば30万円が支給されます。

離職を余儀なくされる労働者に関する労働移動支援助成金

人材不足を理由にした倒産も増え、離職を余儀なくされる労働者も多くいます。自社の従業員に対して離職させる場合には「再就職支援コース」他社の離職者を雇用する場合には「早期雇入れコース」や「中途採用拡大コース」が適用の範囲内にあります。

「再就職支援コース」は自社の状況によるため、意図的に使うのは難しいですが、「早期雇入れコース」や「中途採用拡大コース」は自社の採用戦略の一環として取り入れることができます。採用戦略と政府の施策が噛み合えば、自社の採用コストの軽減も可能となるのです。

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