人材アセスメントの活用方法とは?人材の評価項目を設計しよう

人事評価の不満解消に役立つ人材アセスメント

次世代の経営を担う経営幹部や管理職の育成は、人事労務部門だけでなく、企業や組織にとっても重要な問題です。経営幹部や管理職に最適な人材を登用・育成していくために、近年注目されている手法の一つが人材アセスメントです。

組織の中での人事評価に対する社員の不満は、国や時代を問わず多くあります。外資系人材サービス会社Adeccoの2018年2月の調査によると、会社の人事評価制度に不満を持っている社員は全体の62.3%で、過半数以上という結果が出ています。

あなたはお勤め先の人事評価制度に満足していますか
出典元『Adecco Power of Work』【アンケート調査】人事評価に関する意識調査

不満を感じる具体的な理由としては「評価基準が不明確」や「評価にばらつきが出て不公平である」などが上位に挙げられています。人事評価制度を見直す必要があると考えている従業員は、77.6%も存在します。

勤務先の人事評価制度を見直す必要があると思いますか
出典元『Adecco Power of Work』【アンケート調査】人事評価に関する意識調査

人材アセスメントとは、客観的かつ公平に能力や適性を見極める手法で、人事評価制度だけでなく採用や教育研修にも活用できます。どのような能力や適性を見極めるのか、評価の何を明確にするかなどの設計を綿密に行わなければ、有効に活用できません。

今回は、人材アセスメントがどのような能力や適性を評価できるのかについてご説明します。

人材アセスメントとは?評価すべき項目を考える

人材アセスメントとは、組織以外の第三者による客観的かつ公平な評価で、社員の人材配置や昇進・昇格の適性を測定する手法です。

グローバル化が進展する現在は、経験や勤続年数で社員を評価していた時代とは異なり、業績をベースにした成果主義や役割等級制度を導入している企業が増加しています。しかし高い成果を出せる人材に管理職の適性があるとは限らず、組織やプロジェクトを円滑にマネジメントできないケースがあります。

従来の人事評価は、直属の上司が関わる部分が多く、上司と部下との人間関係が評価に影響しがちです。人事評価には客観性と公平性が求められるため、評価に上司の主観が入ってしまうと、部下の不満を招きます。

人事評価における様々なリスクを考慮し、人材配置や管理職の登用で注目を集めているのが、候補者の適性を客観的に評価できる人材アセスメントです。

従来の人事評価と人材アセスメントの違い

従来の人事評価と人材アセスメントの違いは、人の感情が関与しない公平かつ客観的な判断ができることです。

従来の人事評価は、業務の成果を踏まえた上での、直属の上司による主観的な評価が混じっていました。主観が入る評価方法では、上司と部下との関係性が評価に影響してしまいます。

実績が数字で出る営業部門(直接部門)と数字で出にくい管理部門(間接部門)では、数字を重視する人事評価制度での比較が難しく、間接部門の社員は評価基準に納得しにくいという問題もあります。

主観による評価のブレや、公平な評価基準の設定が困難といった問題は、人材アセスメントによる評価が解決に役立ちます。評価する側もされる側も、第三者による公平で客観的な評価であれば、結果に納得しやすくなります。

人材アセスメントで評価する項目を設定する

人材アセスメントで評価する際は、企業や組織によって必要な能力が異なるため、どの項目を評価するか「ディメンション(能力要件)」の設定を行います。ディメンションは、事業の目標や組織の目的などを加味して項目をカスタマイズし、企業に最適な設定をすることが重要です。

ディメンションに設定される項目はいくつもありますが、代表的な5つをご紹介します。

  • 個人特性
  • 意思決定能力
  • 対人関係能力
  • 業務遂行能力
  • 組織適性

個人特性

個人特性とは、人柄や考え方、ストレス耐性など、個人の持ち味を表す項目です。

個人特性には、自分の意見を持ち他人に説明する自律一貫性、情報や状況に応じて瞬時に反応し臨機応変かつ能動的に行動する積極性などが含まれます。

意思決定能力

意思決定能力とは、戦略・意思決定の特徴を把握する項目です。

意思決定能力には、組織におけるさまざまな課題を見つけ出す課題抽出力、現状やさまざまな情報を整理し問題点を明確にする問題分析力などが含まれます。

対人関係能力

対人関係能力とは、コミュニケーションの特性を把握する項目です。

対人関係能力には、グループの雰囲気を察しメンバーをリラックスさせる活性化力、状況に応じて臨機応変に対応し相手を説得する折衝力などが含まれます。

業務遂行能力

業務遂行能力とは、日常業務の円滑な運営能力を把握する項目です。

業務遂行能力には、適切な優先順位付けで計画を立てる計画力、進捗を確認・調整して全体を管理する実行管理力などが含まれます。

組織適性

組織適性とは、組織を構成する人員との関係性や、組織が展開する事業やサービスとどの程度適合するかを測る項目です。

個人の考え方は、性格や性質、価値観が大きく影響します。組織適性は、経営者と社員の価値観の近さや、企業文化との相性などを測る項目と言い換えられます。

弊社では、社員の価値観やパーソナリティから社風や組織風土を分析し、求職者の価値観と比較した結果を文章や数値データとして可視化するHR Techサービス「ミツカリ」を運営しています。

具体的な設計で人材アセスメントを活用しよう!

人材アセスメントとは、人事評価だけでなく採用や教育研修にも活用できる、客観的かつ公平に能力や適性を見極める評価手法です。

人材アセスメントで評価する際は、具体的に「個人特性」や「組織適性」などの「ディメンション(能力要件)」を設定し、何を評価してどのように活用するのか設計しておく必要があります。

事業の目標や組織の目標によって評価項目を見直し、評価項目のブラッシュアップ・改善を定期的に行うことが、人材アセスメントをより良く活用するための近道となります。

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