ダイバーシティマネジメントとは?多様性を自社の成長に役立てよう!
政府が推進する働き方改革の影響で、ダイバーシティという言葉が注目を集めています。
ダイバーシティとは、直訳で「多様性」と訳される英語で、様々な違いを受け入れるという意味で用いられます。ビジネスにおけるダイバーシティという言葉は、国籍や性別などの違いを問わず、多様な人材を受け入れる企業の体制や取り組みを意味します。
ダイバーシティマネジメントとは、ダイバーシティを実現するだけでなく、マネジメント目線でどのように取り組むか・活用するかを考えて組織経営を行うことを言います。多様性を受け入れるための施策一つひとつを指すのではなく、組織全体として変革を行うことがダイバーシティマネジメントにおける視点です。
今回の記事では、ダイバーシティマネジメントの意味や目的、メリットや課題についてご説明します。
ダイバーシティマネジメントの意味や目的、メリットや課題とは?
ダイバーシティマネジメントとは「ダイバーシティ(多様性)」と「マネジメント(経営管理)」を組み合わせた言葉で「従業員の多様な個性を企業内に取り込んで活用し、経営に活かしていく」という意味です。
ダイバーシティマネジメントが進むと、生産性の向上や組織力の向上、従業員のエンゲージメントアップなどの効果が期待されます。ダイバーシティマネジメントは、多様な人材を積極的に活用し、企業力を高めるという意味で定義することができます。
ダイバーシティマネジメントの目的とは?
ダイバーシティマネジメントの目的は、多様な人材をただ採用しただけでは人材の定着や活躍に結び付かないため、採用した多様な人材が活躍できる環境を整えることです。
ダイバーシティマネジメントによって人材が能力を最大限発揮できるようになると、人手不足の緩和や生産性の向上だけでなく、多様な視点から新しい商品・サービスが生まれることも期待できます。
ダイバーシティマネジメントを活用するメリットとは?
ダイバーシティマネジメントを導入すると、従業員にとってだけでなく、企業にとっても様々なメリットがあります。
ダイバーシティマネジメントの企業にとってのメリットは、多様性のある人材が企業内に増えていくことにより、今まで確保できなかった優秀な人材を採用できるようになることが挙げられます。今までになかった新しい視点や価値観をもたらしてくれる人材が入社するでしょうから、企業文化や組織風土の変革につながります。
ダイバーシティマネジメントによって、個人の事情に合わせた多様な働き方が選択できる制度を整えると、従業員満足度が向上することも大きなメリットです。従業員一人ひとりが働きがいを感じられるようになれば、社内全体のモチベーションが向上し、生産性の向上や新たな価値の創造につながります。
ダイバーシティマネジメントの従業員にとってのメリットは、多様な人材と共に仕事をすることで新しい考えや価値観に触れ、自身の成長やキャリアにつながる刺激を得られることが挙げられます。広い視野で物事を考えられるようになれば、仕事の幅も広がります。
多様な働き方を会社が推進することで、従業員のライフサイクルのバランスが整えやすくなります。育児や介護などのライフイベントに限らず、資格の勉強や趣味によるリフレッシュなど、従業員に新しい選択肢が生まれることは大きなメリットといえるでしょう。
ダイバーシティマネジメントのデメリットや課題とは?
ダイバーシティマネジメントの企業にとってのデメリットは、全体の統制が大変になることが挙げられます。様々な考え方や価値観をもった従業員が混在することになるので、部署や社内の方向性をまとめるためにかかる時間や労力が、従来よりも増加します。
ダイバーシティマネジメントによって多様性を認める事で、組織の一体感を低下させてしまう場合もあります。在宅勤務が多い人と顔を合わせる機会が減ったり、時短勤務や育児休暇を利用できない従業員が不公平感を覚えたりすると、従業員満足度の低下につながります。
ダイバーシティマネジメントの従業員にとってのデメリットは、多様な価値観が刺激になる一方で、組織として仕事が回りづらくなったりチームマネジメントが複雑になることが挙げられます。
社内やチームに多様性が生まれることをポジティブに受け取る従業員もいれば、仕事が煩雑となり迷惑だとマイナスに受け止めてしまう、保守的な志向の従業員もいるかもしれません。保守的な従業員にとっては、ダイバーシティマネジメントの導入はマイナス要素の方が大きく感じる可能性があります。
ダイバーシティマネジメントを進めていく上では、多様性とわがままを混同せずに互いを尊重し、多様性を認めてもらったり周囲にフォローしてもらったりした人は感謝の気持ちを持つことが大切です。
ダイバーシティマネジメントの実施方法と注意点とは?
ダイバーシティマネジメントを実施する際には、経済産業省が公開しているダイバーシティの行動ガイドラインが参考になります。
日本政府は2016年8月に「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会」を立ち上げて議論を重ね、ダイバーシティの行動ガイドラインを7つのアクションにまとめました。
①経営戦略への組み込み
経営トップが、ダイバーシティが経営戦略に不可欠であること(ダイバーシティ・ポリシー)を明確にし、KPI・ロードマップを策定するとともに、自らの責任で取組をリードする。②推進体制の構築
ダイバーシティの取組を全社的・継続的に進めるために、推進体制を構築し、経営トップが実行に責任を持つ。③ガバナンスの改革
構成員の多様性の確保により取締役会の監督機能を高め、取締役会がダイバーシティ経営の取組を適切に監督する。④全社的な環境・ルールの整備
属性に関わらず活躍できる人事制度の見直し、働き方改革を実行する。⑤管理職の行動・意識改革
従業員の多様性を活かせるマネージャーを育成する。⑥従業員の行動・意識改革
多様なキャリアパスを構築し、従業員一人ひとりが自律的に行動できるよう、キャリアオーナーシップを育成する。⑦労働市場・資本市場への情報開示と対話
一貫した人材戦略を策定・実行し、その内容・成果を効果的に労働市場に発信する。
投資家に対して、企業価値向上に繋がるダイバーシティの方針・取組を適切な媒体を通じ積極的に発信し、対話を行う。
出典元『経済産業省』「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」概要
出典元『経済産業省』「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」概要
ダイバーシティマネジメントを実施する際には、会社全体で経営戦略として取り組むことが重要です。むやみに多様な人材を採用・配属するだけでは、現場が混乱して生産性やモチベーションが低下し、退職者を出してしまう可能性もあります。
経営トップの主導で会社の戦略とダイバーシティを融合させ、人事部が多様性の理解促進をしながら採用・配属し、現場で多様な人材を活用するというように、ダイバーシティマネジメントは社内一丸となって推進することが大切です。
ダイバーシティマネジメントは会社全体で取り組もう!
ダイバーシティマネジメントとは「ダイバーシティ(多様性)」と「マネジメント(経営管理)」を組み合わせた言葉で「従業員の多様な個性を企業内に取り込んで活用し、経営に活かしていく」という意味です。
ダイバーシティマネジメントが進むと、生産性の向上や組織力の向上、従業員のエンゲージメントアップなどの効果が期待されます。ダイバーシティマネジメントは、多様な人材を積極的に活用し、企業力を高めるという意味で定義することができます。
ダイバーシティマネジメントは、ただ採用する人材に多様性をもたせるのではなく、多様な人材をどのように活用していくのかを経営トップと人事部で考えることが大切です。多様な人材の活用方法を考え、人材が活躍できる環境を整えることで、従業員の生産性やモチベーション向上につながるのです。