ホラクラシー型組織・ティール組織とは?
ホラクラシーとは、階級や上司・部下の関係が一切存在しない組織の管理体制を意味する言葉です。ホラクラシー型組織とは「上司・部下といったヒエラルキーが存在しないフラットな組織」を意味します。
ホラクラシー型組織は、従来のヒエラルキー型組織(ピラミッド型組織)におけるトップダウン形式とは正反対の組織です。社員一人ひとりが当事者意識を持ち、細分化されている各チームがそれぞれ最適だと考えることを実践して、組織を自律的に統治していくシステムとして注目されています。
ホラクラシー型組織と同様に、現在の組織作りで注目されているのが、ティール組織です。
ティール組織とは、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、社員一人ひとりが裁量権を持って行動する組織形態を意味する言葉です。
ティール組織は、意思決定に関する権限や責任のほぼすべてを社員個人に譲渡して、組織や人材に革新的変化を起こす「次世代型組織モデル」として世界中から注目されています。
ホラクラシー型組織とティール組織には共通点が多く、同じ意味だと考えている人もいますが、厳密に言えば「ホラクラシー型組織=ティール組織」ではありません。
今回の記事では、ホラクラシー型組織とティール組織の違いと共通点について、詳しくご紹介します。
ホラクラシー型組織とティール組織の違いと共通点とは?
ホラクラシー型組織の意味や定義とは?
ホラクラシー(英語:holacracy)とは、階級や上司・部下の関係が一切存在しない組織の管理体制を意味する言葉です。
ホラクラシー型組織は、従来のヒエラルキー型組織(ピラミッド型組織)がトップダウン形式で意思決定を下す手法とは正反対の組織です。社員一人ひとりが当事者意識を持ち、細分化されている各チームがそれぞれ最適だと考えることを実践して、組織を自律的に統治していくシステムとして注目されています。
ホラクラシー型組織とは、細分化されたチームで社員一人ひとりが適切な行動や意思決定をすることで、組織を自律させて統治する「自走的組織」です。ホラクラシー型組織では、役職の代わりに「役割」が与えられ、すべての社員が経営に対する発言権を持ちます。
ホラクラシー型組織は、一見すると自由で気楽な集団と思われがちですが、実際は社員一人ひとりに自律と責任感が求められる厳しい組織です。
ホラクラシー型組織については「ホラクラシーとは?意味や定義、目的やメリット・デメリットについて」の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ティール組織の意味や定義とは?
ティール組織とは、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、社員一人ひとりが裁量権を持って行動する組織形態を意味する言葉です。
ティール組織という概念は、コーチやアドバイザーとして世界各国で活動しているフレデリック・ラルー氏が2014年に執筆した原著『Reinventing Organizations』によって紹介され、新しいマネジメント手法として注目されるようになりました。フレデリック氏の考え方の特徴的な点としては「旧来のマネジメント手法は成果が上がっているが、実は組織に悪影響を与える可能性をふくんでいる」という指摘を行った点が挙げられます。
ティール組織では、組織内における上下関係や細かな規則、定例会や予算の設定といった旧来の組織構造や組織文化の多くを撤廃します。ティール組織は、意思決定に関する権限や責任のほぼすべてを社員個人に譲渡して、組織や人材に革新的変化を起こす「次世代型組織モデル」として世界中から注目されています。
ティール組織は、相互に関係し合っている「セルフマネジメント(自主経営)」「ホールネス(全体性)」「存在目的」という3つの要素で構成されています。
ティール組織については「ティール組織とは?言葉の意味やメリット・デメリットについて」の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ホラクラシー型組織とティール組織の共通点とは?
ホラクラシー型組織とティール組織の共通点としては、どちらも役職や立場による上下関係をなくしてメンバーの自主性を重視する点や、組織を構成する重要な要素として「セルフマネジメント(自主経営)」「ホールネス(全体性)」「組織の存在目的」を重視している点が挙げられます。
ホラクラシー型組織もティール組織も、メンバーの主体性強化やモチベーションアップによる組織全体の生産性向上を目的としている点も、大きな共通点といえるでしょう。
ホラクラシー型組織とティール組織の違いとは?
ホラクラシー型組織とティール組織はよく似た特徴を持っていますが、厳密に言えば「ホラクラシー型組織=ティール組織」ではありません。
ホラクラシーとは「ヒエラルキー」の対極に位置する、組織構造やマネジメントに関係する概念です。ティール組織も同様に組織構造に関する概念ですが、ティール組織の対極にあるのは「達成型組織」と言われています。
ティール組織はホラクラシーよりも抽象度が高い概念であるため、ホラクラシー型組織はティール組織の一形態とされています。前述したフレデリック・ラルー氏は著書の中で、ティール組織の組織構造を「パラレル構造」「ウェブ構造」「入れ子構造」という3つに分類して、ホラクラシー型組織は入れ子構造に分類されるとしています。ティール組織の提唱者であるフレデリック氏も「ホラクラシー=ティールではない」と明言しているのです。
ホラクラシー型組織とティール組織の明確な違いとしては、明確なビジネスモデルの有無が挙げられます。
ホラクラシー型組織には明確なビジネスモデルが存在し、モデルに沿って導入・運用が進められます。ホラクラシー型組織は、導入・運用の自由度が低い代わりに、自由でフラットな組織を構築する再現性があると言えます。
ティール組織には明確なビジネスモデルはなく、概念の一部だけを組織に取り入れることも可能です。同じ組織内にオレンジ組織やレッド組織が存在しても機能するため、導入・運用方法の自由度が高いという特徴があります。
出典元『プロシェアリング』ティール組織とホラクラシーの違い〜2020年代も成長し続ける企業が探求すべき組織モデル〜
ホラクラシー型組織とティール組織の違いを理解した上で、自社の理想像を明確にしよう!
ホラクラシー型組織とティール組織はよく似た特徴を持っていますが、厳密に言えば「ホラクラシー型組織=ティール組織」ではありません。
ホラクラシー型組織はティール組織に含まれる一形態とされており、ホラクラシー型組織はティール組織であるが、ティール組織は必ずしもホラクラシー型組織とは限らないのです。
ホラクラシー型組織やティール組織の実現を目指す上で、自社の従業員や社外に対して情報を伝える際は、それぞれの言葉の違いを理解しておかなければ定義の違いによる認識のミスマッチが起こる危険があるため、注意が必要です。
自社でホラクラシー型組織やティール組織の実現を目指す際は、ホラクラシー型組織とティール組織の違いを理解した上で、意味や定義の違いにこだわらずに「自社が実現したい理想の組織像とはどんなものか」をしっかりと定義・明文化し、社内で共通の認識を持てるようにしましょう。