求人票の誇張表現はNG!自社の評判を下げる恐れも
求人票は、自社の母集団形成において非常に重要です。最近、自社をよくみせるために業務内容や条件面を誇張して応募者を集め、入社後にミスマッチが起こり、トラブルが生じるケースが増えています。
求人票に誇張した表現を記載することは、応募者を一時的に集めることはできても、後々に自社の評判を下げる可能性が高いです。SNSなどで企業の評判がすぐに広がる時代において、今後の採用活動やブランディングにも支障が出てしまいます。ブラック企業のレッテルを張られることは非常に危険といえるでしょう。
毎年同じ求人票を使い回すのも危険です。労働市場も経済市場も変化していく中で、求職者のニーズは変化し続けています。現在では、働き方改革への対応やライフワークバランスを重視する求職者が増えており、魅力的な求人票を作るためには自社の福利厚生制度などをアピールすると効果的です。
求職者が応募したくなる求人票には、必ず自社の強みなどの他社との差別化ポイントが魅力的に書かれています。多くの求人票の中に埋もれず、求職者が応募したくなる求人票の書き方やコツについて、例文を交えながら紹介します。
応募したくなる求人票の書き方やコツについて
応募したくなる求人票には、自社の強みなど、他社との差別化ポイントを魅力的に記載する必要があります。誇張表現を使わずに、他社との差別化をはかる方法をお伝えします。
求人票には、雇用形態や初任給といった「数字でわかる情報(定量情報)」と、仕事内容・職場環境・求める人物像といった「言葉で訴える情報(定性情報)」で構成されています。特に明確化が難しい定性情報にフォーカスして書き方のコツをお伝えします。
- その職種が未経験の人であっても仕事のイメージがわくように、仕事内容をできるだけ詳細に書く
- 自社の強みや社風を分析し、求人票の「会社説明を記載する箇所」でアピールする
- 自社の求める人物像の心に響きそうな内容を練る
1.その職種が未経験の人であっても仕事のイメージがわくように、仕事内容をできるだけ詳細に書く
営業職を例にとりましょう。
「仕事内容の悪い記入例」
自社商品の新規開拓営業
「仕事内容の良い記入例」
当社が運営する経理代行サービス(決算・申告代行など)の提案営業。大手企業を中心とした法人への営業活動となります。主な営業窓口は、企業の総務部などになります。新規開拓は主にDM反響や電話アポイントをもとに行っており、既存顧客のフォローも業務の2割程度を占めます。
悪い記入例では仕事内容が漠然としており、自社商品を営業する他社の求人と差別化できていません。
良い例の場合は、商品・営業先・営業スタイル・難易度が想像しやすいです。求職者は自分に可能な業務かどうかかを判断しやすく、志向がマッチした人が応募してくれる確率が高まります。
2.自社の強みや社風を分析して、求人票の「会社説明を記載する箇所」でアピールする
特に認知度がそこまで高くない企業にオススメします。
社風についての記述する際は「社員の仲が良い」といった他の企業でも通用する抽象的な表現はNGです。「休日はこんなことをしている人が多い」「ランチタイムはこんな話題が多い」などと、働いている人たちと合うかどうかを求職者がイメージできるように書きましょう。
ライフワークバランスを重視する制度として、毎週金曜日は必ず17時に退社する定時退社日を設けているなどや、育児休暇制度が何日あるかなどを記載することも有効です。定性情報ではありませんが、求職者のニーズや興味関心のある事について積極的にアピールすることも有効です。
3.自社の求める人物像の心に響きそうな内容を練る
求める人材像に一致する読者の立場に立って「この会社でなら自分も成長できそう、やりがいを感じられそう」と思ってもらえる材料を盛り込みます。
入社1年目は「具体的にこのスキルを身に付けてもらう」、入社3年目で「新規事業に携われる、リーダーに昇格できる」などと、具体的なキャリアプランを提案することも有効です。入社して3年後、5年後、10年後のイメージも伝えられるとなお良いです。
転職理由から見える、求職者が知りたい「求人票の具体的なポイント」とは?
求人票で、具体的にどのような内容を求職者が重視しているのか、「仕事を辞めた理由」から読み取ってみましょう。
「中小企業白書 2015年版」によると、仕事を辞めた理由のトップとして「人間関係(上司・経営者)への不満」となっています。人間関係への不満を解決するためには、上記2で挙げたような「自社の社風」が応募者に馴染むかどうかを判断できる情報を盛り込めるかも重要になります。
2位の理由である「業務内容への不満」も1で挙げた「仕事内容をできるだけ詳細に書く」ことで解決できる可能性が高いです。
3位の「給与への不満」や4位の「労働時間への不満」は数字で記載できる定量情報ですので、偽りなく正直に記載することによって解決できます。
自社の強みを明確化し、求人票に落とし込む方法とは?
大切なのは仕事内容や社風などで、自社の強みを明確にして求人票に落とし込むことです。求人票の「仕事の内容」「特記事項」「備考」欄を充実させましょう。
自社の強みを求人票に落とし込む際のステップについて
仕事内容を細分化して求人情報を作成する際は、社内で実務に携わっている社員に、日々どのような仕事をしているかをヒアリングして書き出してみます。
次に、その業務に携わっていない人が読んで仕事風景のイメージがわくかどうかを確かめます。
2段階のステップを踏むことで、求める人材への応募を喚起できるだけでなく、面接時点でミスマッチが減るために、面接を効率的に進められる効果も期待できます。
自社の強みを見つけるには?
オススメするのは「3C分析」です。
3C分析は、マーケティング分野で自社の強みを分析し、事業戦略を立てる際によく使われるフレームワークです。「市場・顧客(Customer)」「Competitor(競合)」「自社(Company)」の頭文字から、3C分析と名付けられています。
詳細なやり方については割愛しますが、3C分析を採用戦略で用いる場合は、自社製品やサービスを人に置き換えると良いでしょう。
「市場・顧客(Customer)」は、自社の業種の求職者の人数や傾向、考え方などのニーズを分析し、何を求めているのかを明確にします。「Competitor(競合)」は、同業他社の事業戦略や強み(弱み)を、客観的な立場から明確にします。「自社(Company)」では自社の社風や魅力を明確にします。3つのCから、市場(求職者)にささる自社の強み(弱み)は何か、何を解決すべきかなどを明確にすることで、求人票だけでなく、採用戦略に活かすことができます。
研修の機会が多く、未経験でも成長できる強みがあり、市場規模も拡大(未経験者が多く流れてくる)のであれば、積極的に開示していきましょう。
自社の社風を言語化するには?
社風やカルチャーを可視化するときに役立つのがミツカリです
ミツカリとは、10分程度で終わる適性検査に答えることで、受検者のキャリアの志向や価値観、パーソナリティなどを可視化します。さらにグルーピングすることにより、会社全体だけでなく、部署やチームごとの価値観(社風)も定量データとして出力されます。
自社の社風を言語化できていない場合は、まずは定量データを確認して、どんな特徴があるのかを見てみましょう。
面接の場では、応募者と社員の受検結果を、面接時に見せ合ってフラットに話すことで、応募者と企業との相互理解を深め、仕事をやめた理由トップである人間関係のミスマッチを防ぐことができます。
言語化しにくい情報を言語化してみよう!
応募したくなる求人票を書くためには、他社との差別化は必須です。給与や休日日数などの数字で表現できる項目は差別化しにくいだけでなく、自社の就業規則等を作り変えなければならないために現実的ではありません。言語化しにくい「定性情報」をより具体的にわかりやすく記入することが、他社の求人票との差別化には欠かせません。
求職者は「業務内容が自分に合うか」「人間関係や社風が自分に合うか」という悩みを抱えています。業務内容は、求職者が読んで「具体的に自分が働いている姿がイメージできるか」まで落とし込むことが大切です。人間関係や社風も「休日はこんなことをしている人が多い」「仕事とプライベートを分けて考える人が多い」などと、求職者が具体的なイメージがわくところまで落とし込むことが大切です。
多くの企業は、求人票から応募してきた求職者に対して面接を実施しています。求人票では重要な説明を中心に行い、伝えきれなかった内容については面接などの他の場で伝えるなど、状況に応じて適切な情報提供を行うようにしましょう。