採用ブランディングとは一体何?
採用ブランディングとは、採用活動にマーケティング戦略の一つである「ブランディング」の手法を取り入れたものです。適切に運営すれば、応募者数の増加だけでなく採用者とのミスマッチを防ぐことにもつながる採用活動に非常に有効な手法となります。
一方で採用ブランディングにて確立されたイメージと、実際に採用したい人物像にミスマッチが起こる場合や、今は改善されているが以前激務であったためそのイメージがまだ残っているなど、一歩間違えると逆に企業の評判を落としたり採用人材とのミスマッチを招くことにつながる、運用に注意が必要な手法でもあります。
採用活動の主な目的は優秀な人材の採用とその後の定着であることを考えても、採用ブランディングの成否は非常に重要な問題です。今回は、採用ブランディングの具体的な手法について詳しく説明していきます。
採用ブランディングの実施方法とは?
採用ブランディングを実施する方法は、5つのステップに分けられます。今回はそれぞれのステップについて説明します。
- 求める人物像の明確化
- 自社の強みや価値の明確化
- 求職者や市場との認識のズレの把握
- ズレの原因の把握
- ズレの改善およびブランドイメージの発信
1.求める人物像の明確化
採用マーケティングと同様に、採用ブランディングのプロセスにおいて一番重要なことは、求める人材像の明確化です。
自社の現状や今後の事業の展開、社風などを正確に分析し、必要な人材の質および量を決定していきます。この作業はあらゆる採用活動の根幹となる重要な要素なので、徹底的かつ多角的に社内の状況を分析し、具体的な言葉に落とし込んでいきましょう。
2.自社の強みや価値の明確化
求める人材の明確化とともに重要になってくるのが、強みや価値の明確化です。
ブランディングにおいては「強み」や「価値」をもとにブランドイメージを組み立てていくことになります。具体的なキーワードにまで落とし込めれば、自社においての共有が容易になるだけでなく、ターゲットに対して訴求力が高まり理解しやすくなります。
ミスマッチを防ぐためにも、自社の社風や、社員が共有している価値の正確な理解と落とし込みが大事です。
3.求職者や市場との認識のズレの把握
ターゲットである求職者の目線を意識した行動が求められます。求める人物像および自社の押し出していく強みを明確化したら、今度は実際に自社がどう見られているかを調査していきましょう。
具体的な方法としては、聞き込みやアンケートなど様々な形で多角的に情報を集めていきます。情報収集の対象によっては、偏った情報しか集まらないことがあるので、対象となる市場における意見を万遍なく集めるように工夫が必要です。
4.ズレの原因の把握
市場の持つイメージには必ず理由や背景があります。その背景を正確に把握することで、悪いイメージや発信したいものと異なるイメージを払拭し、新たなイメージの提供や定着に繋げることができます。
実態とイメージとの間にズレがある場合、正確な発信ができていないことがほとんどです。例えば、以前激務であったのを改善したものの、激務であるイメージが払拭されていない、あるいは、近年海外市場が中心になってきたがイメージが定着していないなど、ターゲットとなる層がなぜそのイメージを持っているのか、自社の情報発信の仕方と合わせて分析していきます。
5.ズレの改善およびブランドイメージの発信
ズレを生じた理由がわかったら、今度はその改善方法を考えていきましょう。そもそも発信をしていないからなのか、情報発信の仕方に問題があるのか、あるいは発信は上手くしているが以前のイメージが強すぎてなかなか変わっていかないのか、浮かび上がった原因に対し対策を考えていきます。
この過程においては試行錯誤と継続的な効果の測定の繰り返しによりイメージの発信と定着を目指しますが、一度作られたイメージを覆すのは簡単ではないことから、継続的な取り組みが必要となります。
一度ブランディングに成功してしまえば、少ないコストで効果的な採用活動を行っていくことが可能になります。自社の情報を第三者に発信してもらうことは、時に非常に効果的な方法となります。
自社の状況や取り組みを第三者にインタビューしてもらい記事にするなど、一般的な会社説明会での説明やSNSによる情報発信、企業のHPでの発信などの自社での取り組みに加えて、このような外部を巻き込んだ方法も考えていくと良いでしょう。
相手の目線で考えることが採用ブランディング成功のカギ
ブランディング自体マーケティング活動の一部であるため、重複する部分も多かったですが、両者の決定的な違いは視点の違いです。
採用マーケティングにおいては視点はあくまで自社にあり、市場ニーズを調査しそれに見合った採用計画やコンテンツ作りを行っていくのに対して、採用ブランディングにおいては、ターゲットの目線に立ち自社のイメージを変えていく、あるいはいいイメージを持ってもらうような方法を考えていくことが主眼になります。
他者からのイメージを把握するためにも、説明会や面接での自社イメージのアンケートあるいは、WEB上の情報のテキストマイニングなどを活用し、現状を正確に把握することに努めましょう。
ただし、説明会や面接では比較的好印象を持ってくれている層が集まっているということは忘れないようにしましょう。あくまでターゲット側の視点に立ち、正確なイメージの把握が重要です。