ストレッサー(ストレス要因)とは?仕事や職場におけるストレスを考えよう

多くの労働者が強いストレスを感じている

仕事のストレスは、働く人(労働者や社員)の健康と、彼らの所属する組織自体の健全な経営という、双方における大きな懸案事項であると世界的にも広く認識されています。

過剰なストレスを持つ人は、基本的に心身の一部もしくは全部が不健康で、モチベーションに乏しく、仕事の生産性も低い傾向にあります。そして、彼らの所属する組織も、競争市場において大きな成功をおさめにくいものです。

厚生労働省による「平成28年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者は59.5%と、過半数の労働者が強いストレスがあると回答しています。強いストレスとなっているものの1位は「仕事の質・量」2位は「仕事の失敗、責任の発生等」3位は「対人関係」が挙げられています。

強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の推移
出典元『厚生労働省』平成28年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

一方で、精神障害等における労災の請求件数や決定件数も増加傾向にあります。職場におけるストレス管理の重要性が、以前よりも増しています。

精神障害の請求、決定及び支給決定件数の推移
出典元『厚生労働省』精神障害に関する事案の労災補償状況

ストレスは、プライベートや仕事のプレッシャーによって生じます。経営者やマネジャーは、社員を仕事以外のプライベートなどで生じるストレスから守ることは困難ですが、仕事面から生じるストレスからプラスの方向に導いていくことは可能です。

加速化かつ複雑化するビジネスシーンにおいて、多くの企業にとって仕事のストレスは、組織運営の中で真に取り組むべき大きな課題となっています。社員が仕事で大きなストレスを抱えている場合、マネジャーはそれを意識し、その解決方法について熟知する必要があります。

仮に上司や経営者が部下への配慮を行わず、部下がストレスによる精神障害などを発症してしまったときには、安全衛生配慮義務違反として、民事責任・刑事責任ともに損害賠償責任に問われることもあります。防止手段を尽くしたとしても発症してしまった場合には、損害賠償責任は免れます。損害賠償責任に問われた場合には、企業の信頼性低下やブラック企業として認知されるなど、業績や採用などにも大きな影響が出ることは想像に難くありません。

今回は、目に見えない概念でもあるストレスとは何なのか、生活のどういったことでストレスを感じるのかなどの概要についてご紹介します。

ストレスの正体とは?

「ストレス」という用語は、もともと物理学の分野で使われていた専門の言葉で、『物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態』を言います。ストレスを風船にたとえると、風船を指で押さえる力が「ストレッサー(ストレス要因)」で、「ストレッサー」によって風船が歪んだ状態を「ストレス反応」と言います。ストレッサーによりストレス反応が起きた状態のことを、私たちがストレスと読んでいるものです。

医学や心理学の領域でも同様に、こころや体にかかる外部からの刺激を「ストレッサー(ストレス要因)」と言い、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応を「ストレス反応」と定義しています。

ストレスとは
出典元『文部科学省』第2章 心のケア 各論

ストレスを引き起こす「ストレッサー(ストレス要因)」の種類とは

こころや体に影響をおよぼすストレッサーには、大きく分けて3つの種類があります。

  • 物理的ストレッサー(暑さや寒さ、騒音や混雑など)
  • 化学的ストレッサー(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰など)
  • 心理・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)

私たちが「ストレス」と言っているものの多くは「心理・社会的ストレッサー」のことを指しています。職場には仕事の量や質、対人関係をはじめ、さまざまな要因がストレッサーとなりうることが分かっています。

ストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、主に心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます。

  • 心理面でのストレス反応
    活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み,興味・関心の低下)
  • 身体面でのストレス反応
    体のふしぶしの痛み頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠など
  • 行動面でのストレス反応
    飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故など

仕事や職場生活における「ストレッサー(ストレス要因)」とは

仕事に関するストレスとは、個人の知識や能力に見合わない仕事の要求や圧力、また対処するのに能力を強く要求される困難な業務内容などのストレッサーから引き起こされる個人の反応です。

ストレスは職場環境のありとあらゆることから発生します。労働者が上司や同僚からサポートや協力を得られていないと感じる時、仕事に対してあまり権限を持たされていない時、要求や圧力に対処する方法を見つけることができない時などに、ストレスを受けた個人の状況はより悪化します。

圧力や挑戦とストレスはたびたび混同されますが、これらは異なるものです。

職場の圧力とは、現在のオフィス環境から要求される職務において避けがたいものです。需要者が受容できる範囲の「圧力」は、働く人のモチベーションを保ち、働くことや学ぶことを可能にすると同時に、労働者の能力開発につながります。しかし、その圧力が過度な場合などは、マイナスのストレスに繋がります。マイナスのストレスは、働く人の健康や仕事の効率を損ねていきます。

職場でのマイナスのストレスとは、個人に対する要求や圧力と、彼らの能力・スキルとの誤った組み合わせが原因になることが往々にしてあります。

ストレスの感じ方には個人差がある

仕事のストレスが個人にどう影響するかは、個人の性質や需要度などでさまざまです。ストレスは仕事に好ましくない反応を引き起こすと同時に、心身の健康も害していきます。ほとんどの場合で仕事での長期間のストレスなどは、心理的な問題を引き起こし、最終的に精神病などへと繋がり、結果として病欠が増え、仕事をすることを困難にします。

ストレスは、プライベートにおける健全さのバランスも崩すことがあります。喫煙や飲酒、薬物といった不健全な活動に傾きやすくなる場合もあります。身体の免疫機能にも影響を与え、ウィルスに対する抵抗力を弱めます。

なお、仕事のストレスがある人が陥りやすい傾向には、以下のようなものがあります。

  •  著しく疲れたり、短気になったりする
  •  リラックスすることや、集中することができなくなる
  •  論理的に考えることや、柔軟で迅速な意思決定をすることが難しくなる
  • 仕事を楽しめなくなり、責任感が欠如する
  • 疲れを感じたり、何事にも不安を感じやすくなる
  • 不眠、心臓病、消化不良、高血圧、頭痛、筋肉や骨格系の異常(腰痛、上肢運動障害)など、深刻な身体問題に悩まされる

職場で発生するストレスを理解して健康管理に努めよう!

労働者の過半数が仕事や職場で強いストレスを感じていながらも、その要因は年齢・性別・就業形態ごとにさまざまです。人事担当者や経営者として、労働者の健康を考慮する上でも、過剰なストレス要因は排除していくべきですが、一つの対策をすればすべてが無くなる、ということはありません。

働く人一人ひとりにとって今何がストレスなのか、ストレスの優先順位を付けながら、ストレスを持っている当人はもちろん、企業としても、社員のストレスを一つひとつ解消していくことが、健全な環境づくりにつながるのです。

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