キャリアパス制度を活用した企業事例とは?離職率改善や女性の活躍推進にも!

様々な人事制度に活用できるキャリアパスとは

「キャリアパス」とは、目指す職位や職務等に到達するための経験の積み重ね、能力を高めていくための道筋や順序のことです。

「キャリアパス制度」とは、企業内で成長や昇進していくためには何が必要で、どういうキャリアステップを踏んでいく必要があるのかなど、条件や基準を明確にしたもののことです。キャリアパス制度は、企業が理想とする人物像を明確にすることで、“どうなったら昇進できるのか”といった漠然とした不安を解消することができます。

転職するきっかけとなった項目で「将来に対する漠然とした不安」が2位となっており、会社として将来のキャリアイメージを装着させることは社員の定着と安心に繋がります。

転職を考えるきっかけは何でしたか?
出典元『HUFFPOST』女性たちは怒っている、会社のこんなところに。やめた理由を聞いてみた(調査結果)

キャリアパス制度の効果は、従業員の定着だけではありません。理想とする人物像を提示することで採用要件定義に紐付けて採用目線のすり合わせを行う、理想とする人物に至るまでに必要なスキルを教育研修制度などで身につけてもらう、必要なスキルと習熟度に応じた客観的かつ具体的な評価が可能な人事評価制度を作成するなど、様々な人事業務へ応用することができます。

今回は、キャリアパスを実際に活用して効果を発揮した企業の事例について紹介いたします。

キャリアパス制度を活用した企業事例とは

今回はキャリアパス制度を活用した企業事例を5個紹介します。

  1. 株式会社みずほフィナンシャルグループ
  2. 株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
  3. 株式会社リコー
  4. 医療法人 寿芳会 芳野病院
  5. 株式会社日本レーザー

株式会社みずほフィナンシャルグループの事例

株式会社みずほフィナンシャルグループは、みずほ銀行やみずほ信託銀行、みずほ証券などの親会社であり、みずほグループの統括企業となった会社です。2018年3月31日時点での従業員数は1,526人(連結子会社就業数は合計60,051人)となっています。

キャリアパス制度の活用方法について

みずほフィナンシャルグループではキャリア支援に力をいれています。新卒採用情報サイトでは将来のキャリアパスを提示し、どのような方法でキャリアアップできるかを提示しています。

エキスパートプログラム
出典元『みずほフィナンシャルグループ 新卒採用情報サイト』キャリア形成支援

昇進だけでなく、様々な職種や職務領域で活躍している社員と直接対話をすることができる「ジョブフェア」を開催しています。

社員自ら興味のある職種ブースを選択し交流することができるもので、社員1人1人のキャリア自律意識の醸成やキャリア形成、またロールモデルを見つけることでキャリアパスへのモチベーション、ジョブ公募制度の活用と社内活性にも繋がっています。キャリアパスで描く理想の人物像、それに伴う価値観やスキルを育むための研修を組み込まれており、キャリアパスが様々なキャリア施策としてリンクしています。

新入社員教育プログラム
出典元『みずほフィナンシャルグループ 新卒採用情報サイト』キャリア形成支援

キャリアパス制度を導入した効果

企業内での活躍や今後働いていくイメージを描けたことで、女性社員の継続率が上昇しました。それに伴い、産休育休取得率も年々増加しています。女性管理職比率は2012年では11%でしたが2015年では15%まで上がっています。

銀行事業部門の女性管理職比率目標
出典元『厚生労働省』キャリア支援企業好事例集

株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリの事例

株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは、ソフトウェア開発を行う富士通の連結子会社(完全子会社)です。システムインテグレーションやソフトウェアの研究・開発や販売を行っています。2018年3月末時点での社員数は1,156名となっています。

キャリアパス制度の活用方法について

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでもキャリアパスを独自に階層別、職種別に開発し社員に提示しています。

キャリアパスにおける能力開発の研修も集合研修だけでなく、通信教育やwebで受講できるe-Learningなどがあり、年間100コース、260回開催し技術資格の推奨も行っています。

スキル支援だけでなく、階層別にあわせたキャリア支援も行っています。どの階層になっても将来の不安は感じてしまうものであるため、キャリアフォローも行っています。

富士通SSLのキャリアパス
出典元『厚生労働省』キャリア支援企業好事例集

キャリアパス制度を導入した効果

若手社員の教育やキャリアフォローの徹底により定着率が向上しました。1年目は100%。3年目は90%で7年目は70%と、非常に高い定着率となっています。

株式会社リコーの事例

株式会社リコーはプリンターなどの印刷機や複写機、デジタルカメラなどの精密機器メーカーです。2018年3月31日時点での連結従業員数は97,878名となっています。

キャリアパス制度の活用方法について

リコーでは独自のキャリアパスを設定する中で、企業の変革と成長を実現するためには多様な人材の協業がキーであるとの考えから、“7つの人材タイプ”をそれぞれ定義しています。

  1. ビジネスリーダー(事業トップ)
  2. ビジネスリーダー(機能トップ)
  3. 新規事業創造リーダー
  4. プロフェッショナル
  5. スペシャリスト(高度スペシャリスト)
  6. プロジェクトマネジャー
  7. マネジャー

7つの人材タイプの輩出に向け、人材タイプ別に様々な制度や仕組みを構築しています。特にユニークなものが「PMコンピテンシー認定制度(PMC)」です。

「PMコンピテンシー認定制度(PMC)」は、プロジェクトマネジャー(PM) と組織の人材輩出、育成強化を目的としてうまれたものです。社内基準に基づいてプロジェクトマネジメントの能力を認定する制度で、社員がチャレンジし、自らの知識・ スキルを向上させるとともに、組織やコミュニティーの活性化に貢献します。能力の認定者には、PMや組織職に優先的に任命されるインセンティブが与えられます。

株式会社リコーのキャリアパス
出典元『厚生労働省』キャリア支援企業表彰2015 受賞企業好事例集

キャリアパス制度を導入した効果

7つの人材タイプに区分けたことで、ビジネス / 新規事業創造リーダーについては、タレント育成プログラムに2014年度で268人が選抜されました。プロフェッショナル / 高度スペシャリストについては、2014年度に新たに16人の高度専門職である技師長・審議役が誕生しています。多くの社員が新しいキャリアに挑戦した結果といえるでしょう。

女性の管理職も増え、女性管理職の比率は2000年度末の8人から、2014年度末には110人と大きく増加しました。

医療法人 寿芳会 芳野病院の事例

医療法人 寿芳会 芳野病院は福岡県北九州市にある医療福祉サービスを提供する病院です。社員数は280名となっています。

キャリアパス制度の活用方法について

なかなか可視化できなかったキャリアパスを「クリティカルラダー制度」と位置づけ、専門的知識や技術を段階的に身に付けられるように設定しています。

経験年数ではなく個々の習熟度に応じて設定し、レベル別の研修も実施しています。個人の成長に合わせた教育を行い、職員一人ひとりがキャリア形成のビジョンを持てるように作られています。

芳野病院のキャリアパス
出典元『厚生労働省』キャリア支援企業表彰2015 受賞企業好事例集

キャリアパス制度を導入した効果

職員の満足度が上がり、人材の確保・定着率が向上しています。

教育や次のキャリアに向けての社員の学ぶ姿勢がアップしたことで、より個々の能力も上がり、より安全で質の高い医療が提供できるようになりました。全国的な学会発表での発表件数が増え、研究発表の執筆依頼も数多く受けています。

株式会社日本レーザーの事例

株式会社日本レーザーは、レーザー専門商社として、レーザー機器や最先端の光技術の製品の輸出入を行う会社です。従業員数は2018年1月時点で51名となっています。

キャリアパス制度の活用方法について

日本レーザーの大きな特徴が、誰でも公平でフェアな人事制度で開かれたキャリアパスであるということです。

国籍・学歴・年次・性別を問わない多様な社員構成で、透明性と納得性の高い人事制度により、10年以上、転職のための離職者は実質0人で、第一子妊娠出産による女性社員の退職者もいません。新卒採用者も1997年以来18年間で退職者は1名のみで社員が安心して勤務することができています。

次のキャリアに向けてのチャレンジも行っています。社員が自主的に成長する企業風土を醸成し、社内では社長塾・ 全社会議などを毎週開催しています。社員のキャリア自律的思考も育み、自らキャリアを選択できる環境を構築しています。

キャリアパス制度を導入した効果

離職率0人を維持しながら、平成30年度に初の女性役員を誕生させることを目指して、幹部教育を継続実施しています。

欧米のメーカーからの引き抜きで、現状の給与の2倍を提示された社員もいましたが、全員が日本レーザーにとどまるなど、高い従業員エンゲージメントも存在します。

参考URL『DIAMOND online』日本レーザー社員が現状給料の2倍でも「他社の引き抜き」に応じない理由

キャリアパスは離職率改善や女性の活躍推進にも!

キャリアパス制度を活用することで、離職率の改善や女性の活躍推進を行った企業事例が多数存在することを紹介いたしました。多くの企業が労働力不足に悩み、働き方改革によって多種多様な人材が活躍できる社会を作ることが求められている中で、キャリアパス制度は大いに効果をあげるポテンシャルを秘めています。

キャリアパス制度は、自社の従業員に向けてはもちろんのこと、社外に公表することで、採用時の母集団形成やブランディングにも活用できるでしょう。キャリアパス制度を公表することは、入社後のミスマッチを防ぐ効果があるだけではなく、従業員が抱える将来の目標像などの不安を解消する効果もある万能な制度と言えるでしょう。

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