フリーライダー問題へ対策や解決策とは?自社のフリーライダーを減らすために

「フリーライダー」は待ったなしの深刻な問題

チームメンバー同士の貢献で付加価値を産み出すときに、自分は何も貢献せずに得られた付加価値の恩恵にはあずかる人のことを、集団の利益に“タダ乗り”する人という意味で「フリーライダー」と呼びます。フリーライダーは本来「ただ乗り」という意味を持ち、経済学でいうところの「公共財」というある財やサービスを考える時に、よく扱われるテーマです。公共財の例としては、消防、警察、国防、放送などがあげられます。

たとえばNHKのテレビ番組は、ある人が見たからといって、別の人が見る機会を奪われることはありません(これを『非競合的』といいます)。一方で、対価を支払わない人が見ないようにすることも困難です(『非排除的』)。つまり、「公共財」とは、「非競合性(ある人の消費によって別の人が消費できる量が減少することはない)」と「非排除性(対価を支払わない人が消費することを排除することはできない)」の、両方の性質を持つ財のことを言います。

近年は、組織においてもこういった存在が問題視されています。高い報酬を得ている一方で実際の業務は十分せずに、他人の成果を自分のものにするなど“会社に貢献する以上に会社から利益を得ている社員”などを指して「フリーライダー」と呼んでいます。

フリーライダーが組織に一定数以上存在することが、内閣府の調査からも見て取ることができます。実際に企業の事業活動に活用されていない人材(雇用保蔵者数、社内失業者数)に関する調査で、2011年9月時点では、全体の8.5%=約465万人と算出。少子高齢化などでも、今いる既存の人材の活用が急務の中、この数字は無視できるものではありません。

雇用保蔵の推計
出典元『内閣府』雇用保蔵の推計

今回はフリーライダーが生まれないためにはどうすればよいかの対策と、すでに組織に存在する場合の対応について解説していきます。

「フリーライダー」への対策・対応を考える

フリーライダーを生まないための対策

勤勉な社員が報われる職場環境で、フリーライダーになることにメリットがなくなれば、フリーライダーを生まない問題解決に一歩近づくことができます。フリーライダーを防止するには、社員一人ひとりの努力が欠かせません。

貢献度に応じた人事評価制度への見直し

多くの企業は、人事評価制度によって社員の企業貢献度を反映します。貢献度に応じた適切な評価が行われない場合、フリーライダーの存在を許す環境を作ることになります。

意図的なフリーライダーをなくすためには、以下のような評価制度の見直しが有効です。

  • 成果のみの評価制度ではなく、能力やプロセスを評価するシステムを導入して、多角的な評価を実施する。
  • 面談は目標達成に関するヒアリングだけでなく、社員がさらに高い目標を達成できるようにするための方法にアドバイスを行うなど、必要なサポートを行う。
  • アピール上手なフリーライダーの評価を誤らないよう「360度評価」を導入する。評価者と非評価者双方の評価も厳密に行うなど、評価制度がきちんと機能するよう留意する。
  • 個人の評判については、なるべく多くの人から長期間ヒアリングを実施し、社員の人格や働きぶりについて幅広く情報収集を行う。ポストへの登用や能力開発を行うときには、この情報もしっかりと参考にする。
  • 評価基準はどのタイミングでも明確にして社員に共有することで、全体のモチベーション向上に役立てるようにする。

フリーライダーがすでに存在する場合の対策・対応

必要な人材育成の機会を与える

仕事に必要な知識やスキル不足を補う必要がある場合には、研修などの教育機会を与えることも大切です。個人のモチベーションを高め、フリーライダーを脱却するチャンスになります。

フリーライダーに教育機会を提供しないリスクは以下のようなものになります。

  • 評価のフィードバックを挽回しようと努力してみたが、知識やスキル不足のために結果を出せずにフリーライダーでい続けてしまう。
  • マイナス思考の人材には、「わざと低い評価をつけた」と思い込む人も存在する。そういった人材は、不満やストレスから人事担当者やマネージャー、周りの社員に精神的な負担をかけるようになる。

適宜、適切なフィードバックを行う

フリーライダー問題の解決や防止には、社員にとって厳しい内容でも日ごろの業務や人事評価をきちんとフィードバックすることが肝要です。社員の成長や教育機会になります。

フィードバックを行う際のポイントは以下のようなものになります。

  • 個人の褒めるべき点は褒め、改善すべき点はきちんと指摘する。改善ポイントは、その改善方法を示し、個人が善処できるようサポートする。
  • 自分を客観視できない社員には、自分自身で考えさせ解決策を見つける「コーチング」の手法を用いたフィードバックが効果的。時間と手間はかかるけれど、適切なフィードバックを行うことは、フリーライダーの改善に大きく役立つ。

個人の努力が報われる仕組みをつくる

フリーライダーをなくすためには「仕事をさぼると損をする」と思わせ、さらに努力が報われる仕組みを構築し、社員に共有することが有効です。

個人の努力が報われる仕組みづくりのポイントとして以下が挙げられます。

  • 企業のビジョンや方針を共有することで、社員一人ひとりの力が何につながっているか、目標達成によって組織がどのように発展していくかを理解させる。個人の働きについてフィードバックしていくことで、努力を惜しまずにモチベーションを維持できる組織になる。
  • 役職にふさわしい能力やスキルをもった人材をきちんと登用し、ポストにふさわしい報酬を支払う一方で、相応の成果と責任を求めるという、健全な組織作りを心掛ける。
  • 仕事に必要な権限や裁量を与える代わりに、それを同じ程度の責任を求めることで、モチベーションを維持、向上させる。
  • ある業務に失敗し企業に損失を与えた人材でも、成果をあげることできちんと評価されるなど、誰にでも平等に、昇格やキャリアアップのチャンスを与える。

「フリーライダーを出さない」「フリーライダーがいる状態を改善する」ために

フリーライダーは「集団・組織の利益よりも自己利益を優先」すること、人間の本能的な部分から生じる問題です。しかし、フリーライダーを生みにくくする対策はもちろん、すでに組織に存在する場合でも、後から対応策を講じることはもちろん可能です。

自社でフリーライダーの問題に取りかかる際には、施策の導入検討時に、しっかりと解決の筋道を立てていくようにしましょう。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ