ローパフォーマーとは?パフォーマンスの低い社員が生まれる原因や対策

「2-6-2」の法則からみる「ローパフォーマー」

ビジネスの世界では、昔から「2-6-2の法則」や「8-2の法則」など、さまざまな視点からハイパフォーマーやローパフォーマーに関する法則が語られてきました。

「2-6-2の法則」とは、人々が集団やグループを構成する時、自然発生的に「2対6対2」の内訳になるというものです。おおざっぱに働く人々で説明するならば、「優秀な人(ハイパフォーマー)2割」「普通の人(一般的な業務遂行能力を有している人)6割」「目標の成果を出せない人(ローパフォーマー)2割」というセグメントになります。

  • 上位2割:実績・生産性が高く、積極性に優れた優秀なグループ
  • 中位6割:上位にも下位にも属さない、平均的なグループ
  • 下位2割:実績・生産性が低く、積極的に行動しないグループ

「下位2位」とは、組織において業務成績の悪い人や能力不足の労働者を、パフォーマンスの程度が低い人を指しており、「ローパフォーマー」と呼ばれています。高い能力で会社に大きく貢献するハイパフォーマーの対義語にあたる呼び方であり、業績の悪化や伸び悩み、他の社員への悪影響などを生む原因となります。

今回は「ローパフォーマー」とはどのような人材なのか、育成方法などについてご説明します。

ローパフォーマーについて考える

ローパフォーマーの意味や定義について

「ローパフォーマー」とは、組織において業務成績の芳しくない人材や能力やスキルが不足している労働者のことで、『パフォーマンスの程度が低い人』という意味で『ローパフォーマー』と呼びます。能力を最大限発揮して組織に大きく貢献する『ハイパフォーマー』の対義語にあたる存在で、業績の悪化や伸び悩み、他の社員への悪影響などを生む原因となります。

仮に組織にローパフォーマーが存在している場合、組織としては、重大な課題として認識することが重要です。かといって、容易に「下位の20%」を切り捨てるべきではないとも考える識者も大勢います。

大きな理由としては、「下位の20%を退職に追いやることで、残り80%の社員のモチベーションが低下する」ことが挙げられます。

「フリーライダー(ただのり社員)」とはどう違う?

「フリーライダー」とは、仕事を怠けていながら他の社員の成果に「ただ乗り」して、自分の実際のパフォーマンス以上の報酬を会社からもらっている人材を指します。最近の傾向として、モチベーションの高い社員や会社への忠誠度の高い社員などに業務上の負担や精神的ダメージを与えることが大きな問題となっています。

人事課題として「フリーライダー」とともに名前があがることの多い「ぶら下がり社員」との違いは、「仕事を怠けているか・いないか」です。勤務態度でいうと、「ぶら下がり社員」は真面目、「フリーライダー」は怠惰と言われています。

ローパフォーマーは、仕事に対して著しくパフォーマンスが低い傾向にある人材を指します。採用時には優秀に感じるものの、実際の業務では期待した通りの成果を出すことができません。

フリーライダー社員との違いは、実際にパフォーマンスができるかどうかに関わらず、フリーライダーの方が(実態にともなってはいないですが)評価されているケースが多いところでしょう。ローパフォーマーは個人の能力や環境に起因する原因が主ですが、フリーライダーは、自分の努力不足や仕事に向かう姿勢が低いことがほとんどです。

ローパフォーマーが生まれる原因と対策とは

ローパフォーマーが生まれる原因

人事部門や経営層の問題

採用時の判断ミスが考えられます。人事担当者や役員が実施する面接時の人物評価が適正でなかった際におきるミスマッチです。

よくあるケースとして、組織の事業転換などによって、既存の職種や部署の配置換えや慣れない部署へ異動し、人材がローパフォーマー化してしまうという現象です。個人のもともとの能力などにもよりますが、相対的に個人のスキルの陳腐化が起こります。

上司の問題

個人のスキルアップなどは、直属のマネージャーや部門の状況が大きく影響します。適切なマネジメントを行えない場合などに、メンバーがローパフォーマー化するケースがあります。

業務以外の人間関係の状況も、個人のパフォーマンスに影響を与えます。関係が悪化するのに比例して、個人の勤務態度も悪くなり、業績の低下などにつながることもあります。

本人の問題

本人の問題は特に大きな原因です。態度の悪さや成長意欲の欠如など、根本的に個人に由来する原因は多くあります。またプライベートな理由でモチベーションが低下し、能力や業績に影響することもあります。

ローパフォーマーへの対策

ローパフォーマーが組織にいる場合、対象者に対して指導や研修を行うことで改善を図り、解決を目指すことが考えられます。

目標設定を適切に行う

個人の目標設定をする際は、適切な内容にすることを心がけましょう。目標値が低すぎると個人の成長は望めず、怠惰につながります。目標が高すぎても達成の可能性は低く、早い段階での諦めにつながります。

期待しているような成果を挙げていない社員には、個人の課題を明確にしたうえで、目標設定が適切であるかどうかを一度チェックしてみましょう。

研修などで能力の向上を図る機会を設ける

個人の努力の問題もあるでしょうが、会社として能力向上を目的とした研修やOJT教育の実施が有効と言われています。

マネージャーに管理のスキルが不足している場合は、しっかりとした管理職研修を行います。現状の能力より少し上のレベルを目標とし、適宜スキルアップできているか、チェックしながら実施していくことをオススメします。

態度が悪い場合は改めさせる

新入社員はもちろん、中堅以上の経験のある社員でも勤務態度が悪い人がいます。普段の言動に問題がある場合は、行動改善を促すための面談や指導を実施しましょう。対象者が理解するまで、地道に続けることが必要です。

参考:指導や研修時の注意点

簡単な指導や一度だけの研修で対応するようなやり方では、対策として効果的ではありません。長期的視野を持ち、適切な目標設定を行うようにしましょう。改善項目を明確にし、研修内容と結果を分析しながら次のステップにつなげることが必須です。

業務態度に問題がある場合などは、プライベートに起因するような理由もあります。業務の指導をする前に、まずは本人としっかりと話をして、より緻密な原因を特定することを心掛けましょう。

ローパフォーマー社員を放置することで起こるデメリット

ローパフォーマー社員は、組織にさまざまなデメリットをもたらします。周囲のメンバーに負担や不満が増え、結果的に組織のモラルダウンなどのマイナスの事象を招きます。ローパフォーマーを放置することは、会社に深刻なダメージを与えかねない、深刻な人事問題なのです。

組織には、以下のような事象が発生する可能性があります。

  • 任せられる業務が限定的で、他メンバーの負担が重くなる
  • 常に周囲の社員がバックアップしなければならず、非効率でもある
  • 同僚がローパフォーマーの場合、マネージャーなどに申告したくとも、個人を攻撃するようで報告しにくい。また、仮に相談しても対策を講じてくれず不満がたまる
  • ローパフォーマーの役割や担当の業務と、報酬や処遇が見合わない(給与が高すぎる)

ローパフォーマーを構成する状況要因について

状況による分類は改善できる項目でもあります。まずは状況要因について確認しましょう。

個人の能力や成果が報酬に見合っていない

個人のスキル・能力などと、実際の成果に乖離があるにも関わらず、成果以上の報酬をもらっている、ケースがあります。成果が全くないわけではありませんが、想定している目標や期待値よりもアウトプットが低い場合が多くあります。結果として、会社にとっては成果以上の報酬を支払っているという、無駄が発生していることになります。

業務態度に問題がある

不真面目、怠惰など、業務態度に問題があるローパフォーマーも存在します。

あからさまに問題があるケースだけでなく、上手にさぼっている場合もあり「ただ乗り社員」や「ぶら下がり社員」などと呼ばれることもあります。日常の業務においても問題があるため、周りのメンバーに負担をかけるのも問題と言えます。

職種と個人が持っている専門性のミスマッチ

場合によっては、モチベーションが高く前向きな社員でも、本人の能力特性と業務内容が合っていないことで、結果としてローパフォーマーになってしまうこともあります。

人事部などの配置の仕方に問題がある場合もありますが、会社の事業転換などで、本来の専門性と異なる仕事に携わざるをえず、能力を発揮できない、というケースもあります。専門性を再度見極めるなど、何かしらの対策が必要です。

マネジメント能力の欠如

プレイヤーとしては非常に高いパフォーマンスを出していた人が、管理職になった際に管理能力が欠如しており、パフォーマンスが落ちてしまう、というケースもままあります。

職能給のシステムのある日本の企業では、そもそもの個人の専門性を見越しての配置よりは、個人の業務成績への報奨のような形でポストを与えることがあります。管理職研修も不十分のまま、管理職に配置する状況が生まれ、部署全体のパフォーマンスにも大きな影響を与える、マイナスの事象です。

ローパフォーマーの存在を組織としてどう考えるか、をまず考える

ローパフォーマーは、どういった組織でも生まれてしまいますが、フリーライダーでなければ、ある意味健全な傾向であるとも言えます。企業としてはローパフォーマーのパフォーマンスをどこまで上げるかに向き合う必要があります。

社員がローパフォーマーになる原因はさまざまです。個人の能力の差違だけでなく、仕事への姿勢やモチベーション、周囲との関係などから、「なぜローパフォーマーに留まっているか」を、本人やその上司、人事部で検討しましょう。

ローパフォーマーの能力や意欲を向上させることは、会社の利益につながることを意識して対策を行うことが肝要です。

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