えるぼしとは?女性の社会活躍を推進する認定制度
えるぼし認定制度とは、2016年4月より施行されている女性活躍推進法の取り組みの一つです。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」とは、少子高齢化による人手不足が顕在化する中、企業活動を支える十分な働き手を確保するために、特に女性社員の退職率を減らし、その活躍を支援することを目的に作られた施策です。
日本社会でも女性の活躍推進は徐々に進んではいますが、役員の比率など世界的なレベルから見ると、いまだ政策は道半ばと言わざるをえません。女性の活躍を進めることは、ダイバーシティー的な観点からも、様々な人が働きやすい社会を作り出すことであると言えます。
今回の記事では、女性活躍推進法の内容を踏まえつつ、企業が推進すべき働き方改革の一つとしてのえるぼし認定について、制度の意味や認定を受けるメリットをご紹介します。
えるぼし認定制度の意味と由来、認定のメリットとは?
えるぼし認定制度とは、女性の活躍推進の取り組み状況が優良な企業に、厚生労働大臣から与えられる認定制度です。えるぼし認定は、女性活躍推進法で規定されている一定の基準を満たした企業の中で、より優良と判断された場合にのみ与えられます。
えるぼし認定の対象となるのは、301人以上の従業員を有する企業及び国や地方自治体です。300人以下の企業については、努力義務とされています。もちろん300人以下の企業でも申請することは可能で、えるぼしに認定されている579企業の中で、127社は300人未満の企業です。(平成30年3月31日時点の情報)
「えるぼし」という名前は、認定された企業が広報のために使える、Lをかたどった認定マークの名称です。「えるぼし」の「える」はLを意味し、労働(Labor)や女性(Lady)の頭文字が由来です。マークの名称から、制度自体が通称「えるぼし」と呼ばれています。
えるぼし認定を受けるメリットとは?
えるぼし認定が注目される理由は主に2つあります。
女性が活躍できる企業だと社内外にアピールすることができる
えるぼしの認定マークは、自社商品や広告、求人活動などに利用することが可能です。女性のワークスタイルや活躍を推進している企業として、企業のイメージアップや認知度向上を図る有効なツールにもなり、併せて、人事面でも人員の採用時などに寄与する一助にもなるでしょう。
社会的に意義のある活動をしている企業、ということで大きな注目を集めることが、「えるぼし認定」の、大きなメリットの一つです。
公共調達や低利融資の優遇措置を受けられる
えるぼし認定企業には、国の各府省において行う総合評価落札方式または企画競争方式による公共調達において、加点評価されるというメリットもあります。
日本政策金融公庫の「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸し付け)」を利用する際に、基準利率からマイナス0.65%での低利融資を受けることができるというのも利点です。
公共調達の優遇措置
評価落札方式や企画競争方式など、価格面以外の要素が評価される調達では、えるぼし認定を受けていること自体が加点評価の対象となります。
「えるぼし」で三つ星評価の場合、「くるみんマーク」や「ユースエール認定」よりも加点が高くなるため、同じ条件で異なる認定を受けている際などは、公共調達を優位に進めることができるでしょう。公共事業はえてして大規模な案件になることが多いため、優遇措置が受けられることは、企業にとって非常に大きな意味を持つとも言えます。
低利融資の優遇措置
日本政策金融公庫が実施する「企業活力強化貸付」を利用する場合、一定の条件を満たしていれば、通常よりも低利の融資を受けることができるというものです。基準金利は最大−0.65%。融資を希望する場合には大きなメリットとなります。
※数字は2016年11月時点のものです。今後変更される可能性がありますので、最新情報は厚生労働省公表の情報をご覧ください。
えるぼし認定企業の一覧と認定企業数
「えるぼし認定」の企業数は、厚生労働省が発表した最新の情報(2018年3月31日付)によると、全国で579社となっています。さまざまな業態、規模感の企業が取得しており、金融機関や各種メーカー、社団法人など多岐にわたります。
最新のえるぼし認定企業数と企業名一覧は『厚生労働省』女性活躍推進法への取組状況からご確認頂けます。
えるぼし認定を目指して職場環境を整備しよう!
「女性活躍推進法」は2016年にできた比較的新しい法律です。「えるぼし認定」の知名度も徐々に向上してはいますが、いまだ十分ではありません。しかし、認定によって得られるメリットはさまざまで、広報に力を入れている企業はもちろん、優秀な人材を集めたいケースや、公共事業の落札機会を増やしたい企業にとっては有効な制度と言えます。
主目的である「女性の企業での活躍を実現すること」を達成していくことを念頭に置いて、「えるぼし認定を受けること」が目的になってはいけません。誰もが活躍できる職場環境の整備という中に、女性の活躍推進という観点もあります。女性をはじめ、自社の働く環境を整備していく中で、企業のブランディングイメージとしても有効に働く「えるぼし認定」は、これから注目の制度ともいえるでしょう。