くるみん・えるぼし・ユースエールの違いとは?メリットや基準の違い

くるみん・えるぼし・ユースエールの違いとは?

働き方改革を推進するために、厚生労働大臣が企業に認定する制度として「くるみん認定」「えるぼし認定」「ユースエール認定」などがあります。それぞれ、関連する法案は異なりますが「多様性のあるワークスタイルに積極的な企業」として認定されます。

認定企業は、社内外に認定を受けた(ワークスタイル推進に積極的である)アピールはもちろんのこと、公共調達や助成金の取得などにおいても有利な扱いを受けるなどのメリットがあります。

条件さえ満たせばすべての認定を受けることも可能ですが、まずは自社が解決すべき課題がある認定の取得をオススメします。そのためには各認定制度の違いなどについて総合的に理解し、適した認定制度を選択することが大切です。

くるみん・えるぼし・ユースエールの概要と認定のメリット、認定基準の違いについて

目的と関連法案、認定を受けるメリット、認定企業数から各認定の違いについて説明します。

認定制度の目的と関連法案の違いについて

くるみん認定制度の目的と関連法案

くるみん認定制度は、仕事と育児の両立支援に取り組んでいる企業に対し、『次世代育成支援対策推進法(次世代法)』に基づき、厚生労働大臣が認定している制度です。2007年からスタートしており、えるぼし認定やユースエール認定よりも長期間運用されている制度になります。

『次世代育成支援対策推進法』に基づいて、「一般事業主行動計画」を策定した企業のうち、計画に定めた内容の目標を達成すると同時に、必要な一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって子育てサポート企業として「くるみん認定」を受けることができます。

くるみん認定を受けた企業の証明書となるものが「くるみんマーク」で、厚労省の統計によると、2018年2月末時点で2,945社が認定を受けています。

プラチナくるみん認定制度とは?

プラチナくるみん認定制度は、「くるみん認定」をすでに受けた企業が対象で、より高い認定基準を満たした企業を認定する制度です。2015年4月1日より始まった制度で、比較的新しい認定制度となります。高い認定基準を満たすのはもちろんのこと、継続的な取り組みを支援・促進する制度となっています。

2018年2月末時点で、認定企業数は190社となっています。

えるぼし認定制度の目的と関連法案

えるぼし認定制度は、女性の活躍推進の状況などが優良な企業に与えられる認定制度です。『女性活躍推進法』で定められた一定の基準を満たした企業のうち、より優良とみなされた場合に与えられます。

「女性活躍推進法」は、2016年4月に施行された、“女性の社会進出や活躍を支援する”ための法律で、女性が、それぞれの個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することを目的に施行されました。「えるぼし制度」の主な狙いは、ワークライフバランスの拡充、およびアベノミクスの成長戦略の一つである女性活躍の推進です。

対象となるのは、301人以上の従業員を抱える企業および国や地方自治体で、300人未満の企業については努力義務となります。ただし、300人未満の企業でも、えるぼし認定を申請することは可能です。

「えるぼし」に認定されている企業数は377社。このうちの50社は300人未満の企業となっています(2017年7月31日時点)。

ユースエール認定制度の目的と関連法案

ユースエール認定制度は、「若者雇用促進法に基づく認定制度」とも呼ばれ、若年層の採用活動や育成活動を積極的に展開し、雇用の状況が優良である中小企業を認定する制度です。ユースエールという言葉の意味するところは、“若者を(ユース、youth)応援する(エール、yell)”です。

2015年10月に、厚生労働省が施行したのが「若者雇用促進法」で、正式には「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律(青少年の雇用の促進等に関する法律)」と言います。若年層労働者の雇用を促進するための法律として、各企業に対して、若年層の労働者が働きやすい環境作りを推進するよう、定めがなされています。

認定企業数は、2018年4月20日時点で、365社に達しています。

各種認定を受けるメリットの違いについて

3つの認定に共通するメリット

3つの制度で共通して言えることは、「働く人々を応援する企業として国に認定された証」であることです。育児支援や女性、若年層とそれぞれ対象は異なりますが、多様なワークスタイルを推進している企業であることを広く認知向上、PRできます。

企業のブランドイメージの向上

厚生労働大臣に認定されるほど、関連法案に取り組む企業であるとアピールできます。「家庭と仕事が両立できる」「女性でも活躍できる」「若者の採用に力を入れている」などと客観的に評価されており、厚生労働省や都道府県の労働局のWebサイトなどの公的機関で企業名が掲載されるため、社外の人から見ても信頼性が高いです。

働きやすい環境の醸成による、社員の定着率の向上

社員が長く働き続けられるようになるため、従業員の定着率を向上させることにも繋がります。優秀な人材の流出を防止することで、採用や人材教育費用の圧縮にも寄与できると考えられます。

くるみん・プラチナくるみん認定制度のメリット

税制優遇措置を受けることができる

「くるみん認定」や「プラチナくるみん認定」の認定企業になると、建物などの取得や増改築の際に減価償却の優遇制度(くるみん税制)が適用される他、各種税制優遇措置を受けることができます。

くるみん認定の場合

青色申告書を提出し、一定の期間内に初めてくるみん認定を受けた企業では、認定を受けた事業年度(1年間)に新築や増改築した建物などは以下のような率で割増償却することができます。次世代法による義務づけのない100人以下の企業は、割増償却率が高くなっています。

くるみん認定での税制措置

プラチナくるみん認定の場合

プラチナくるみんについては、企業の規模による義務づけはありません。そのため、企業規模に関係なく、すべての認定企業が以下の割増償却率が適用になります。

プラチナくるみん認定での税制措置

えるぼし認定制度のメリット

公共調達や低利融資の優遇措置を受けられる

えるぼし認定企業には、国の各府省において行う総合評価落札方式または企画競争方式による公共調達において、加点評価されます。

このほか、日本政策金融公庫の「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸し付け)」を利用する際、基準利率からマイナス0.65%での低利融資を受けることができます。

ユースエール認定制度のメリット

ハローワークなどをはじめ、求人活動のPRができる

ユースエール認定企業になった場合、ハローワークなどの求人機関、「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などを利用して、より重点的な企業PR活動を実施することが可能です。新卒者や若年層の採用時には、若い世代のワークスタイルを応援する企業としてアピールできることは、大きなメリットです。

厚生労働省が運営する、若者雇用促進法に基づいて職場情報の提供を行う企業の情報を検索できるデータベース「若者雇用促進総合サイト」にも企業情報を掲載しますので、御社の魅力を広くアピールすることができます。

ユースエール認定企業限定の就職面接会等に参加できる

国各地の都道府県労働局やハローワークが実施する就職面接会の際には、通常の企業より積極的に案内を受けることができます。正社員就職を希望する若者との接触機会が増え、より適した人材の採用が期待できます。

助成金の金額上乗せ

ユースエール認定企業が雇用関係の助成制度を利用する場合、通常の会社と比べ助成金額に一定の金額が上乗せで支給されます。具体的には、次の助成制度が対象となります。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは35歳未満の有期契約労働者を正規雇用等に転換する場合に対象となる助成金です。認定企業の場合、1人当たりの上限額は通常(72万円)から12万円加算され、最大84万円にまでアップします。

人材開発等支援助成金

人材開発等支援助成金とは、人材育成のための体制を整えた会社が受けることのできる助成金です。内容としては、「訓練関連」と「制度導入関連」の2種類があり、社員の職業能力開発に関する計画を立案し、その内容沿った職業訓練を行った場合に助成の対象となります。

「制度導入関連」の場合は、さらに「キャリア形成支援制度導入コース」と「職業能力検定制度導入コース」があり、専門コンサルタントによる技能検定報奨金制度などを導入した場合に助成が受けられます。この際、通常は経費の60%が助成されますが、認定企業の場合は75%までアップします。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、35歳未満の人材をトライアル雇用する際に対象となる助成金です。経験やスキルなどの条件で、就職が困難な人材を、ハローワークなどによる紹介で一定期間就業を受け入れた場合に助成を受けることができます。トライアル期間は最大3か月で、就労日や対象労働者の状況に応じて支給金額が異なります。

通常は月額最大4万円までの支給のところ、認定企業は最長で三か月間、5万円にアップします。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、さまざまな事情で就職が困難な人材を、ハローワークや職業紹介事業者による紹介で雇用した会社が対象となる助成金制度です。「トライアル雇用助成金」と異なるのは、対象となる求職者が、高年齢者や障害者、母子家庭における母などである点と、トライアル期間が設けられていないことです。助成金は、対象となる雇用労働者の状況や雇用形態に応じて金額が異なるのも特徴です。

一人当たりの助成金額の上限は、通常70万円ですが、認定企業の場合、上限額が10万円加算され、一人当たり最大で80万円までアップします。

日本政策金融公庫の低利融資を受けられる

株式会社日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)において実施している「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸付)」を利用する際、基準利率から-0.65%での低利融資を受けることができます。

資金を受けることができる用途としては、企業が新たに事業を行う際に必要となる設備投資費や運転資金などが挙げられ、限度額は中小企業事業の場合は7億2000万円です。

公共調達での加点評価を受けられる

国や公共機関が発注する調達のうち、総合評価落札方式や規格競争方式による内容の場合は、契約の内容に基づいた上でユースエール認定企業に加点評価がつけられます。
これは、「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」により定められた制度です。その他の認定、たとえば女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法による認定を同時に受けている場合は、さらに加点の数が高くなります。

各種認定の認定基準の違いについて

各種認定の認定基準については、別の記事にて説明しておりますので、各記事をご覧ください。

認定制度の意味やメリットの違いを理解して活用しよう!

働き方改革や労働問題などによって、厚生労働省が主導している制度「くるみん・プラチナくるみん」「えるぼし」「ユースエール」は関連法案が異なり、認定を受けるメリットも認定基準も様々です。

これらの認定制度は、企業PRや助成金の恩恵など、メリットは少なくありません。もちろん各認定制度は助成金を受け取ること自体が目的ではありませんが、認定制度のメリットなどの知識を持つことも、企業にとって重要です。

まずは自社の課題を明確にし、解決すべき課題に対して優先順位をつけて、どのように改善するかを検討することが大切です。改善する過程の一つの達成目標として、該当する認定を受けることは良いことです。ただし認定を受けることが目的ではなく、常に改善し続ける(認定基準を満たし続ける)ことで、従業員が働きやすい環境を維持し続けることが目的であることを忘れずに、積極的に認定制度を活用していきましょう。

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