キャリアパスとは?意味や形成の仕方や考え方、メリット・デメリット

2人に1人は転職する時代

現代は終身雇用や年功序列の企業も少なくなり、同じ会社ですっと就業するという考えも徐々に少なってきています。女性では結婚や出産を機に離職する人が多いですが、男性でも生涯を通じて転職をしたことがない(離職したことがない)人は約50%で推移しています。

年齢別初職からの離職回数割合
出典元『厚生労働省』職業生涯を通じたキャリア形成

転職を考えるきっかけとして最も多いのは「給与・待遇への不満」ですが「将来に対する漠然とした不安」を上げる人も大変多いのが実情です。

転職を考えるきっかけは何でしたか?
出典元『HUFFPOST』女性たちは怒っている、会社のこんなところに。やめた理由を聞いてみた(調査結果)

「今の会社にいても成長できない」「今の会社で将来どんな仕事ができるか想像できない」というような将来に対する漠然とした不安を解消するために転職を考える人が多いのですが、将来の不安を解消するために有効なのが労働者自身の将来の目標を明確にする「キャリアパス」という考え方です。

キャリアパスは、労働者がどのようなスキルを身に付けたらどのような役職になるのか、役職に至るまでに足りないスキルは何かなどを明確にすることで、自分の現在像と将来像を対比させ、今まで漠然としていた不安が具体化されて不安が解消しやすくなります。

今回はキャリアパスの意味や定義、活用するメリットやデメリット、類似する概念であるキャリアアップやキャリアプランやキャリアデザインなどとの違いについて説明します。

キャリアパスの意味や定義とは

キャリアパスとは目指す職位や職務等に到達するための経験の積み重ね、能力を高めていくための道筋や順序のことです。

一つの企業の中で、成長していくためのスキルアップやキャリアアップしていくためには何が必要で、どういうステップを踏んでいく必要があるのかなどを示したもののことです。

キャリアアップ・キャリアプラン・キャリアデザインとの違い

キャリアアップとは、スキルを上げて役職や等級が上がったり、職位や職責が任されたりなど役職や仕事のレベルを上げていくもののことです。キャリアアップはある時点におけるイベントであるのに対し、キャリアパスはどのようにキャリアアップをしていけばよいのかの道順(線)のようなものです。

キャリアプランとは、人生の計画のことです。どんな仕事に就きたいか、どんなスキルを得たいかをイメージしそのための計画を組み立てていくことを意味します。キャリアパスも計画ではありますが、キャリアプランでは自分自身のことを対象とするのに対して、キャリアパスでは一つの企業の中でどう成長し昇進していくかを表したものになります。

キャリアデザインは人生設計という意味です。キャリアプランと似ていますが、もう少し広義な意味の「人生」で、働くこと、仕事だけでなく、どう生きていきたいか、自分の価値観やワークライフバランス、子育ても含めた上で自分らしい人生とはどんなものかを設計していくものです。その中で企業の中のキャリアパスを参考に考えていくこともあるでしょう。

キャリアパスが何故必要になったのか

キャリアパスが重要視されるようになった背景として、日本企業が今までの終身雇用制度・年功序列制度をあまり活用しなくなったことが挙げられます。

年功序列であれば、年齢に紐づいて昇給していくので長く勤めている方がメリットが高くなります。2人に1人が転職する現状では、昇進や昇給が年齢に比例しなくなり、実力やスキルでより評価される時代へと移りかわってきました。新卒採用で入社した人物より、中途採用で入社した人物の方が役職や給与が高いことも起こっています。

一つの企業でキャリアを十分に積める時代ではなくなっていることから、個人の目標から逆算して経験やスキルを選択していくことが必要になりました。「自分のスキルをより上げていきたい」「自分のやりたい業務がさらにできる会社に行きたい」と多くの人が転職を希望するようになっています。

転職をすればスキルが上がる、評価されるということではなく、今まで培った経験と自身の強み、そして今後どうなっていきたいかのビジョンと将来設計を立てることがとても大切なのです。

会社としてキャリアパスを描くことのメリットとデメリットとは

キャリアパスを描くことは個人だけでなく企業にとってもメリットが大きいです。

社員の変化としては、なりたい姿、目指したい目標が具体的になるので、意欲的に自分のキャリアを捉えるようになり、日々の仕事や業務を前向きに当事者意識をもって励むようになるでしょう。目標が明確になることによって、どうなったらキャリアアップできて成長できるのかをイメージしやすくなり、職務目標に対しても向き合うことができるようになります。

企業としては社員が前向きに働いてくれることで生産性の向上や後輩の育成や教育により効果がプラスに反映されるといった影響はあるでしょう。どんな人物が自社にとって必要なのか、どんなキャリアステップを歩んでほしいかを明確にすることで、理想の人材を多く育てることができるでしょう。

キャリアパスがあることで、会社が目指しているキャリア像や道筋と社員の希望する将来の姿や方向などを合致させることができ、共通の目標に向かって一緒に進んでいくことができるということです。

キャリアパスをきちんと持っていることは採用ブランディングにも使用できます。大手企業でも業績の悪化により買収・倒産する時代としては、きちんと成長できる会社だというイメージは多くの応募者を安心させることができます。

キャリアパスのデメリットとして挙げられるのが、社員全員が事前に提示されているキャリアパス制度に則ってキャリアアップできるものではないということです。本人の能力不足以外にも、会社の経営状況によってはキャリアパスの要件を満たしたとしてもすぐには昇進できないケースもあり得るでしょう。

昇進を目指して努力を重ねてきた社員はショックを受け、会社に裏切られたと不満を持つ可能性もあります。会社はキャリアパスを打ち出すにはそれなりの覚悟と責任を持って提示する必要があります。

キャリアパスを提示することで、社員がその道しか目指さなくなるという可能性もあります。様々な経験や仕事を通し、新たな発見や自分の強みを見つけてキャリアは形成されていくものですが、ある程度、キャリアの道を定めてしまうとそれ以外のキャリアの冒険をしなくなり効率的に示された道のみ進んでしまう可能性があります。

効率的にキャリアパスを歩むことも、自身で選んだことであれば反対することもないですが、もっと知見や職域が広がる可能性を縮めてしまう恐れもキャリアパスにはあります。

自社独自のキャリアパスを持つことが大事

キャリアパスは従業員にとっては「将来の目標」を段階的に、かつ明確に捉えることができるものです。

企業にとって、段階的な「理想の人物」を明確にし、自社ならではの「キャリアパス」を定義することができれば、採用要件定義・教育研修・人事評価制度など幅広い応用が可能になります。

まずは自社独自のキャリアパスが存在するのか、キャリアパスをうまく活用できているのかを見直してみてはいかがでしょうか。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として5,000社以上の企業に導入されています。サービスも8年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    スポンサーリンク
    関連するタグ

    スポンサーリンク