コンピテンシー評価の問題点やデメリットとは?失敗しないためのポイントとは

人事評価で活用される「コンピテンシー評価」

当ブログでも、人事の領域のトピックスの一つとして取り上げている「コンピテンシー」。近年、このコンピテンシーを、人材を適正に評価する段階で有効に活用しようという考えのもとに生まれたものが「コンピテンシー評価」です。

コンピテンシー評価は、コンピテンシーを評価項目・基準として設定することで、人事制度の中に組み込んで利用する人事評価手法のことです。理想の状態をコンピテンシーモデルとして定め、それに向かって社員一人ひとりが目標を設定し、上司や同僚など周囲からの評価を受けると同時に自己も評価し、その結果を期末の査定や行動改善に活用していきます。

業務において高い成果を出している人材の行動傾向を、観察や個別のインタビューなどで明らかにし、個人のスキルを「業務を効率的に構築できる」「人と親密な関係を築ける」「人の話を傾聴できる」など具体的な行動傾向で表現することで、「今成果を出している人材を、オンタイムに(今)評価する」ことを可能にしました。

評価制度は、社員にとって、評価項目・基準が明確な点で不公平感がなく、企業としても、中長期的な視点で人材を見据え、育成できる点で画期的なものだと評されています。

しかし「コンピテンシー評価」も万能ではありません。コンピテンシーモデルの問題点をご紹介しましたが、「コンピテンシー評価制度」においても、マイナスとなるポイントはあります。

多くの企業で活用されている「コンピテンシーモデル」。コンピテンシーモデル自体の問題点を把握しておかなければ、導入したものの効果が実感できない、効果が出ない原因が分からないなどの状況に陥ってしまいます。コンピテンシーモデルの効果が得られないときに見直す6つの問題点について説明します。

コンピテンシー評価の問題点とデメリットとは?

コンピテンシー評価の問題点から、どのようなデメリットがあるのかを説明します。

基準が明確であることで、事業や環境的な“変化”への適応力が低くなる

企業やそれを取り巻くビジネスの現場は、刻一刻と変化しています。グローバルの状況も含め、環境は一日として同じではありません。ある時期には新規開拓に注力する一方で、ある時期には既存の顧客との関係構築が最重要な時期もあるように、企業の事業フェーズや方向性も常に変化を求められます。市場の変化に対応できる勝ちパターンに変えるためには、業務で必要な行動やスキルも変えていく必要があります。

ビジネスの現場が変わっていくたびに、コンピテンシーの項目を改定していくのは非常に手間のかかります。併せて、多くの社員に影響を与える評価制度が、時節ごとに異なるのも、不満を生む可能性があります。社員も組織も何を目指すべきか、方向を定めなければ、適正な人事評価ができなくなってしまいます。

コンピテンシー評価が具体性の強い性質であることは、環境の変化が激しいような現代においては、改訂すべきサイクルが早すぎて評価制度としての適切さ・安定性を失う可能性がある、とも言われています。

コンピテンシー評価に拘らず、評価制度というものは一度作成したら終わりではありません。常に自社のビジネス環境を照らし合わせ、そのサイクルともっとも適した評価制度の在り方とは何かを検証し、最適なカタチに構築していくことが重要です。

基準となる「サンプル」をうまく抽出できず、客観的な評価軸を設定できていない

評価軸を作成するためには、サンプルとなる、効率的かつ高いレベルのアウトプットや成果を出している人材を抽出することが必要です。抽出した人材の行動特性や思考パターンを把握するためには①個人からヒアリングをする②本人にアウトプットしてもらうのが王道ですが、そもそも、このアウトプットが苦手な人材が意外に少なくない、とも言われています。

コンピテンシーという概念が浸透していなければ、行動特性や思考パターンは「当人では常識だと思っている」ことを言葉で表現しなければなりません。価値観に例えると「あなたはどの程度平和主義ですか?」と言われて即答できる人が少ないようなものです。

その組織の人材の内容やアウトプットを促す方法にもよりますが、そもそも評価軸の前提である「サンプル」を抽出できない、できたとしてもサンプル数が少ない場合は、共通する行動特性としての信頼性が落ちて、効果的な評価項目を設定することはできません。

どのようにしてモデル人材から最適な抽出ができるか、人事や経営陣はその手法について、常に検証を重ね、精度を上げていくことが不可欠です。

評価者の個人的観点(好き・嫌いなど)が入り込みやすい

コンピテンシー評価は、一般的に客観的で公平なものになっているはずです。しかし、行動を評価する側(評価される社員の場合でも、社員自身が「自己評価」する際は同様)の、「主観」がどうしても入る余地があります。

具体的には「この行動は満たした」と自己評価していたとしても、上司が「満たしていない」と判断すれば、多くの企業では「満たしていない」とみなされてしまうでしょう。評価の振れ幅が大きくなることで、評価自体が適当なものにならなくなります。

上司も人間ですから、どうしても社員によって、人間同士の相性や観察の頻度に差が生まれてしまったり、上司の判断の正確さにばらつきがあったりすることは否めないのです。

客観的であるはずのコンピテンシー評価が、業績との因果関係や客観性が、今ひとつ曖昧となって定着しないケースも少なくありません。

いかに個人の主観を排除し、誰もが公平・公正に、客観的指標を活用していくか。その方法を検証して最適化していくことが、コンピテンシー評価制度の導入前からも考える必要があります。

既存の評価制度が、自社のマネジメントの実態や職務内容などに合致していない

どんなに精度の高い評価制度を作成したとしても、それが自社の現在の組織体系やマネジメントに合致するものでなければ、意味のある評価項目にはなりません。評価項目が常に社員の行動の指針となり、かつ目標意識をもった行動の動機づけになるものとして運用できるかどうかが、当たり前のことですが、ポイントとなります。

前述しましたが、コンピテンシー評価項目は一度作成したものが完成形ではありません。未来に向けたチャレンジ的な行動も的確に評価できるよう、常に「現在進行形」かつ、弾力のある形に発展させておくことが必要です。

コンピテンシー評価についての理解を深める

客観的かつ公正な評価基準と言われる「コンピテンシー評価」は、社員のそもそもの行動原理を変えて成果を出す、組織の中で向上する人材を育成していくことを目的としています。そのため、様々なマイナスのポイントもしっかり念頭に置いて、丁寧に構築しておくことが不可欠です。

自社が目指すべき人材に対する考え方や育成、マネジメントの方法などと照らしあわせると同時に、ビジネス環境や自社の方向性の変化にも柔軟に合わせた「事業を成長させる、現在進行形の評価項目・基準」にブラッシュアップしていくことが望まれます。

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