内定式は内定者フォローの中でも特に重要!
内定者フォローとは、採用した人材からの内定辞退を防ぐために、会社側が内定者に対して行う様々な施策の総称です。内定式は、内定者フォローの中でも特に重要な位置づけにあります。
DISCOキャリスタリサーチの調査によると、調査対象の企業の約8割の企業で内定式を実施しているという結果があり、内定式は多くの企業で一般化されているイベントであると言えます。
同調査で学生に対して行った「特に入社意欲が高まった内定者フォロー」では、内定式が2位に挙げられています。内定者の約6割が入社意思欲が高まったと答えていることからも、内定者フォローの中でも、内定式は特に重要な立ち位置にあると分かります。
出典元『株式会社DISCO』調査データで見る「内定者フォロー」2017
今回の記事では、内定者フォローとして行う内定式の内容と目的、実施する効果や注意点についてご紹介します。
内定式の内容と目的とは?実施の時期や効果、注意点とは?
内定式とは、内々定を出した学生を対象に正式な内定通知を出す式典で、学生の意識としてもほぼ通例となっている、内定者フォローの施策です。
内定式を行う時期は、日本経済団体連合会が採用選考の指針として定めている、新卒者の卒業年度の10月1日以降が一般的です。
企業・学生ともに重要な内定者フォローと認識している内定式ですが、当たり障りのない内容で実施してしまい、内定者フォローとしての役割を内定式で担えていないと感じる人事担当者は少なくありません。
内定式は単なる意思確認のためのイベントではないという前提を認識して、内定式の内容と目的、内定式を実施する効果と注意点について確認していきます。
内定式の目的とは?
内定式の目的とは、主に「内定者の入社意識を高める」「企業理解を深め、企業・学生双方のコミュニケーションを深める」「内定者フォローの一貫として、内定者の不安を払しょくする」の3種類に分けられます。
内定者の入社意識を高める
内定式の大きな目的の一つに、内定者に対して内定通知書を交付し、内定者が内定通知書に承諾する場合は入社承諾書を提出してもらい、最終的な入社意思の確認を行うということがあります。
学生にとっては、社長や役員などの企業の顔となる人物に会える内定式に出席することで、入社のモチベーションなどを高めるとともに、企業側に入社の意思を示す機会となります。
企業理解を深め、企業・学生双方のコミュニケーションを深める
内定式は、企業側のビジョンを伝達して学生がどう感じるか、企業と学生で双方向のやり取りができる絶好の機会です。
学生にとっては、企業理解を深めることができると同時に、直接コミュニケーションを取り不安を解消する場にもできるなど、モチベーションを高める効果も期待できます。
企業としても、事業内容やビジョンを的確に伝える場として、また学生一人ひとりと言葉を交わせる場として、有効な時間となります。
内定者フォローの一環として、内定者の不安を払しょくする
内定式の目的として、多くの企業では内定者の意思確認を目的としていることが多いですが、内定式は内定フォローの一環であるということを忘れてはいけません。
内定式は、内々定後の学生の不安感や迷いを払しょくするためや、内定者同士のコミュニケーションの場として、全体のモチベーションを高める場として活用できます。
内定式の内容と全体の流れとは?
内定式の内容は、最近では野外イベントとして執り行うケースもあるようですが、一般的によく行われているのは「内定授与式」「社長などの役職者や人事部の挨拶」「事業概要・企業ビジョンなどの説明」の3つです。
2012年の「マイナビニュース」で実施された調査で、内定式にどういった内容が実施されたかの結果上位10位をご紹介します。
●内定者懇親会(食事会) 59.5%
●内定書の授与 51.0%
●社長・取締役などの挨拶 49.5%
●人事部長などの挨拶 45.3%
●各種事務手続き 23.2%
●先輩社員との交流 22.1%
●業務内容などの説明 15.8%
●内定者研修 13.7%
●会社の施設見学 10.5%
●その他 8.4%
出典元『マイナビフレッシャーズ』内定式の服装マナーや持ち物は? 先輩へのアンケートでわかった内定式の実態
1位の懇親会は、先輩社員や同僚などと話す機会として、学生の多くが非常に重視しています。企業側のあいさつや各種説明なども重要な項目として実施している企業が多いです。
内定式の効果と注意点とは?
内定者フォローとして内定式を行う上で、内定式の効果と注意点を理解しておくことは、的確なフォローを行うために非常に重要です。
内定式の効果とは?
内定式の効果としては、特に「ダイレクトコミュニケーションによる、双方の理解の促進」と「内定者の入社意識の向上」の2つが挙げられます。
学生にとっての内定式とは、内定通知書の交付、社長や役員など企業の顔となる人物に会う、内定書にサインするなどの行為によって、漠然としていた「入社すること」の意義を感じ、入社意識を高める効果があるイベントです。企業側の人員と直接コミュニケーションを取ることで不安を解消し、モチベーションを高める効果も期待できます。
企業にとっての内定式とは、事業内容やビジョンを学生に伝える場として、学生一人ひとりと言葉を交わせる場として有効な時間です。
内定式の注意点とは?
内定式の注意点は、大きく分けて3つあります。
内定式の注意点1つ目は「費用がかかる」ことです。一定数の内定者と組織を巻き込んだイベントなので、当然ある程度の経費が必要となり、内定者の交通費などを負担する場合は更にコストがかかります。
採用活動においては、ある程度の投資があってこそ、いい人材と巡り合えるものです。会社全体として何を目的に投資するかを考えると、内定式の費用も納得のいく必要経費と考えられるのではないでしょうか。
内定式の注意点2つ目は「内定式後に採用した学生と差がでる」ことです。内定式は一般的に本内定が出る10月頃に実施するため、内定者の多くが参加できる公算ですが、内定式以降に内定を出した学生がいる場合は、内定者の間で不公平感が生まれる危険があります。
内定式以降にも内定者を出した場合は、別途内定式を実施したり交流の場を作るなどでフォローして、マイナスポイントを回避するようにしましょう。
内定式の注意点3つ目は、内定式に参加した内定者が「確実に入社するとは限らない」ことです。特に昨今の新卒者売り手市場においては、学生もしたたかに、内定式に出席したとしても最後まで複数の企業を比較検討していることが多いです。
いずれの場合でも、入社するかどうかは学生の自由意志であることを念頭においておくことが大切です。
内定式を最大限に活用して、自社の魅力を伝えよう!
内定式とは、内定者フォローの中でも特に多くの企業が実施している施策です。学生の入社意欲を高める上でも、有効な施策であるとする調査結果もあります。
内定式は、形骸化していると実施する意義が非常に薄まってしまいます。内定式に出たからと言って、内定辞退を100%防げるわけではありません。どういう手を尽くしたとしても、最終的には学生の自由意志ということを踏まえた上で、地道に計画し、丁寧なコミュニケーションを尽くす姿勢が大切です。
内定式に来た内定者が全員入社の意思を持っているとは考えず、他社と比べて悩んでいる学生の心を引き付ける絶好の機会として、自社の魅力が伝わる内定式の内容を考えましょう。