採用活動プロセスにおける性格検査の重要性とは？
適性検査とは、人材採用の場面においてほぼすべての企業が行っている重要なプロセスです。リクルートの『就職白書2017』によると、採用活動プロセスにおいて「適性検査・筆記試験」を実施している企業は94.9%という結果が出ています。
出典元『リクルート』就職白書2017－採用活動・就職活動編－
適性検査・筆記試験は採用時に行うのが一般的で、主に筆記やWebテストを用いて受験者の能力や性格を判定し、採用の判断材料にするツールとして活用されています。判断基準は企業によって異なり、大企業で受験者が多い場合に一定の採用基準として用いる場合や、社会人としての教養や知識力を測るために用いる場合などさまざまです。また、業種・職種によっては、特定の専門知識を問う試験として活用するケースもあります。
適性検査は大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2種類があります。能力検査は受検者の基礎学力や一般常識について習熟度や効率的に回答できるかなどをチェックする方法として、性格検査は受検者が持つ性質や気質など、後々の教育や育成などが難しい部分をチェックする方法として用いられています。
最近の採用活動では、少子化や売り手市場による人手不足に伴い、個人が持つ生来の傾向を分析できる性格検査の重要性が高まっています。
性格検査はもともとは心理学研究から生まれ、性格に良い・悪いはなく、あくまで個性として判断するために作られたものです。検査結果をどのように判断・活用するかについては、企業や人事担当者に委ねられている場合がほとんどです。
今回の記事では、性格検査における「回避性」の意味や定義、回避性の高い人・低い人の特徴や接し方などについてご紹介します。
回避性とは？意味や定義、回避性の高い人・低い人の特徴や接し方について
回避性の意味や定義とは？
性格検査における回避性とは、人との衝突を避けたがるか、自分の意見を押し通したがるかといった、個人の考え方の傾向を意味する言葉です。
回避性は性格の一側面ですので、高いから良い・低いから悪いというものではありません。「皆に優しい人」と「八方美人」が表裏一体であるのと同じように、回避性の高さも状況や活かし方次第で長所にも短所にもなり得ます。
回避性が高い人の特徴や得意・不得意とは？
回避性が高い人は、仕事や人間関係におけるリスクに対して敏感で、堅実な選択肢を取りたがるタイプです。仕事の失敗や人間関係の悪化につながり得るようなリスクは極力避け、堅実な方法で物事に取り組むため、大きなミスやトラブルを起こすことは滅多にありません。
堅実で安定志向な性格は、組織や事業を円滑に運営していく上で非常に重要な素質です。無謀な挑戦や意見の対立を嫌うため、大きな損害を出したりチームの雰囲気を悪くなるような行動をせず、地道な姿勢で物事に取り組みます。
回避性が高い人のマイナス要素としては、自身の能力を過小評価しがちな点が挙げられます。批判されたり恥をかいたりすることを恐れるあまり、革新的なアイデアを思い付いても言い出せなかったり、相手が間違っている場合でも黙って従ってしまうことがあるため注意が必要です。
回避性が高い人は堅実で安定志向なため、事務や経理のような、地道な努力が求められる仕事に向いています。
回避性が低い人の特徴や得意・不得意とは？
回避性が低い人は、チャレンジ精神が旺盛で、何事にも前向きに挑戦するタイプです。バイタリティがあり、積極的に物事に取り組むため、仕事を一緒にするにあたって頼りになる存在です。
何事にも前向きで社交的な人が多いため、組織にいるとチームが明るくまとまりをもって活動できます。会議や議論での意見の対立をいとわないため、遠慮して黙ってしまうようなこともなく、生産的な議論が生まれます。
回避性が低い人のマイナス要素としては、引いた方が得策な時であっても、無理に自分の意向や考えを通そうとする点が挙げられます。チャレンジングな姿勢は様々な仕事で役立ちますが、リスクのある選択肢を躊躇せず、組織にとってマイナスになる行動をとることがあるため注意が必要です。
回避性が低い人は積極的でチャレンジ精神旺盛なため、環境の変化や移動などが多い活動的な業務や、他人との密なコミュニケーションを要する仕事に向いています。
回避性が高い人への接し方とは？
回避性が高い人は、現状の維持や緩やかな発展が得意なので、単調な仕事であっても長期間にわたってしっかりとこなしてくれます。対人関係においても慎重に立ち回るため、組織に大きなマイナスをもたらすようなトラブルを起こすことは滅多にないでしょう。
慎重で安定志向な性格は、既存事業の維持や人間関係の安定に役立つ反面、新規事業の開拓や組織の大幅な改革などの大胆さが求められる場面では、あまり活躍できない傾向があります。ビジネスでは様々なシーンで決断を求められますが、回避性が高い人は失敗した時のリスクを嫌うあまり、大きなチャンスを逃してしまうことがあるため注意が必要です。
回避性が高い人と接する際は、急に責任を負わせたり決断を迫ったりせず、不安や抵抗を感じさせない環境を作ってあげるとよいでしょう。
回避性が低い人への接し方とは？
回避性が低い人は、難しい課題や新しい挑戦に対して積極的に取り組むため、新規事業のチームに組み込むと頼りになります。リーダーシップを発揮して、周りの人を巻き込みながら物事に対応していくため、活動力の高さを最大限活かせるような環境を整えてあげるとよいでしょう。
活動的な性格は、積極的な行動が求められる場面では活躍できる反面、慎重な判断が求められる場面では先走ってしまいがちな傾向があります。難しい課題やリスクの大きい案件でも「何事もチャレンジすべき！」と、深く考えずにとりあえずで取り組んでしまい、大きなトラブルを引き起こすことがあるため注意が必要です。
回避性が低い人と接する際は、積極的な姿勢やチャレンジ精神の旺盛さを後押ししつつ、慎重になるべき場面では一度落ち着いて考えるように促してあげるとよいでしょう。
回避性とは何かを理解して人材の採用・育成に活かそう！
性格検査における回避性とは、人との衝突を避けたがるか、自分の意見を押し通したがるかといった、個人の考え方の傾向を意味する言葉です。
回避性は性格の一側面ですので、高いから良い・低いから悪いというものではありません。回避性が高い人はリスク管理がしっかりしている反面挑戦的な姿勢に欠ける、回避性が低い人はチャレンジ精神が旺盛な反面リスクを軽視し過ぎるなど、状況や活かし方次第でどちらも一長一短です。
企業で採用活動の参考にする際には、回避性が高い安定志向な人材が欲しいのか、回避性が低い挑戦的な人材が欲しいのかなど、回避性という指標の特徴を理解した上で求める人物像を明確にすることが大切です。
