求人票の共通事項をテンプレート化しよう!
「応募したくなる求人票の書き方やコツとは?例文を確認しよう!」の記事では、他社と差別化し、求める人材像の心をつかむ求人票の具体的な書き方を解説しました。とはいえ実際の求人票は様々で、都度内容を考えて書くのは手間がかかってしまいます。
そこで、事前に「テンプレート」的に共通事項をまとめておき、その後それぞれの求人票に落とし込むことをおすすめします。そうすれば、効率よく様々な求人票に対応できるはずです。とくに、ハローワーク(職業安定所)は単一で最も大きな求人媒体となります。
労働政策研究報告書2015によると、転職時の入職経路の28.5%が求人広告、26.5%がハローワーク、24.2%が縁故となっており、ハローワークの影響力は根強いといえます。
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』労働政策研究報告書2015
ここからはハローワークのテンプレートをベースに、各項目に記載すべき内容・ポイントを列挙していきます。
ハローワーク「求人申込書」の各項目
ハローワークに求人票を掲載するには「求人申込書」を提出する必要があります。この内容がベースとなり、求人票が作成されるため、まずは「求人申込書」の各項目を押さえましょう。
0.見出し
「フルタイム」「パート」「季節」「出稼ぎ」の中から選択します。正社員や正社員と同じ勤務時間で雇用したい場合は、「フルタイム」を選択します。
1.1.事業所番号・事業所名
求人申込書の事業所番号には、雇用保険の事業所番号を記入します。
会社名の正式名称(株式会社であれば、「株式会社」を記載する)を書きましょう。
1.2.公開希望
インターネット上での求人票公開方法を選択する項目です。今やインターネット上で仕事を探す方法は一般的になっているため、特別な事情がない限りは、制限なく公開する方法が良いでしょう。公開希望欄の選択肢は次の通りです。
- あなたの会社や屋号などを含む求人情報をインターネット上で公開する
- ハローワークに求職申込をしている人に限定して、あなたの会社や屋号などを含む求人情報求人情報を提供する
- あなたの会社や屋号などを含まない求人情報をインターネット上で公開する
- インターネット上で求人情報を公開しない
2.職種
この職種欄は求人票の中で目につくポイントです。端的かつ明確に一言で仕事の内容を表しましょう。
※派遣や請負で他の事業所で勤務する場合には、派遣か請負のいずれかにチェックします。
3.1.仕事の内容
自社の強みや社風などを明確にし、求める人材に「この会社でなら働けそう」というイメージを湧いてもらえるよう、やりがいが伝わるように書きます。
スペースの9割程度が埋まるくらい、文字数いっぱいに書くことで、求職者にこちらの本気度が伝わりやすくなります。
3.2.学歴・必要な経験等・必要な免許・資格
業務上求められる学歴や経験、免許・資格などを、必要に応じて明記しましょう。業務上、自動車の運転が必須であったり、危険物の取り扱いをする場合などがあります。
実際には免許・経験が必要であるのに、求人票に記載せず、これらがないことを理由に不採用にしてしまうとトラブルの元になります。しっかり記載するようにしましょう。
4.雇用形態と雇用期間
雇用形態は下記から該当する番号を一つ選びます。
「1」・・・正社員
「2」・・・正社員以外(契約社員や嘱託社員など)
「3」・・・有期雇用派遣
「4」・・・無期雇用派遣
雇用期間は、下記から該当する番号を選びます。
「1」・・・雇用期間の定めなし(雇用形態が正社員である場合も「1」を選択)
「2」・・・雇用期間の定めあり(4ヶ月以上)
「3」・・・雇用期間の定めあり(4ヶ月未満)
「4」・・・日雇(1か月未満の雇用を含む)
5.就業場所
求人申込書における登録地図番号は、事業所登録の際に、事業所地図登録シートで登録した地図番号を記入します。
地図番号は、「事業所地図情報確認票」で確認しましょう。
6.年齢
求人募集における年齢制限は原則禁止となっています。
ハローワークで求人申込書を提出する時にはもれなくチェックされる項目です。ただし、「年齢制限に合理的な理由があると認められる」場合の書き方については、「求人票に書いてはいけないNGワードとは?禁止表現の注意点」の記事をご覧ください。
7.就業時間
就業規則がある場合は、就業規則に規定された就業時間を記入します。
就業時間や時間外労働については、労働基準法などの法律に違反していないかチェックが必要です。
8.休日
毎週の休日、年末年始休暇・夏期休暇などの特別休暇も記入します。休日で職場を選択している求職者も多いため、休日・休暇は正確に記入することをおすすめします。
休日は、少なくても毎週1日もしくは4週間で4日以上を付与しなければなりません。その上で、特定の曜日を休日に定めている場合には、「定例日:毎週 曜日」に該当する曜日を記入します。また、そのほかに決まった休日(祝祭日、年末年始休暇、夏季休暇など)を必要に応じて記入しましょう。
年次有給休暇は、6か月勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した従業員が取得できる賃金が減額されない休暇のことです。原則として1日単位で付与されますが、労使が合意すれば半日や時間単位での付与することも可能です。
9.従業員数
申し込み段階の人数を記載しましょう。人数が正確であるか、というよりも企業規模を知る指標の一つであると考えます。
10.加入保険等
事業所登録と異なる場合は、あるものにチェックしましょう。保険についてもトラブルの元になりやすいため、正確に記載します。
11.定年
加入保険と同様に、事業所登録と異なる場合は正確に記載します。
12.ハローワーク以外への情報公開
ハローワークに提出した求人情報は、職業紹介事業を行う地方自治体や民間職業紹介事業者に、オンラインで提供されるようになりました。幅広く公開してもらうことで、求める人材の目に触れる機会を増やしましょう。下記から希望するものを一つ選びます。
「1」・・・地方自治体、民間人材ビジネス共に可
「2」・・・地方自治体のみ可
「3」・・・民間人材ビジネスのみ可
「4」・・・地方自治体、民間人材ビジネス共に不可
13.1.賃金形態
以下の中から番号を選びましょう。
「1」月給・・・月額が決められて支給される賃金
「3」日給・・・日額が決められて、勤務日数に応じて支給される賃金
「4」時給・・・時間給を決めて、勤務時間に応じて支給される賃金
「5」年棒・・・年額を決めて、各月に配分して毎月支給される賃金
「6」その他・・・週給など、上記に当てはまらない賃金
13.2.月平均労働日数
年間日数から休日を除いた労働日を、12ヵ月で割って算出した日数となります。
休日数の算出時に、年末年始などの長期休暇の日数を計算し忘れないようにしましょう。
14.1.賃金の額
正社員のフルタイム求人を行い、かつ、賃金形態を「1」月給以外を選択する場合に、その賃金額を記入します。例えば、年棒の正社員(フルタイム)求人の場合は、年棒の範囲を記載しましょう。
14.2.基本給または時間額
月額の基本給を記入します。(残業代や各種手当は含めないこと)
賃金が時給や日給、年棒制でも、標準的な月の出勤日数を使って月額換算して記入してください。
※基本給または時間額は、幅を適度に持たせましょう。幅が広すぎると、求人の信頼性が下がり、幅の低い額が足かせとなるおそれがあります。一方、試用期間後に、予想よりも適性がない内定者にも、提示した給与額を支払う必要が出てくるため、ある程度は幅を持たせたほうがよいでしょう。過去の実績や同業種の求人情報などを参考にしましょう。
14.3.定額的に支払われる手当
役職手当や住宅手当、家族手当など就業規則などで決められた毎月支払われる手当と金額を記入します。通勤手当はこちらに該当しないので、記載しないようにしましょう。(通勤手当は16の項目に用意されています。)
15.賃金締切日と賃金支払日
賃金の締切日は1ヶ月の給与計算の基準となる期間がいつからいつまでかということを決めるための日になります。例えば、「毎月20日締め」ということであれば、給与の計算は前月21日から当月20日までとなります。
また、賃金支払日とは、賃金締切日で計算した給与を支払う日のことです。例えば、「当月末払い」の場合、計算した給与を当月末に従業員に支払うことを意味します。
16.通勤手当
通勤手当の金額について記載します。マイカー通勤に関する特記事項については、駐車場などの兼ね合いがある場合は、「小型車又は軽自動車に限る」などを記載しましょう。
17.昇給
前年の実績があれば、「あり」を選択して実績額を記入してください。実績がないのに見込みを記載するのはトラブルのもとになるので、やめましょう。
18.賞与
昇給と同様、前年度の実績を記載します。実績がない場合は「なし」を選択しましょう。
賞与は業績によって支払われるもののため、「なし」の場合は、何故前年度はなかったのか、今後はどうする予定なのかといった現状説明を、面接の段階ですると良いでしょう。
19.1.選考方法
面接や書類選考といった選考の方法を記入します。
19.2.選考結果通知
選考結果を何日後に伝えるかを記入します。5日~1週間程度が目安となります。
19.3.試用期間
本採用までに適性を見極めたい場合は、「あり」にチェックします。
試用期間で労働条件が異なる場合は、本採用時との違いを具体的に記入しましょう。
事前に求人票に書く基本事項をまとめておこう
母集団形成を行う上で、今まで送ったことのないところにも求人票を送る可能性があります。その場合は、独自のテンプレートに対応しなければなりません。
そこで、掲載する情報の統一化や求人票執筆のスピード向上、採用ブランディングの統一化のためにも、上記で挙げた項目を事前に決めておいてはいかがでしょうか。