採用筆記試験とは?実施する意味や目的、活用方法について

多くの企業で活用される「採用筆記試験」

採用活動には労力がつきものですが、特に毎年ほぼ同じ時期に行われる「新卒採用」は、人事部だけでなく組織のさまざまな部署も総出で行われる一大イベントです。

リクルートの『就職白書2019』によると、最も多くの企業が上げた新卒採用の課題が「採用にかかるマンパワー(約76%)」となっており、8割近い企業が採用活動自体に疲弊していることがうかがえます。一昨年度の調査からより高くなったポイントとして「マンパワー」問題以外には「採用に係るコスト」52.1%などが続いています。

2019年新卒採用における課題
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

新卒採用活動に費やされる時間も年々増加傾向にあり、新卒採用活動のための人材も時間も確保が難しくなっているのが実態です。

採用活動プロセスごとの実施率をみると、「面接」が最も多く99%、「適性検査・筆記試験」は実施率91.8%となっており、筆記試験は多くの企業で実施されている重要な採用項目であることが見て取れます。

採用活動プロセス毎の実施率
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

今回は、特に新卒採用において重視されている「採用筆記試験」について説明します。

採用筆記試験を実施する目的や活用方法とは?

筆記試験はどういった内容で構成されているのでしょうか?

dodaの中途採用向けの求人を分析した調査によると、実施している筆記試験の内容として、「性格適性検査+能力適性検査」が59%、「性格適性検査」が24%、「能力適性検査」が10%と、適性に関する内容が9割も占めています。

筆記試験の内容
出典元『doda』採用筆記試験の実施率、試験内容は?

「性格適性検査」とは、個人の行動や志向、情緒などを把握するための検査です。人物の特徴の理解はもちろん、職務や組織との総合的に評価しています。短時間の面接のみでは測ることが困難な内容であることから、適性検査という形式で実施する企業が多いようです。

「能力適性検査」は、知的能力や作業能力を測定する検査です。語彙や文章理解能力、数的処理能力(計算能力)、論理的推理能力などを測定する際に用いられます。多くの職務に共通して必要とされる能力が、一定の水準に達しているかを判断する目的として用いられます。

新卒採用と比較して職務経験やスキルが重視される中途採用においても、最終的に性格や資質を合否の判断材料の一つにする企業は少なくないようです。特にポテンシャルを重視する第二新卒者の採用では、活用される傾向にあります。

その他「論文」は、企画・編集などクリエイティブな職種や、コンサルタントなど文章での説明能力が求められる職種で実施される機会が多く、専門的なスキルや知識を判断する「専門能力試験」は、ITエンジニアや金融系の職種で頻繁に実施される傾向にあります。

採用筆記試験を実施する目的について

就職採用試験で筆記試験を行う目的は企業によってさまざまですが、大きく分けて「学力などで候補者を絞り込む」ことと「学力や性格などの目に見えない情報を可視化する」ことの2種類の目的が挙げられます。

「学力などで候補者を絞り込む」場合は、大手の有名企業など、応募者が多い企業で実施される傾向にあります。応募者1人にかけることができる時間は限られているため、明確な基準を設けやすい学力から確認される傾向にあります。もちろん学力だけではなく、多くの問題に冷静に処理する能力があるか、優先順位をどのように付けていくかなど、実際の業務で必要な能力も図られます。能力適性検査では「一定以下の学力である人材を選考から落とす」「候補者のうち学力が上位○%の人材に絞り込む」などがあります。性格適性検査では「遅刻癖やサボり癖はないか」などの働く上で適切な行動理念を持っているかを確認するために用いられます。

「学力や性格などの目に見えない情報を可視化する」場合は、応募者一人ひとりをより詳しく知りたい場合に実施されます。能力適性検査では「文章読解力が得意なのか、計算が得意なのか」から配属予定先の部署を検討する情報として用いることが挙げられます。性格適性検査では「仕事を重視するのか、プライベートを重視するのか」などの正解のない性格・価値観の情報から、自社組織が持つ価値観や行動理念と合っているのか、合っている部署はどこかなどを確認するために用いられます。

採用筆記試験を有効活用するための方法について

筆記試験を実施する際、その結果はどの程度重視し、活用していくべきでしょうか。

一次試験に筆記試験を課す場合

新卒採用、転職時に限らず、応募者や採用予定数が多い場合などは、一次試験に筆記試験を実施する企業は多くあります。主に「学力などで候補者を絞り込む」目的で用いられます。

一般常識や能力検査を行い、一定以上の能力があるかどうかを見るために活用されます。

筆記試験と面接を同時に課す場合

応募者の能力や社会人としての常識、性格や行動の傾向などを、よりさまざまな角度から総合的に判断するようなときに活用されます。主に「学力や性格などの目に見えない情報を可視化する」目的で用いられます。

転職者の採用時には、主には面接での印象やスキルが重視されるため、筆記試験の重要度をやや下げることもありますが、点数があまりにも低かったり、性格検査と面接での印象が矛盾する場合などには、総合的にチェックすることが求められます。筆記試験での結果が正しいか、面接での印象が正しいかを相互に補完し、多角的な視点で人材の特徴を捉えるために用いられます。

最終選考に近いタイミングで実施する場合

個人の人格的な部分をチェックしておきたい場合や、最終選考の段階でも候補者が複数人いる場合などに有効です。主に「学力や性格などの目に見えない情報を可視化する」目的で用いられます。

他の選考方法との兼ね合いをさらに重視し、複合的に判断するために活用されます。面接での限られた時間での情報だけでなく、より候補者を理解するための情報として採用筆記試験の結果を用いられます。

採用筆記試験を有効活用した場合に企業が得られるメリットとは

企業が採用筆記試験を活用するメリットは主に3点が挙げられます。

応募者のふるい落としができる

応募者多数などの場合は、筆記試験でふるい落としを行えば一定の基準をクリアした応募者のみを面接に招くことができるため、採用活動の効率化につながります。

不採用通知を行う場合、筆記試験の結果を理由にすることで、応募者を納得させるという意味もあります。

応募者の資質を客観的に測定できる

中途採用においては、採用ターゲットが社内で統一できていない、採用担当者によって応募者の評価が異なるといったことが起こりがちです。

筆記試験を行うことで応募者を一定の基準から判断でき、客観的な見方も可能になります。

応募者の本当の性格を把握できる

説明会や面接の際、応募者は採用してもらえるようにある程度自分を演じたり、少しでも印象を良くするために意識したりします。そのため、採用担当者は応募者の本当の性格に気付けない場合もあります。

筆記試験はさまざまな設問から応募者の内面的な部分を探る役割を持ち、対面しただけでは把握できない応募者の性格を知るツールになります。

採用筆記試験を有効活用できなかった場合に企業側のデメリットとは

「学力などで候補者を絞り込む」デメリットとしては、学力で合否を判断することで、優秀な人材の見落としが発生してしまう可能性があります。

筆記試験の結果が悪かったとしても、緊張で本来の力を発揮できなかっただけかもしれないですし、筆記試験で点数を取れなくても仕事できる能力を秘めている学生はたくさんいるはずです。仕事をする際に基本的な学力がどこまで必要なのかということは、会社にとっても評価が分かれるところでもあると思います。

筆記試験は慣れで点数が取れるようになる場合もあります。何社も受けていると全く同じ問題にあたる場合などもあり、その場合には高得点になりやすくなります。

筆記試験の点数をどこまで合否判断の基準として用いるのかは一度社内で検討しておく必要があります。

「学力や性格などの目に見えない情報を可視化する」デメリットとしては、面接で得た情報が異なることで、採用判断が難しくなる可能性があります。

筆記試験は対策が可能であり、就職活動の対策本は多くの書店で販売されています。自らをよく見せようと一時しのぎで受けた筆記試験と面接での印象が違う可能性があります。「筆記試験の結果が正しい」「面接の印象が正しい」と一方を過信して惑わされるのではなく、結果が異なる場合はなぜ異なっているのか、候補者の本音は何かを面接の質問で深堀りするなどで解決し、多角的に人材を把握していく必要があります。

自社採用で、より筆記試験の精度を高めるために

採用筆記試験では、学力や性格など、数字などで判断できない定性情報を可視化し、根拠のある選考判断を行うために用いられています。

実施した結果、どの程度の学力や性格であれば選考を通過させるのか、面接数をどのようにコントロールするかなどの明確な判断基準や活用方法を明確にし、年々異なる学生や社内人材の傾向にあわせて判断基準も変化させていく必要があるのです。

弊社が提供する「ミツカリ」は、「性格や価値観などの目に見えない情報を可視化する」だけでなく、「自社組織との人間関係の相性で候補者を絞り込む」目的でも活用できる性格適性検査です。従来の性格適性検査では、応募者がどのような性格・価値観を持っているのかを可視化できましたが、採用すべき人材かどうかの判断基準はありませんでした。

ミツカリは従業員の方にも適性検査を受検していただくことで組織特徴を分析し、自社組織全体や配属予定先の部署との相性を1%~100%で表示することで、入社後の人間関係やコミュニケーションが円滑になるかを提示しています。相性の悪い部分については採用面接で聞くべき質問としても提示しています。相性が○%以下のときに候補者を絞り込むなどの使い方をするだけで、離職率が半減した企業もいらっしゃいます。

採用筆記試験で「入社後の人間関係やコミュニケーションがうまくいくか」を見極めたい方はお気軽にサービス資料をご請求ください。

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