選考基準を定めても評価にバラつきが出る理由とは?
現在の日本の求人市場は、求人倍率が増加の一途をたどり、企業間の人材獲得競争が激化しています。人材獲得が難しい中で、採用活動が上手くいっていない企業の特徴として、選考基準や採用要件が明確化されていない傾向があります。
労働人口の減少による売り手市場が進む現在の求人市場では、人材を効率的に見極めるために、客観的な採用要件や選考基準を作ることが大切です。客観的な選考基準は、人材の見極めだけでなく、人材確保の安定化や採用活動の公平化においても重要になります。
実際の採用活動では、選考基準を決めていても「面接官によって評価にバラつきが出る」という問題をよく耳にします。面接官ごとに評価がバラつく問題については、リクルートマネジメントソリューションズで面接評価の研究をしており「採用面接評価の科学」の著者でもある今城志保氏が、自身の論文内で指摘しています。
参考『産業・組織心理学会』採用面接評価における面接者要因の探索的検証
人材の評価基準の問題についての調査として、既存社員を対象とした「自社の人事評価制度に不満を持っているか」というアデコのアンケート調査があります。
アデコの調査結果によると、自社の人事評価制度について不満を持つ社員の割合は62.3%、評価制度の見直しをすべきであると考えている人は77.6%と、過半数を大きく超える数値が出ています。
出典元『Addeco』-働く人の「人事評価制度」に関する意識調査-
出典元『Addeco』-働く人の「人事評価制度」に関する意識調査-
人事評価制度に対する不満の内容としては「評価基準が不明確」や「評価者の価値観や経験によってばらつきが出て、不公平だと感じる」などが主な理由として挙げられています。
出典元『Addeco』-働く人の「人事評価制度」に関する意識調査-
アデコの調査結果からは、採用面接よりも長い時間接しているはずの既存社員の評価ですら、評価基準の不明瞭さや不公平さなどの問題が生じていることが分かります。わずかな面接時間で人材を評価しなければならない採用活動で、応募者が選考基準や採用要件を満たしているかを評価・判断するのは、より難しい問題であると言えます。
今回の記事では、選考基準の設定方法や評価方法、優先順位や評価比重の決め方について詳しくご紹介します。
選考基準の設定方法とは?評価項目や評価方法、評価比重の決め方について
選考基準となる評価項目の設定方法とは?
選考基準の項目を決める上では、人材を短時間で見極められる評価項目を設定することが重要になります。
採用活動では、面接や書類選考などの選考過程をすべて合わせても、応募者一人当たりの見極めにかけられる時間はかなり限られています。最終的に採用する応募者は数人程度であっても、選考過程では多数の応募者の書類選考や面接を行うため、人材の見極めは短時間で行う必要があるのです。
短時間で人材を見極められる選考基準を作ることは大切ですが、選考が雑になって優秀な人材を見逃してしまっては、意味が無いどころか逆効果になってしまいます。選考にかける時間を短くした上で選考漏れを防ぐためには、選考段階を「ざっと粗選りするフェーズ」と「人数を絞って精査するフェーズ」に分ける方法が効果的です。
わずか1時間程度の面接で応募者を公平かつ客観的に評価するためには、選考基準に数値化可能な評価軸を用いたり、分かりやすく段階評価できるような評価フォーマットを用いるとよいでしょう。
選考基準の評価方法とは?
選考基準を作る際には、人材を多面的かつ総合的に評価できる項目を設定しなければなりません。
選考基準の項目は、資格の有無や筆記試験の点数などであれば、公平で客観的な評価が容易です。技術的なスキルの有無を知りたい場合は「技術的な質問を5つして3つ答えられれば合格」といった簡易テストを行えば、短時間である程度正確な評価ができます。
性格や価値観などの抽象的な選考基準を評価する際には、適性検査が効果的です。弊社サービス「ミツカリ」では、応募者の性格や価値観・志向性といったパーソナリティを見える化し、社風や部署の人間関係の相性やミスマッチの度合いを数値化します。公平で客観的な選考基準を設定できる採用支援ツールとして、是非導入をご検討ください。
選考基準の優先順位や評価比重の決め方とは?
選考基準の項目と評価方法が決まったら、各項目の優先順位や評価比重を決めなければなりません。
選考基準の優先順位を決めるためには、評価項目を「MUST(必須条件)」「WANT(希望条件)」などに分類する方法が効果的です。MUSTを全て満たしている場合は加点する、MUSTは2点、WANTは1点でスコアを計算するなどの処理をとると、より評価基準の精度向上を図れます。
選考基準や評価方法は定期的にメンテナンスしよう!
わずかな面接時間で人材を評価しなければならない採用活動では、応募者が選考基準や採用要件を満たしているかを、短時間で評価・判断しなければなりません。
短い時間で人材を公平かつ客観的に評価するためには、選考基準の評価項目や評価方法、評価比重を慎重に決める必要があります。選考基準の項目を「どのプロセスで・何を・どのように・どれくらい」評価するのかを面接担当者が共有しておくことで、公平かつ客観的な採用選考が可能になり、採用要件に合う人材の採用につながるのです。
採用活動は定期的に振り返りを行い、採用要件や選考基準の見直しや改善を忘れないようにしましょう。求人市場はトレンドが目まぐるしく変化するため、PDCAサイクルを回してこまめに自社の採用システムをメンテナンスすることが、採用精度を向上させるコツなのです。