オーナーシップマインドはすべての従業員に必須!
リーマンショック以降、日本では求人倍率が増加の一途を辿っており、企業間の人材採用の競争は激化しています。
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』図1 完全失業率、有効求人倍率
人がいなくては事業の拡大はおろか、維持すらも難しいのはいうまでもないことですが、だからこそ人材採用と同等に「生産性の向上」が重要になっています。
そこで重要なのが「オーナーシップマインド」です。
オーナーシップはよくリーダーシップと混同されることがある概念ですが、その定義は「担当する業務を自分ごと化できる姿勢」であり、必ずしも組織を牽引する立場の人材にのみ求められるものではありません。業務に対して責任を持つことで、投げ出すことなく最後までやりきることができたり、「どうすればより効率的に業務を行えるのか」という工夫を自発的にできるようになります。そうした姿勢を従業員それぞれが持つことは、組織全体の生産性の向上に不可欠です。
オーナーシップマインドを育成するために、入社初期段階や入社後に定期的にオーナーシップマインドを育成する教育研修などを導入することが効果的です。そのためにも、まずオーナーシップマインドを具体的に理解する必要があります。
この記事では、オーナーシップマインドを持つ人材の特徴を紹介することで、その具体的なイメージを掴むことを目的としています。
オーナーシップマインドとは何か?
オーナーシップとは「担当する業務を自分ごと化できる姿勢」のことです。英語では「ownership」と表記され、直訳は「所有権」「当事者意識」などになり、今回の記事では主に後者の意味で使用しています。
当事者意識を持つことにより「与えられた業務に対して能動的な解決意識が芽生える」というのが、オーナーシップを有することで生まれる主たるメリットだと考えられます。
積極的に行動するほど「目の前にある課題は自分ひとりの力では解決できない」という問題に直面する機会が多くなりますが、それゆえに仕事を通じて組織の他のメンバーを自然とサポートするようにもなり、帰属意識も芽生えることがあります。
オーナーシップマインドとは「自分ひとり」を中心とした概念というわけではありません。「直面した課題周辺のことを客観的かつ真摯に見つめる姿勢」とも考えられるのです。
オーナーシップマインドを持つ人材の特徴とは
具体的にオーナーシップマインドを持った人材とはどういう特徴があるのでしょうか?
オーナーシップマインドを持った人材は「自分の代わりは誰にでも務まる」という考えではなく「自分がやらなければ他に誰もやる人はいない」という考えを持って業務を行っています。ひとつの極論でもある態度なのですが、重要なのは「担当業務に強い責任感を有している」ということです。
創造的な仕事は「やらされている」という受け身な状態では決してなされることはなく、自発性が何よりも不可欠です。自発性のコラボレーションにより構成された組織では、様々な課題に迅速かつ的確に対応できる機動性も生まれ、生産性が高くなります。
オーナーシップマインドは行動として「指示待ち族」とは対極なものとして現れます。具体的には、業務の効率化や新規企画の提案など、自ら積極的に発想するというものが挙げられます。
組織に存在することはなんらかの役割が与えられているということを理解し、存在価値を自ら高めるような働きを行うというのが、オーナーシップマインドを持った人材の特徴と言えるでしょう。
オーナーシップに必要な要素について
オーナーシップにまず必要なのは「責任感」です。与えられた役割に対する責任感が当事者意識を生み、業務の達成によって自らの存在価値を高めることができます。
強い自己主張がオーナーシップにつながるというわけでもありません。組織には様々な役割が各人に与えられており、組織として行う事業は個人プレーで成功するものでもありません。大きな問題になるほど自分だけではなく他者の力も必要になるので、他者の役割や性格なども尊重することが、オーナーシップを育成する上で大切な要素になります。
オーナーシップが評価に直結する事例もあります。
例えば中国の家電メーカーもハイアールでは、昇進には立候補制を採用しています。まず自ら手を挙げ、プロジェクトをどう進めていくかのプレゼンテーションを行い、従業員の投票によって役職に就くか就かないかが決まります。
責任感とそれに基づく行動力、そして他者をも巻き込める力というオーナーシップマインドを支える要素を評価に組み込むことも可能です。
会社全体でオーナーシップマインドを育成する環境づくりを!
オーナーシップを発揮するためには、オーナーシップマインドを理解することが大切です。適した教育研修プログラムを実施するなどして、常に行動を意識してもらう必要があります。
実際に現場業務を通して身につけてもらうためには、ある程度の業務遂行能力や権限委譲が必要です。単にオーナーシップを身に付けてほしいとするだけでなく、会社全体としてサポートしてオーナーシップを実践できる環境づくりがより大切なのです。