OCEANの性格の特性でみる、ミスマッチが有効な人材配属とは?

ミスマッチが有効な場合もあるのか?

離婚問題などのプライベートな状況においても起こり得る価値観の違いについて、「人間は結局似た者同士が惹かれ合う」ということを指摘しました。

カルチャーフィット採用など、カルチャーフィットという言葉が注目されています。カルチャーフィット採用とは、採用項目や採用基準において「組織風土や企業文化、社風との相性がよい」ことに重点を置く採用のことです。一方でダイバーシティという言葉があるように「類似性ではなく多様性を重視する」ことの重要性も注目されています。今回はなぜカルチャーフィットにメリットがあるのか「人間は違う者同士が惹かれ合うのか、似たもの同士が惹かれ合うのか」の問題に対して心理学・社会学研究からの学術的見解と、カルチャーフィットを行うメリット、なぜカルチャーフィットが良いとされているのかの意味について説明します。

「似た者同士が惹かれ合う」ことを掘り下げたところ、性格の類似性・多様性とパフォーマンスの関係性について新たな発見がありました。「似たもの同士」ではなく「違う者同士」でも力を発揮する場面があることです。

今回は、具体的にどのような部分が「違う」ことで、力を発揮するのかについて説明します。

5つの性格特性で見る、チームパフォーマンスの違い

心理学でよく使われる5つの性格特性を簡単に説明します。ビッグ・ファイブとも呼ばれる理論で、頭文字を取ってOCEAN(オーシャン)とも呼ばれています。弊社ミツカリだけでなく、多くの適性検査や心理学研究の基礎となっている理論です。

  1. Openness (開放性)
    - 知的好奇心などの程度
  2. Conscientiousness(誠実性)
    - 自己統制力やまじめさの程度
  3. Extraversion(外向性)
    - 社交性や活動性の程度
  4. Agreeableness(協調性)
    - 利他性や協調性の程度
  5. Neuroticism(神経症傾向)
    - ストレスに対する程度
ビッグ・ファイブ理論とは1990年代に提唱された性格分析理論の一つであり、適性検査や性格と業績の関係性研究など、性格分析の基礎理論とも言える理論です。ビッグファイブ理論は、タイプ分けで識別する類型論ではなく、各要素の得点から傾向を認識する特性論です。今回はビッグファイブ理論とは何か、どのように理解すべきか、ビッグファイブ理論を用いた心理学研究の一例について説明します。

ある論文では、5つの性格特性とその類似性・多様性がチームのパフォーマンスにどのような影響があるのか、小売業(携帯、自動車、食品関連)で働く328人を4人1組にして調査した結果が報告されています。

5つの性格特性について、1グループごとの平均と分散(=ばらつき:どれだけ多様性かどうかの指標)を計算し、仕事のパフォーマンスにどのような関係があるのかを調査しました。仕事のパフォーマンスとは、カスタマーサービスの質(クレームの数)と仕事の質(期限通りに終わらせられたかどうか)を、人事がそれぞれのチームに対して評価したものです。

類似性が高いほうが良い性格特性

  • 開放性
  • 誠実性
  • 協調性

誠実性、協調性、開放性に関しては、類似性が高いほど良いパフォーマンスを予測しました。「誠実性」「協調性」「開放性」は、高ければよいのではなく、同程度の特性を持つもの同士が単純に多く集まれば集まるほど、大きな力を発揮することを意味しています。

多様性(ミスマッチ)が高いほうが良い性格特性

  • 外交性
  • 神経症傾向

外向性と神経症傾向については、多様性が高いほど良いパフォーマンスを予測しました。

外向性の高い人はリーダー気質の人が多いため、そういう人が多く集まると収拾がつかなくなる可能性があるからだと予測できます。神経症傾向の人はシャイである場合が多いため、シャイな人がたくさん集まったところで生産性のあるパフォーマンスは生まれにくいのでは、と予測できます。

外向性と神経症傾向においては、足りないところはチームとしてうまく補うことで、生産性を高めてくれる要因となることが考えられます。

性格特性ごとに、類似性・多様性を重視する

今回読んだ論文を簡単にまとめると、企業がパフォーマンスの最大化を求めるならば、次のように性格診断に基づいてチーム構成をしたら良い:

  • Openness (開放性)- 類似性重視
  • Conscientiousness(誠実性)- 類似性重視
  • Extraversion(外向性)ー 多様性重視
  • Agreeableness(協調性)ー 類似性重視
  • Neuroticism(神経症傾向)ー 多様性重視

この研究結果は、かなり興味深い内容です。似たような性格の人を集めればよいのではなく、どの性格に着目するかによって多様性も効果的である、ことを意味しています。類似性と多様性のバランスを取った人選が、最高の組織を生み出す可能性を示唆しています。

一つ注意しておきたいポイントは、これら5つの性格特性は、各人がどれか一つだけに属するようなものではなく、各人には5つすべての特性が存在することです。それぞれの特性でどの程度高いか低いかを判断することが重要です。

例えば血液型の場合、「私はB型」「あなたはO型」といった短絡的な分類しかできません。ビッグ・ファイブ理論のOCEANを使う場合は、「私は開放性:5、誠実性:9、外向性:8、協調性:4、神経症傾向:3」といったように分類をすれば、より深い分析に生かせます。

OCEANの程度を理解するためには、適性検査などのパーソナリティ診断が非常に有効です。どのような組み合わせが有効な人材配属を実現できるのか悩んでいる人事担当者のヒントになれば幸いです。

Source: Neuman, G, Wagner, S, & Christiansen, N (1999) The relationship between work-team personality composition and the job performance of teams. Group & Organization Management, 24

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