メンター制度の導入事例・成功事例とは?目的に応じて運用を最適化しよう!

メンター制度の導入前に考えたいこととは

日系企業の約半数が、導入しているとされるメンター制度ですが、運用方法(メンターとメンティをどのようにマッチングするか、メンターとメンティのメンタリングはどのように行うか等)については、様々なやり方があります。

新入社員(正式配属後)に対するメンター制度
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!

自社のメンター制度をより良く効果的なものにするためには、自社が「どのような課題を解決するためにメンター制度を導入するのか」を明確にすることが重要です。

メンター制度を導入することで解決したい課題として「人材育成」「離職率低下」「社内コミュニケーション活性化」だけでなく、他にも様々あります。メンター制度を導入することを目的とするのではなく、まずは自社の解決したい課題を明確にして、解決手段として「メンター制度が有効なのか」を考える必要があります。

人材育成などの課題を解決するために、メンター制度を導入して効果を実感している企業は、どのようにメンター制度を運用しているのでしょうか?今回はメンター制度を導入した企業の事例から、導入目的や施策内容、得られた効果について説明します。

企業におけるメンター制度の導入事例について

それでは、他企業のメンター制度導入事例を見てみましょう。今回は業界問わず、次の6社の事例をピックアップしました。

IT企業のメンター制度の導入事例

いち早く組織に馴染むために、メンター制度を導入した企業の事例になります。社内での立ち振る舞い方だけでなく、どんな相談を誰にしたらよいのか、誰に聞いたら分かるのかなどの社内理解を進めることで、業務をよりスムーズに遂行することが目的です。

メンター制度の施策内容

メンター対象者である先輩社員には、新入社員の入社前に人事部からのレクチャーやディスカッションを通じて、メンターとしての心構えを学ぶ機会が与えられます。

新入社員の入社後でのメンター・メンティ間の面談は、終業10分前からスタートし、終業後はアルコールの飲用が認められているため、双方が話しやすい雰囲気でコミュニケーションを取ることが目的とされています。

メンター制度の施策効果について

メンターになった社員から、メンターになると新人(メンティ)から気づきを得ることができるといった声も上がるようになり、メンター制度が浸透しました。

既に忘れてしまった視点だけでなく、デジタルネイティブと呼ばれる違う世代としての視点などから、メンター制度そのものの効果だけでなく、適切なフィードバック効果が得られています。

成功したポイントしては、メンター制度導入前のメンターへの研修がしっかりなされていること、メンターとメンティの面談においては、アルコールOK面談という本音を引き出しやすい環境作りに徹したところがポイントだと考えられます。

製造業のメンター制度の導入事例

入社1年以内に採用人数の過半数が退職してしまうことが課題であった製造業におけるメンター制度の導入事例です。

メンター制度の施策内容

新入社員である入社1年目から入社5年目までの全社員に対して、OJT、Off-JT、自己啓発、メンター制度を連動して運用することとしました。

同社のメンター制度は、5年目の若手社員がメンターとなり、新入社員の職場生活をサポートするというものです。担当業務に必要な技術、技能等は、OJT、Off-JT、自己啓発で学ばせるため、メンターはメンティの精神的なサポートを主な役割として、明確な違いをもたせました。

メンター制度の施策効果について

メンター制度の効果が出るまでに約10年を要しましたが、入社1年以内の離職率が50%を超えていたところから、10%未満にまで改善することに成功しました。

成功したポイントとしては、メンターからメンティに指導する内容を「精神面のフォロー」だけに限定することで、注力して行えたことが考えられます。業務内容や技術・技能などの多方面に及ぶサポートだと、メンターへの負荷も高くなり、メンティが消化不良を起こしていたことが改善された点にあります。

流通業界ー百貨店のメンター制度の導入事例

シフト勤務のため職場でのコミュニケーションが生まれにくく、OJTも機能しなくなってしまった百貨店におけるメンター制度の導入事例です。

メンター制度の施策内容

入社4年目の社員をメンティーとし、入社10年目前後の社員をメンターとしました。

具体的には月に1回、1時間、計6回のメンタリングを行い、メンティのキャリアビジョンの明確化を図りました。

メンター制度の施策効果について

メンター制度導入の満足度が、メンターは63%、メンティは73%が有意義であると回答し、引き続きメンターを引き受けたいという人材育成風土が醸成されました。

成功したポイントとしては、元々10年スパンでの人材育成に重点をおいた人材育成戦略と、長期キャリア形成を図るメンター制度との相性が良かったことが挙げられます。入社4年目という自身のキャリアを考え始めるタイミングで、入社10年目という人材育成戦略においてキャリア形成で最初の区切りがついた人材をメンターとしてマッチングすることで、キャリア形成に関する悩みや実体験などを直接伝えることができました。企業戦略とメンター制度がマッチしていたことが成功要因として挙げられます。

リサイクル業界のメンター制度の導入事例

近隣に競合他社が参入することとなり、競合に勝つためにも、社員のモチベーションを向上させ、生き生きと働ける組織作りが必要となったために、メンター制度を導入したリサイクル業界における事例です。

メンター制度の施策内容

2週間に1度勉強会を実施したり、ベテラン女性をメンターに指名し、社員の悩みや相談事に応じてもらう対策を講じました。

男性のメンティには男性のメンターが良いという声があり、メンター・メンティは同性でマッチングをさせるようにしています。

メンター制度の施策効果について

メンター制度導入後は、社員のモチベーションが向上し、退職を考えていたメンバーも引き続き勤務してくれるようになりました。

成功したポイントとしては、自分のキャリア像のロールモデルとなる人材をメンターとしたことが挙げられます。女性社員は女性社員ならではの悩みがあり、当事者としてどのように解決したのかなどを伝えることで、自分のキャリア像が具体的になります。男性社員においても同様です。同性同士のマッチングには、現場の声を取り入れたこともあり、メンター・メンティ共に、メンター制度の重要性や目的を理解していたことも成功要因として挙げられます。

医療福祉法人のメンター制度の導入

介護人材がなかなか定着しないことや、管理者には新人指導のためにも個別面談を実施するよう指示をしているが、日々の業務が忙しく、中々面談の時間を設けられていないことを課題と感じ、メンター制度を導入した医療福祉法人における導入事例です。

メンター制度の施策内容

現場の社員にメンター制度の必要性を感じてもらうため、専門の講師に協力を仰ぎ、管理職やリーダーを対象にメンター制度導入に関する研修を実施しました。

メンター制度の施策効果について

メンター制度導入での効果ではありませんが、専門講師の研修を実施したことで、管理職やリーダー陣の問題意識が自分ごと化され、「是非メンター制度を導入したい」と言った大きな反響が生まれました。

成功したポイントとしては、既にメンター制度に準ずる制度はあったものの、日々の業務に忙殺され、面談の重要性や必要性を十二分に感じることすらできなかった点が挙げられます。専門講師がメンター制度の必要性やプロセス、留意点について事例を交えながら説明したことで、メンター役である管理職やリーダー陣の意識が改善され、形骸化していたメンター制度が真剣に取り組む課題として、有効活用されるようになりました。

飲食業界のメンター制度の導入事例

アルバイトの離職率が高く、月1回の人事考課のための面談も形骸化してしまい、アルバイトスタッフの本音が出てこない状況となったことを改善するために、メンター制度を導入した飲食業界における事例になります。

メンター制度の施策内容

アルバイトを含む、全スタッフにアンケートを実施し、経営、正社員、アルバイトの間で、それぞれ仕事における温度差があることが判明しました。

入社から一人前になるまでの教育プログラムを作成するだけでなく、メンター制度の専門家を講師として派遣してもらい、メンターへの指導を実施しました。

メンター制度の施策効果について

中長期的な目線で導入効果を図りたいと考えているため、まだ目に見えた効果はありません。しかし、どのようなスキルを身につければどの程度時給が上がるのか、人事考課制度をマニュアル化し、メンターとメンティの面談で活かす予定となっています。

成功するポイントとしては、まず従業員の本音が分からないという課題に対して、全従業員に対するアンケートを実施し、問題解決を行う施策まで落とし込んだところがポイントです。メンター制度の活用はもちろんのこと、人事考課制度などの他の制度と組み合わせて効果検証を行うことで、中長期的な改善を行い、将来的に競合他社に負けない差別化やブランディングが行えると考えられます。

自社の課題に合ったメンター制度の導入運用を

6社のメンター制度の導入事例を見てきましたが、メンター制度を導入する目的は、「人材育成」「離職率低下」「社内コミュニケーション活性化」など、各社様々であることがわかります。

目的ごとにメンター面談の運用方法も変わるため、自社にとってのメンター制度導入の目的を明確化することが重要です。目的に合わせて、どのような人材をメンター・メンティとするのか、メンター制度の重要性や解決しようとしている課題についてメンター・メンティに共有し、理解を得ることが大切です。

メンター制度を運用する過程で、様々な課題が出てくると考えられます。共通して多く上がってくる課題については、人事制度の改善も含めて検討すべきであり、従業員が働きやすい環境作りのヒントが、メンター制度には多く存在していると言えるのではないでしょうか。

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