メンター制度のメリット・デメリットとは?目的と効果を明確にしよう

メンター制度を取り巻く状況

若者の早期離職ーいわゆる「7・5・3問題」(中学新卒者の7割、高校新卒者の5割、大学新卒者の3割が3年以内に離職する)が問題となっています。

離職率が高い状況に対し、企業だけではなく、日本政府も危機感を抱き始めています。早期離職を防ぐ一つの方法として注目されてきたメンター制度の導入を、政府が後押しする動きが出始めています。

人材確保等支援助成金の雇用管理制度助成コースでは、定めた目標値の離職率まで下げることが出来た場合に助成金が支給されます。女性の活躍推進を図るためのメンター制度の導入マニュアルを2012年からWeb上で公開しています。日本政府として、企業にメンター制度の導入推進を図っています。

メンター制度、それに準ずる制度を導入している企業は51%と、全体の半分に留まっている状況です。メンター制度を導入する目的は、若手社員の教育や定着率を高めることにあるわけですが、メンター制度を導入すれば目的が必ず達成できるというわけではありません。メンター制度を導入・運用するにあたって、多くのデメリットや問題点が生じる恐れがあることも事前に認識しておくこと、そして問題点をどう解決するか、事前に考えておくことが重要です。

新入社員(正式配属後)に対するメンター制度
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!

押さえておきたいメンター制度のメリット・デメリット

メンター制度の目的は、若手社員の早期離職の防止と定着、教育研修にあるわけですが、そもそも若手社員の離職理由は何なのでしょうか。退職に至ってしまう原因として「仕事上の悩みを気軽に相談できる先輩社員がいない」などの、人間関係や社風が原因となっていることが挙げられます。厚生労働省の調査では、退職理由の2番目に多いのは「人間関係が良くなかった」という理由で、全体の約20%をも占めています。

卒業後初めて勤務した会社をやめた主な理由
出典元『厚生労働省』平成25年若年者雇用実態調査の概況 (4)初めて勤務した会社をやめた主な理由

若手社員の仕事の精神的な悩みを解消し、社内のコミュニケーションの活性化を図ることにより、若手社員が定着するメンター制度の導入が注目を浴びているのです。

それではメンター制度のメリットと、デメリットの双方を見ていきましょう。

メンター制度のメリットとは

メンター制度導入のメリットは、「メンタリングチェーン」と呼ばれる、部署間を越えたコミュニケーションが活発化することが挙げられます。コミュニケーションが活発化することで、社内に相談しやすい雰囲気を醸成することができます。メンター・メンティ間だけのことと捉えられやすいメンター制度ですが、社内全体へ好影響を与える一面もあるのです。

メンター、メンティそれぞれのメリットで言うと、メンターは「教えることの責任」を感じるようになるので、より自身の仕事に対し責任感を持って取り組んでくれることが期待できます。メンティは、メンターと関わる中で、数年後の自分の姿をイメージし、キャリアアップへの意欲が高まるはずです。身近にロールモデルとなる人がいることで、会社で働く意義、なりたい自分を明確化することができ、結果的に定着率を高めることに繋がります。

メンター制度のデメリットとその対策

メンター制度導入のデメリットや留意点はいくつか考えられます。

1つ目は、メンターによって指導内容(質)にバラつきが出る可能性があることです。ばらつきを防ぐためには、事前にメンターを集めた研修などを実施することが有効です。メンター研修では、メンター制度導入の背景を説明し、離職率や人材育成に対する会社の方針を理解してもらうことが重要です。その上で、メンティとの接し方を伝えます。

2つ目は、メンターの業務負荷の増大が挙げられます。メンターは通常業務に加えて、メンティとの時間を確保しなければならないため、当然通常業務に支障が出る可能性があります。対策としては、人事部からメンターが所属する部署に対し、制度導入の背景を伝え、部署全体での協力を仰ぐ必要があります。メンターの業務を周囲のスタッフで分担し、業務負荷を軽減することができるでしょう。

最後はメンターとメンティのマッチングです。マッチングに失敗してしまうと、制度導入そのものが無意味なものとなってしまいます。そのため、メンターとメンティのマッチングは最重要項目と言えるでしょう。適切なマッチングのためには、以下のようなステップを踏むと良いでしょう。

  1. メンター、メンティの選定方法
    自薦、他薦、指名より選定方法を決める。
  2. 選定したメンター、メンティへの事前ヒアリング
    それぞれの仕事の現状や仕事に対する考え方等についてヒアリングやアンケートを実施し、ミスマッチを防ぎます。
  3. メンター、メンティの合同研修会
    研修会では、それぞれの役割や期待されていることを明確にし、運用開始後の混乱が起きないようにする。

デメリットを知っておくことが効果的な制度運用に繋がる

単にメンター制度を導入すれば、メリットだけが享受できるわけではなく、実際に導入のデメリットも存在します。効率良くメリットを享受するためには、デメリット(問題点)についても理解し、問題点を解消するための対策をセットで考えておく必要があります。

既にメンター制度を導入している企業は、今一度制度の見直しを行うことも重要です。メンター制度の新規導入を検討中の企業は、どのような制度設計と準備が必要なのかをイメージしてみてはいかがでしょうか?

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