知識を知恵に活用するナレッジワーカーとは?意味や重要性について

20世紀後半に生まれた新しい概念
「ナレッジワーカー / Knowledge Worker」

「ナレッジワーカー」とは、企業や組織の中で知識により付加価値を生み出す労働者で、知的生産物を創造する労働者に用いられる用語です。従来の、製造などの生産活動に従事する労働者(単純労働者)の反対の概念とも言われています。

「ナレッジワーカー」は、オーストリア出身の社会学者かつマネジメントの生みの親として知られる経営学者、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)氏が、1969年に発刊した著書『断絶の時代』のなかで、知識経済を根本から支える高度な専門知識をもつ労働者として位置付けたのを始まりとしています。
【参考文献】ダイヤモンド社「断絶の時代」ピーター・F・ドラッカー:著 上田惇生:訳

今回は「ナレッジワーカー」について、そもそもの意味や、ナレッジワーカーに求められる役割とナレッジワーカー自体の変遷などについてご紹介します。

「ナレッジワーカー」の意味と主な仕事とは

「ナレッジワーカー」とは、「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた造語で、マネジメントの生みの親として知られる経営学者ピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が提唱した用語です。

従来の製造業などに求められた「マニュアルワーカー(高度経済成長期の大量生産体制時に特に顕著だった働き方。マニュアル化された業務に携わり、画一的に働く単純作業労働者=いわゆるブルーカラー)」と異なり、企業に対して「ナレッジ(知識)」で付加価値を生み出す労働者を指します。

「知識労働者」とも呼ばれ、ドラッカー氏が1969年に発刊した著書『断絶の時代』で『知識経済を根本から支える高度な専門知識をもつ労働者』として位置付けています。

ナレッジワーカー = ホワイトカラー ではない

『業務を遂行するオフィスワーカー』という意味合いで「ナレッジワーカー」と「ホワイトカラー」が同義と勘違いされることも多くありますが、この2つは明確に異なります。

「ナレッジワーカー」も、働く拠点がオフィス(最近ではリモートワークも一般化しているので、その限りではありませんが)であることが多いですが、ナレッジワーカーは単に知識を活用するのではなく、経験やプロセスなどを経て得た「知恵」を活用します。

会社で何かトラブルが発生したとき、ナレッジワーカーは過去の類似したトラブルの解決策や経験を元に、解決策のアイディアを出してメンバーをまとめていきます。ナレッジワーカーは単に自分のアイディアを実行するだけではなく、メンバーの様々なアイディアを引き出し、上手く集約して発展できる力をもっています。

ホワイトカラーは「肉体でなく頭を使って仕事をする人」と一般的に定義されています。ホワイトカラーには「知恵」を有効に活用できるかまでは含まれていないため、ホワイトカラーが必ずナレッジワーカーであるとは言えません。

ナレッジワーカーの対義語・マニュアルワーカーとは

ナレッジワーカーの対語として定義される「マニュアルワーカー」とは、その名の通り決められたマニュアルに沿った業務を行う労働者を表現する造語です。一般的に、高度成長期を支えてきた製造業などモノづくりに従事する「ブルーカラー」と呼ばれてきた労働者が含まれます。

マニュアルワーカーは、マニュアル通りに業務を遂行し、労働力によって生産性と作業の効率性を高めることが重要視される働き方です。労働時間や労働人数の多さで生産性が向上していた高度成長期には、階層レベルに合わせた画一的なマニュアルによる人材育成が積極的に行われてきました。

しかし目覚ましい技術の進化によって、生産性向上に繋がっていた時代は過去のものとなり、マニュアルワーカーの仕事の多くは最先端のテクノロジーやマシン、AIの分野に取って変わられつつあります。

ナレッジワーカーが注目される理由

高度成長期の「モノづくり」の基幹を支えたマニュアルワーカーですが、技術の進歩により、その仕事はテクノロジー(ロボットや人工知能など)に置き換わる時代が到来しています。

与えられた仕事を効率よくこなすことを第一の目標とするマニュアルワーカーは、主に大量生産の時代の製造業に求められるワーカースタイルでした。需要が大きい経済社会では、働く時間や量が多いほど生産性が上がります。これが日本の高度成長期だったわけですが、行動成長期では人材教育なども効率化され、ルールを遵守するような画一的な人材をOJTで育成することが目標とされました。

働く環境がダイナミックに変化し、より複雑化している現代においては、今までのような「マニュアル」ではなく、「知識」によって、企業の生産性と効率性を向上させることが求められています。「マニュアルワーカー」から「ナレッジワーカー」へのシフトが、多くの企業で見られるようになってきたのです。

ナレッジワーク自体も、時代によって求められる姿も様変わりしています。

ビジネスにおけるプロセス、モノを製造するサプライチェーンを例にあげましょう。「今年の新商品をつくる」という課題があるとします。商品の設計図を作成し、その設計に合わせたラインを構築。製造・出荷され、実際に販売され売上がたちます。最終的に、売上として明確な結果が出ます。

もともとナレッジワーカーは、こうしたサプライチェーンのような工程をマネジメントするような立場であり、ものづくりの補完的な役割を担っていました。高度成長期などは、ナレッジワーカーの役割によって、ものづくりの生産性は大幅に拡大。まさにナレッジによって生産性が変わる時代となりました。

それが徐々に、消費者のニーズの変化などにより、ナレッジ自体が商品やサービスとなる機会が増加。生産性をあげるべく、サプライチェーンや生産ラインがないビジネスがむしろ多くなっていきます。

「ナレッジワーカー」は、ただ単に「知識だけ」を持っていればよいわけではなく、知識を集約して第三者に共有するスキルや、アウトプット=生産性の高さなども求められます。

「どうすれば、この仕事を効率的かつ迅速に完了できるか」を常に意識し、ゼロベースの仕事でも、効率性や生産性を求めるのが「ナレッジワーカー」なのです。

ナレッジワーカーに今求められるものとは?

現在のビジネス社会の大半は、知識労働を行うビジネス=ナレッジワークが主流となっています。

かつて時間管理や生産管理という概念は、工業産業社会の中で、いかに能率効率よく生産高を上げることができるかということでした。しかし、労働の源泉がモノから知識に完全に移行し、前時代的な管理手法では通用しなくなっています。

より複雑化するビジネスの世界において、ナレッジワーカーに求められるものは多岐にわたりますが、代表的なものをご紹介しておきます。

暗黙知を形式知に変換するナレッジを有すること

暗黙知とは、個人がもつスキルやアイディア、独自のノウハウなど、目に見えない知識のことです。形式知とは、文章や図形など誰もが認識できるもので表現する知識を指します。

個人独自の知識である「暗黙知」を、組織に展開できる「形式知」に変換するナレッジが重要が求められています。個人がもつ普遍的な暗黙知を引き出せる環境を整え、形式知として組織全体へ展開して貢献することが、企業にとって競争社会を勝ち抜くために必要な課題でしょう。

常に問題意識をもち、知識に対する感度を研ぎ澄ませること

ナレッジワークには、自由な発想力と仕事への高いモチベーションが何より重要です。リスクを恐れないチャレンジ精神もまた、必須の資質と言えるでしょう。

最も大切なことは、周りの意見は拝聴しつつも、それに振り回されることなく、自身で考え抜く思考能力を身につけることです。

「ナレッジワーク」は市場の変動と共に変化する

ドラッカー氏がおよそ半世紀前に提唱した「ナレッジワーカー」は、現代の企業においては、必要不可欠な役割を担っています。情報・知識を生み出して活用することは、他社との差別化やブランディングだけでなく、組織力の強化などさまざまな影響を与えています。

ナレッジワーカー自体も、リモートワーク(テレワーク)や裁量労働制など、ワークスタイルの変化にも大きな影響を受けています。ナレッジを引き出すためには、知識や経験の蓄積はもちろんのこと、自由な発想ができる環境が必要です。

従業員一人ひとりが考えた知恵を組織全体へと展開し、組織を成長させる存在がナレッジワーカーとも言えます。

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