マニュアルワーカー(単純作業労働者)とは?将来性や必要性について

ナレッジワーカーの対義語・マニュアルワーカー

「ナレッジワーカー」とは、マネジメントの生みの親として知られる経営学者ピーター・ファーディナンド・ドラッカーが提唱した用語として、ビジネスの世界を中心に世界中に広まりました。「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた造語で、企業に対して「ナレッジ(知識)」をもって付加価値を生み出す労働者を指します。

ナレッジワーカーと対をなす用語が、従来の製造業などに求められた「マニュアルワーカー」です。高度経済成長期の大量生産体制時に特に顕著だった働き方で、マニュアル化された業務に携わり、画一的に働く単純作業労働者=いわゆる「ブルーカラー」と呼ばれています。

それぞれの特徴を比較すると、働き方はもちろん、さまざまな違いがあります。昨今は、特にナレッジワーカーにより重きを置く企業が非常に多くありますが、かといって、マニュアルワーカーの業務の必要性がなくなることはありません。

今回は「マニュアルワーカー」の概要や役割などについてご説明します。

マニュアルワーカーの意味や主な仕事とは?

ナレッジワーカーの対語として定義される「マニュアルワーカー」とは、その名の通り決められたマニュアルに沿った業務を行う労働者を表現する造語です。一般的に、高度成長期を支えてきた製造業などモノづくりに従事する「ブルーカラー」と呼ばれる労働者が含まれます。マニュアルワーカーは、マニュアル通りに業務を遂行し、労働力によって生産性と作業の効率性を高めることが重要視される働き方です。

逆にいうと、求められる以上の仕事をすることは必要なく、指示やマニュアルの通りに働く受動的な働き方ともいえます。企業に対する帰属意識が高く、現場主義に基づいた専門分野のみに集中するなどの傾向がみられます。

マニュアルワーカーが活躍していた時代背景

与えられた仕事を効率よくこなすことを第一の目標とするマニュアルワーカーは、主に大量生産の時代の製造業に求められる労働者の姿でした。

『働く時間や量が多いほど生産性があがる』と考えられていた高度成長期には、階層レベルに合わせた画一的なマニュアルによる人材育成が積極的に行われてきました。当時の「モノづくり」の基幹を支えたのが「マニュアルワーカー」なのです。

しかし近年は技術の進歩により、単純作業などの仕事はテクノロジー(ロボットや人工知能など)に置き換わる現象が増加しています。テクノロジーの発展がマニュアルワーカーに代わり、企業の生産性と効率性を向上させる時代に突入したことで、ナレッジワーカーへのシフトが見られるようになってきたのです。

マニュアルワーカーに求められるスキルについて

マニュアルワーカーには、業務を間違いなくこなす「正確性」と、効率的に作業をする「量の多さと速さ」などが求められる傾向にあります。

作業を複数人で分担する分業制であることが多いため、チームメンバーと協力できるかどうかといった「協調性」や、組織の中の効率性を最優先できる「従順(柔軟)性」なども必要だと言われています。

「マニュアルワーカー」イコール、パートタイマーや派遣社員という属性だと誤解されるケースがありますが、そんなことはありません。社員や派遣社員、パートタイマーなどにさまざまな属性の労働者を統括・管理する店舗マネジャーや工事の監督、戸別訪問系の営業など、マニュアルワーカーの要素を多く備えたフルタイム労働(正社員)は数多くあります。

マニュアルワーカーの必要性とは

テクノロジー分野の進化やグローバル化など、経済を取り巻く環境がスピーディーに変化している昨今、ビジネスの現場には常に、複数の不確定要素が存在しています。目まぐるしく変化する環境で、クリエイティブな思考と高い独自性でビジネスチャンスを獲得するようなワークスタイルがより求められており、つまり、より高スキルを持ったナレッジワーカーが必要だということでもあります。

ナレッジワーカーが必要となり「マニュアルワーカー」という存在価値が問われる時代とも言われていますが、可能性がなくなっているわけでは決してありません。AIやロボットの進化で、マニュアルワーカーが支えてきた仕事が機械に代替される事態は年々進んでいますが、すべての企業・組織・業務が、人からテクノロジーに置換できるわけではありません。投資と生産のバランスを考えた場合に、正確性と経験値の高い人材がより適していると判断する企業は、いまだ少なくはないのです。

現在は、就業形態で企業の投資を分散させる選択肢などもあります。業務によっては期間を限定したパートタイマーや特定の専門性に特化した派遣社員を雇用するなどの方法でバランスを取る手段もあるということです。

今後さらにさまざまな分野でオートメーション化が進む流れは変わることはありません。そういった中で、マニュアルワーカーが担う役割も変化していくはずです。たとえば「今までの自分の仕事をマシンに任せ、そのマシンを統制する業務を自分が担当する」などという形が考えられます。

「マニュアルワーカー」の役割を最適化していく

マニュアルワーカーの業務も、徐々に機械などに置き換わっていますが、常に新しいものが生み出される現代のビジネスの現場においては、すべての業務で効率性はもちろん、創造性がより求められています。

マニュアルワーカーも「ナレッジワーク」的な思考を身につけることが必要でしょう。それとともに「マニュアルワーク」で培ってきた経験や正確性、効率性などをさらに追及する、もしくは別の形に置き換えるなどで、マニュアルワーカーの仕事をより深化させていくことも重要です。

組織と人材の『最適解』をいかに見つけていくかが今問われています。

資料ダウンロードフォーム

    「ミツカリ - 導入事例集」が無料でダウンロードできます


    ミツカリは採用活動における利用だけでなく、入社後のマネジメントにも利用できる適性検査として3,800社以上の企業に導入されています。サービスも5年以上の運用実績があり、効果検証に時間のかかる離職率改善等においても、多くの企業で成果を出しています。

    今回はミツカリを導入した企業における活用方法や導入後の効果について、代表的な7つの事例をまとめました。是非ダウンロードしてご参照ください。

    ダウンロードにはプライバシーポリシーの同意が必要です。

    プライバシーポリシー

    関連するタグ