今注目の海外HRテックサービス10選【2018年版】

海外でも発展し続けるHRテックサービス

日本だけでなく、海外でもHRテックサービスは発展し続けています。ミック経済研究所の調査によると、日本ではHRTechクラウド市場は年間140%もの市場規模を拡大している傾向にあると言われています。2016年度のHRTechクラウド市場は109.7億円、2017年度には156.6億円(前年比142.8%)、2018年度には225.4億円(前年比143.9%)、そして2022年度には663.0億円になるなど、市場規模の拡大が予測されています。

市場規模(日本)
出典元『日本経済新聞』ミック経済研究所、「HRTech クラウド市場の実態と展望 2017 年度版」を発刊 

市場規模の推移
出典元『日本経済新聞』ミック経済研究所、「HRTech クラウド市場の実態と展望 2017 年度版」を発刊 

世界規模で見るとHRTech市場は既に4000億ドルとも言われており、半導体や仮想通貨市場に匹敵するものです。(参考URL:HR Tech Marketplace Worth $400 Billion)。2018年度における日本の市場規模が225.4億円であるため、海外市場規模の4,000億ドル(約42.5兆円)と比べると、まだまだ小さいと言えます。

今回は、2018年8月における海外のHR Tech市場の傾向をランキング形式で紹介しながら、今後の日本のHR Tech市場の動向をつかみたいと思います。

HRとは「Human Resource」の頭文字で、日本語では人事を意味しています。HRテックとは、人事における課題をテクノロジーを駆使して解決することを指しています。HRテックサービスは近年急激に成長しており、2016年時点でのアメリカでのHRテック市場は1兆3000億円と日本の100倍以上の盛り上がりを見せています。今回は未上場かつM&Aされていないスタートアップ・ベンチャー企業に絞って、会社が伸びる可能性と成長スピードから上位10サービスをランキング形式で紹介します。
日本では9割の企業が人手不足に悩まされています。現実的な対策方法として、採用拡大や組織改革などがありますが、人事担当者の負担がより大きくなってしまいます。業務負担を軽くしてくれる日本のHRテック(HR tech)サービスを業務ごとに紹介します。

「エンゲージメント」から「パフォーマンス」の時代へ

Josh Bersin氏の考察によると、2017年までのHRTechサービスが解決してきた問題は、いかに人事担当者の業務を自動化するかに集中していました。

2018年以降のHRTechサービスが解決していく課題は「Perform(パフォーマンス)」の向上にあるだろうとBersin氏は提言しています。このような流れの背景には、現代の仕事には、こなさなければならない業務と情報量が多すぎる現実があると言います。

そのような現実から、これからのHRTechサービスは、いかに効率よく社員一人一人の生産性を最大化させる事ができるのかに注力していくべきだと説いています。

参考URL:HR Technology in 2018: Ten Disruptions Ahead

日本でこそHRTechサービスが必要!

これからのHRTech市場は「パフォーマンスの向上」がテーマになっていく事を考えると、今後のHRTechサービスの発展は、日本市場にとって非常に重要な役割を果たしていく事が考えられます。

日本で政府が推進する「働き方改革」では「労働生産性の向上」が掲げられています。少子化に伴う労働人口の減少や長時間労働の是正するために、一人あたりの生産性の向上が必須であると考えられているからです。海外での動きである「パフォーマンスの向上」は今後の日本においても大切なツールとなるでしょう。

海外のHRTechサービストップ10選(2018年度版)

今回のランキングは、CBInsightsの発表する、最新のトレンドカンパニーのランキングに基づいています。このランキングは、Mosaicという3つの独立した要素(Momentum、Market、Money)を定量化し、その合計値から算出された指標に基づいています。Mosaicは、会社が伸びる可能性と成長スピードを測る一つの指標とも言え、Mosaic指標の総合点が高い順から10社を紹介します。

  • Momentum
    – ソーシャルメディア、メディア露出、アプリ・ウェブ訪問者数、採用数、契約数を他の会社との比較を考慮し算出します。
  • Market
    – 資金、調達額、拡大スピード、契約数など、市場での活動量を定量化します。
  • Money
    – 資金の回転率、投資家の質など、資金をどれだけ効果的に運用しているかを定量化します。

1位 syncHR

syncHRhttps://www.synchr.com

  • 資金調達総額:$38.7M
  • 創業年:2005
  • 場所:コロラド、米国

syncHRは人事と労務の仕事をほとんど全てカバーできる総合クラウド型人事プラットフォームです。人事労務の業務負担を総合的に減らしてくれるようなサービスです。

採用周りの機能では、リクルーティング、採用管理、人材配置、人事評価など、日本のHERMOS採用管理のような機能が充実しています。労務周りの機能では、勤怠管理、給与計算、福利厚生計算など、SmartHRのような機能が充実しています。カオナビを彷彿とさせるような、人材管理画面になっており、社員一人一人に対して、様々な機能を併用して使いやすいように設計されています。

2位 NEOGOV

NEOGOVhttps://www.neogov.com

  • 資金調達総額:$10.7M
  • 創業年:2000
  • 場所:カリフォルニア、米国

NEOGOVは、教育機関や地方公共団体などの公共機関に特化した、採用管理、労務、人事評価を一括して運用できるツールです。

採用管理プラットホームでは、求人票作成から採用フォローまで一括して管理する事ができます。公共機関関係の採用試験に特有の試験の評価やスクリーニングを、自動化して応募者の中でランキング化してくれます。採用後の税金や保険などの書類提出を助ける労務のサポートも充実しています。

入社後は、公共機関専用のパフォーマンス評価に関するサーベイを正確に運用し、組織開発を促進するツールがあります。採用から入社後の組織開発まで、全てのツールが公共機関に特有のパフォーマンスや採用方法に特化しているサービスになっています。

3位 benevity

benevityhttps://www.benevity.com

  • 資金調達総額:$29.2M
  • 創業年:2008
  • 場所:カルガリー、カナダ

benevityは、企業が寄付や募金などのチャリティー活動を行う際に、様々な形で促進するプラットフォームを提供しています。

近年は企業のチャリティー活動が、企業ブランディングや従業員エンゲージメントの向上に貢献しているという統計があります。チャリティー活動をテクノロジーで支援する仕組みを提供しています。企業内でのギフトカード作成や募金キャンペーンの作成、チャリティー活動を既存のビジネスとどう連携させるのかのコンサルティングも提供しています。

従業員のエンゲージメント(組織への貢献意欲)を、組織レベルから地域コミュニティレベルにまで押し上げる組織文化づくりのコンサルティングも行なっています。benevityは、社会福祉を通した新しい切り口の組織風土・組織ブランディングづくりを助けています。

4位 Humu

Humu
https://humu.com

  • 資金調達総額:$40M
  • 創業年:2017
  • 場所:カリフォルニア、米国

Humuは、 Googleの施策に基づいた「ピープルアナリティクス」のノウハウを提供しているスタートアップです。今回ランクインしたHRTech企業の中では、一番新しい企業です。

Googleのピープルオペレーションチーム(Googleでの人事部)の人事担当上級副社長であり「ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える」の著者ラズロ・ボック氏がこの企業のCEOです。

Humuは、Googleで行われている画期的な人事評価制度や福利厚生を含めたノウハウをテクノロジーで体系化して、組織開発や風土作りを促進するサービスになっています。

5位 Eightfold

Eightfold.aihttps://eightfold.ai

  • 資金調達総額:$24M
  • 創業年:2016
  • 場所:カリフォルニア、米国

Eightfoldは、タレントアクイジションの一連の流れを、AIと機械学習を使って最適化するツールを提供しています。タレントアクイジションのフェーズは、求人票作成、採用ブランディング、採用選考、配属、人事評価、と多岐に渡ります。

応募者プロフィールを分析して適性のある配属先を発見したり、市場のデータに基づいて候補者に最も適した職務を提案する事ができます。全てのフェーズでデータを分析し、機械学習によってトップパフォーマー分析から、離職リスクなどを算出することができます。

これらのデータに基づき、人材要件定義の明確化や、それをブランディングした独自の求人票作成も効率化することができます。

6位 Kronos

Kronos
https://www.kronos.com

  • 資金調達総額:$750M
  • 創業年:1977
  • 場所:マサチューセッツ、米国

Kronosは、人件費を管理してコンプライアンスリスクを最小限に抑え、労働力の生産性を向上させることができる人材・勤怠管理ソリューションを提供しています。

Kronosのテクノロジーは 、勤怠管理、スケジューリング、給与計算、雇用および労働分析アプリケーションを使用し、人事と労務のほぼ全ての業務をクラウド上で完結できるようにできています。その他にも、社員の分析を生かすピープルアナリティクスの機能を充実させていて、社内のエンゲージメント向上や自社ブランディングを促します。

Kronosの特徴は、このテクノロジーを、医療、製造業、公共機関、卸売業、教育、銀行、警察庁など、様々な領域でのコンプライアンス事情に合わせて、柔軟にカスタマイズできるようになっている点です。

7位 simPRO

simPRO
https://www.simprogroup.com

  • 資金調達総額:$31M
  • 創業年:2002
  • 場所:ブリスベン、オーストラリア

simPROは、配管工事、電気工事、空調設備、セキュリティ事業、データセンター、ソーラーシステムなどを含む施工管理向けの、スケジュール管理をサポートするツールです。

施工管理者には、複雑な人材配置、原価管理、工程管理、品質管理、安全管理、スケジュール管理など、様々な管理を高いレベルで正確に行うことが求められます。このような複雑な作業を、テクノロジーで簡略化するのがsimPROです。 スマートフォンを使って顧客のスケジュールや進行状況などを細かに管理できたり、組織マネジメントが効率化されます。

8位 Limeade

Limeadehttps://www.limeade.com/

  • 資金調達総額:$36.1M
  • 創業年:2006
  • 場所:ワシントン、米国

Limeadeは、福利を向上させ、企業文化を強化することで従業員のエンゲージメントを向上させるサービスです。

Limeadeは、独自サーベイから抽出した成果やウェルビーイング(心理的健康状態)などの個人データから、組織エンゲージメントを管理します。Limeadeは、スマートフォンと連携でき、社員同士がインタラクティブに表彰などを共有できるプラットフォームにもなります。企業毎にカスタマイズしたウェルネスプログラムを設計したり、提携している福利厚生サービスを企業に繋げる役割も果たします。

日本で類似のHR Techサービスは、組織改善プラットフォーム、wevoxなどがあります。

9位 Skyward

Skyward
https://www.skyward.com

  • 資金調達総額:非公開
  • 創業年:1980
  • 場所:ウィスコンシン、米国

Skywardは、教育機関をはじめとして地方自治体に向けたHRTechサービスです。主に教育機関向けサービスが充実しており、学校を運営する際のほぼ全ての業務を助けるプラットフォームになっています。

特筆すべきは、運営側の事務の効率化だけでなく、生徒やその親の名簿管理などができ、さらに学習の効率を上げる様々な施策や設計が施されています。Dell, Amazon Businessなど、多くのICT教育のベンダーと提携しており、幅広い顧客のニーズに合ったオプションを提案します。

教師の採用管理からアセットマネジメントなど、教育機関に携る人事業務をカンタンにし、誰にでも使いやすいようにしてくれます。

10位 HireRight

Hirerighthttps://www.hireright.com

  • 資金調達総額:35.2M
  • 創業年:1995
  • 場所:ロンドン、イギリス

HireRightは、国内外を問わず、採用選考でのスクリーニングを代行してくれるオンデマンド型サービスです。

ほとんどの人事担当者がレジュメや履歴書の信頼性に疑問を持っている現代の課題を背景に、HireRightはレジュメの正確性や、犯罪歴、ID証明などを高い正確性と速さでスクリーニングします。このような正確なバックグラウンドチェックが必要になる、交通機関、金融機関、医療系、非営利団体、教育機関、ベンチャー企業、小売業が主な顧客です。

また多くの外国人を雇う企業が増えているグローバル社会において、国を問わずに正確なスクリーニングができる技術が強みです。

業務効率化による「労働生産性の向上」が重要

日本におけるHRTech市場はまだまだ伸び代が期待できる分野です。まずは海外の最新の市場を知ることで、今後の日本のトレンドを掴むことができるのではないでしょうか。

特に労働人口の減少がほぼ確実な日本では「一人当たりの生産性を高める」ためにHRTechサービスの導入は今後、急務になってくると言えます。今回紹介した海外のHRTechサービス10社は、現時点(2018年8月)で最も注目されているサービスです。

全体のトレンドとして、人事担当者の業務を採用から労務まで全てをまとめて行えるプラットフォームや、公共機関などのユニークなニーズに合わせたサービスが多いです。それぞれのサービスが狙う顧客ターゲットはより細分化されてきていますが、一つ一つのサービスの機能はより多面的・包括的になってきている印象があります。

人事担当者が効率よく業務をこなすことができれば、従業員達にも良い影響があるはずです。今回紹介したサービスは、結果的に一人一人の生産性の向上に役立つサービスになっています。

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