コンピテンシー面接での質問例とは?面接の仕方を設計しよう!

コンピテンシーを採用の現場で活用するコンピテンシー面接

組織の採用や人材育成、評価などに現場で「コンピテンシー」を導入する企業は増加しています。「コンピテンシー」とは、知識や経験に関係なく、高い業績を出す人材に共通する思考や行動特性ですが、コンピテンシーを採用の場で活かしたのが「コンピテンシー面接」です。

採用担当者の第一印象や印象などで個人の判断に偏りがちな従来の面接では難しい、応募者の行動を客観的に判断する手法として、人事の領域で多く活用されています。最近では、公務員試験などの就職活動だけでなく、私立中学受験の入試科目などとしても採用され、さらに注目を集めています。

自社での最適なコンピテンシーである「コンピテンシーモデル」が明確に定まっていれば、コンピテンシー面接で行動特性を見極めることは非常に有意義です。前職や学生時代の具体的なエピソードから、「なぜその行動に至ったのか」を見極めることができれば、自社での問題や課題に直面したときに「どういう行動を取るのか」の予測が可能であるからです。

コンピテンシー面接を実施する上での具体的なポイントや質問の仕方などについて、まずは押さえておきましょう。

コンピテンシー面接の設計方法、概要とポイントとは

コンピテンシー面接を行うためには、どのように面接をしていくのか、順序にそって設計していきます。ざっくりとご説明すると、「社内でモデルとなる人材をピックアップ→採用する人材がどのような適性があると適当なのか、その評価項目と基準を決定」という段取りになります。

次のステップとして、評価項目を評価できる質問を考えること、そして、行動原理を探るために回答を掘り下げるための指標などの作成を実施していきます。

面接内容の設計の手順

面接内容の設計の手順を3ステップでご紹介します。コンピテンシー面接は、きちんと準備だけしておけば、運用するのは難しくありません。

STEP1:社内でのモデル人材(模範タイプとともに、反対の例も想定)をピックアップする

役職や職種ごとに成果の出ている社員と成果の出ていない社員の特徴・要素を抽出します。成果の出ている社員だけでなく、出ていない社員の特徴も抽出することによって、成果につながる行動特性なのかを見極めます。

模範タイプの例
  • 目標達成への意識が強く、常に数字(売上など)を考えて行動している
  • 相手に合わせた、臨機応変なコミュニケーション力がある
反対の例
  • 会話自体に夢中になってしまい、成果につながる商談ができていない
  • 質問に対して口先だけでごまかすような傾向が強く、能力を研鑽する姿勢がない

STEP2:面接の評価軸を共有する

評価軸はその行動レベルの高さによって、分けることが出来ます。一般的なのは、5段階で評価する方法です。

例えば、以下のような形式で分けることができます。

レベル1 受動行動
人から指示されるのを待って、言われたことをその通りに実行した。または、自分がやらなくてはならない状況に追い込まれたから仕方なくやった。主体性や思考の一貫性が感じられない、その場しのぎの行動です。

レベル2 通常行動
「この状況なら誰でもそうするだろう」という行動を、やるべき時に行えるレベル。必要最低限の行動を過不足なく行えますが、独自の意図は見られない、普通レベルの行動です。

レベル3 能動・主体的行動
ある状況において、複数の策のなかから自分の意思で最善策を選び、実行できるレベルです。決められたルールのなかで、よりよい成果を出すために何をすればいいのかを考えて選び、実行できます。とった行動の背景には、自分なりの意図や判断基準があります。

レベル4 創造、課題解決行動
状況に即した判断から一段上がり、独創的なアイデアを出し、状況を改善していけるレベルです。創意工夫や状況改善を自ら進んで行い、PDCAサイクルを回して、より高い成果を生み出せます。

レベル5 パラダイム転換行動
斬新な視点で既成概念を覆すアイデアを出せて、より望ましい新たな状況を作り出していけるレベルです。ゼロから価値を生み出すことを期待できます。

出典元『コンピテンシー面接マニュアル 川上真史、 齋藤亮三』

最低限の行動を1、理想の行動を5として評価軸を決めます。最低限・理想は企業ごとに異なるため、自社で業績を上げるために求められる行動レベルから軸を決めましょう。

STEP3:面接時のテーマを設定し、質問事項を掘り下げる

コンピテンシー面接では、質問事項を広げすぎず、1つの出来事について掘り下げていきます。掘り下げていく中で、応募者の思考方法や行動の再現性を測るように意識します。

新卒採用であれば、学生のエピソードなどから、テーマを選定します。選定するテーマとしては、①客観的な状況/状態を把握できる②学生がどのように行動したのか、どんなことを考えたのかを把握できる視点で選定すると良いでしょう。

① テーマの設定
② 第1プロセスの特定
③ 第1場面の特定
④ 行動事例の列挙、確認
⑤ 第1場面での工夫点
⑥ 第2場面の特定

※以下、4~5の繰り返し

出典元『コンピテンシー面接マニュアル 川上真史、 齋藤亮三』

①のテーマの設定として、学生に「注力して取り組んだ経験」を確認します。「アルバイト」であったり「部活」や「研究活動」など、学生によって異なりますが、「主体的に考えて行動を起こした」経験であれば、掘り下げるテーマとして適しています。

②の第1プロセスの特定で、学生が「具体的にどのような行動を起こしたのか」を特定します。注力して取り組んだ経験であれば、「バイトリーダーであった」や「全国大会に出場した」などのエピソードがあるはずです。

③の第1場面の特定で、「バイトリーダーとなって、どのように業務に取り組んだのか」や「全国大会に出場するために、どんな行動をしたのか」を特定します。具体的に「どのような場面で」「どのような課題があり」「どのように解決したのか」が理解できる状況にまで、質問で落とし込みます。例えば「業務に取り組む上で、今までどのような事が課題でしたか?」などで面接官も現場の状況を把握し、理解できるところまで掘り下げます。

④の行動事例の列挙、確認では、「実際にどのような行動を起こすことで、課題に取り組んだのか」「何故そのような行動を起こそうと思ったのか」を掘り下げて質問していきます。また、「何故そのように考えたのですか?」と掘り下げることによっても、前提となる行動特性を見抜くヒントになるでしょう。さらに「行動の結果」についても確認し、⑤の工夫点を聞くことで、どのように改善したのか、その着眼点はどこか、なども特定します。

例えば評価軸のレベル1である「上司・先輩に言われたからやっていただけ」であれば、過去の行動を自分の言葉で説明しづらいため、掘り下げて質問していくことで見抜けます。逆にレベル5であっても、考えがなければたどり着けない行動レベルであるため、掘り下げて質問していくことで見抜けます。

コンピテンシーの概念を使って、より精度の高い人材採用を

「コンピテンシー面接」は、モデルの設計が難しいものの、適したモデルが設計できれば、行動原理などが分かるまで掘り下げて質問することで、客観的に人材を見極めて判断することができるなどのメリットがあります。

質問自体は、コンピテンシーの概念と面接のやり方さえ理解できれば、特別に難しいものではありませんし、自社にマッチした人材探しには非常に効果的かつ有効な手法です。

「面接で高い評価をしたのに現場で活躍できていない」「自社に合う人材がなかなか見つからない」場合はコンピテンシー面接で行動特性を見極めることで、改善できる可能性があります。

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