人事の適材適所を実現するメリットやデメリット、注意点とは?

人事における適材適所の現状について

そのポジションに適した能力や適性をもった社員に、その仕事を任せることができれば企業に大きな成果が生まれるでしょう。

この適材適所を実現することができれば企業にとっても社員にとってもWIN-WINなのですが、そう簡単にいかないのが現状です。なぜならば、人事は経営者などから各社員の見極めだけでなく、部署に適した配置人数なども求められるからです。

企業としては、仕事の成果や結果をきちんと出すために、今までの業務の知識に長けている人材をそのポジションに配置しようと考えます。そのため簡単に経験のある人材を動かすことはできないのです。

ですが、適材適所が実現できると、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上に繋がり、定着率や労働生産性の向上など様々効果が得られるといわれています。しかし、実現できていると考える人事担当者は、先に申し上げた通り非常に少ない状態です。適材適所をより導入していくにはどうしたら良いのでしょうか。

ではまず、適材適所から得られる効果やデメリットからみていきましょう。

適材適所のメリットとは

  1. 得意とする能力を活かせることにより、高い品質の成果を出せる
  2. 得意なことなので評価されることが多くなり、よりモチベーションを高く保てる
  3. 仕事で成果を出せる+評価されるため、会社や組織に対しての帰属意識の醸成やエンゲージメント向上につながる

適材適所は、適性がある仕事にそもそも配属されるため、その人の能力を活かし結果を出しやすいというメリットがあげられます。それは企業にとっても社員にとってもWIN-WINで、結果がでることで社員の評価や昇給に繋がりモチベーションアップに効果的です。

また自分の適性を見極め、仕事を任せてくれているという企業や組織へのエンゲージメントアップも図れます。

人事における適材適所から得られる効果

労働生産性の向上

適性がある仕事なので、適性のない仕事よりも覚えるスピードも早く、ある程度仕事に余裕が生まれます。

短時間で同等の業務を行うことが可能になったり、新たに業務の効率化に貢献するなど会社の生産性を向上させます。

定着率アップと組織の活性化

モチベーションを上げて働き、自社に対してのエンゲージメントも向上している状況ですので、自社でもっと頑張ろうと前向きに業務についてくれます。

定着率の向上とそのポジティブな発信は周囲にも影響し、職場や組織の活性化にもつながります。

適材適所のデメリットとは

  1. 適性がない場合には、余計にストレスを感じてしまう
  2. 適性判断の相違によって、会社や配属先への不満が出ることもある
  3. 顕在的な能力の他に、潜在的な能力を判断することが難しく、教育的観点からは潜在的可能性をつぶしてしまう

適性があったとしても、本人の意向を汲み取らずに人事配属を決めてしまうと、それがストレスになることがあります。「会社は自分のことを分かってくれていない」「やりたい仕事はこれじゃなかった」などの不満が生まれます。最悪の場合、離職につながる可能性すらあります。

また、適性があるかどうかをきちんと見定めることも難しい問題です。顕在的なものであれば分かりやすいのですが、潜在的な能力をどう見極めるのか、事前に考慮しておく必要があります。その際には、従業員にも潜在的な能力をどう見極めているのかをきちんと説明することで「自分のことをちゃんと見てくれている」と思ってもらうことが大切です。

適材適所の注意点とは

注意点としては、能力があること=適所というわけではないことです。例えば、入社以来ずっと営業を担当し、高成績である社員であっても、「お客様の曖昧な要望を明確に定義できる」ことが強みであれば、開発部門に適している可能性もあります。どんな能力を持っているのか、噛み砕いていくことが大切です。

また必ずしも、やりたいこと=適所になるわけでもありません。特に新卒などの未経験採用の場合、本人がやりたいことの理想と実際の現場での現実が異なっている可能性もあります。やりたいことを重視して配属をするのは非常に大切ですが、「こんなはずじゃなかった」と業務内容でミスマッチが発生させないようにすることはより重要で、人事担当者に求められるスキルです。

やりたいことは「ライフイベント(結婚や昇進)や個人の成長」などによって変化していきます。これは価値観が変化することによって生じます。結婚前は挑戦志向で失敗を恐れなかったが、結婚後は安定志向になる、などの価値観が徐々に変化していくことは往々にして起こります。また、より自己成長したいと考えた際に、今の部署や会社では限界があると考えた場合には、転職なども選択肢として入ってしまいます。

定期的に適性やスキルを見直し、正当に評価して人事配置に活かす事が、人事の適材適所を実現するために必要です。

適材適所を実現するために、社員一人一人を理解する

適材適所の実現は非常に難しい問題です。単純に人を配置するものではないので、一人ひとりの適性ややりたいこと、価値観と向き合う必要があります。

ですが、適材適所から様々なメリットが得られることは事実です。適材適所を確実に行うためには、注意点やデメリットについてもきちんと把握しておくことが人事担当者に求められているのです。

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