就業手当はいくらもらえる?気になる計算方法と総額について

「就業手当」は損するケースもある制度

失業後に転職活動を頑張る時、また頑張って就職先が見つかった時に、国から出る手当が幾つかあります。失業保険を受け取っている人が、1年未満の契約の仕事を決めた時に受け取れるものが「就業手当」です。

似ているものとして1年以上の雇用が決まった時に受け取れる「再就職手当」がありますが、これらは別物です。これらの違いのうち最も大きいのは「就業手当」は“一時的な仕事しか決まっていないのに”本来もらえたはずの失業保険の30%しかもらえない点です。

失業保険だけでは生活ができなくなり、アルバイトをせざるを得ない時や、就業のタイミングや期間の条件がピッタリ合った時は助かる事もあります。今回は具体的に「就業手当」は幾らぐらい、どのタイミングで貰えるのかお伝えします。

「幾ら・どうやって・いつ」を知って、判断しよう

就業手当の計算式はとてもシンプルで、下記の式で計算されます。

基本手当日額(1日あたり受け取れる失業保険額)×30%
※年齢の範囲ごとに上限が決められていて、60歳未満は1,821円。(平成29年8月1日時点)

計算式はシンプルなのですが、厄介なのは「就業手当」の申請は任意であるということ、そして申請をした場合は失業保険を受け取れる「支給残日数」がその分減るとい事です。申請した方が得か、損かを考えるために具体的な数字を用いて計算をしてみましょう。

就業手当を申請する場合の具体例について

  • 基本手当日額:6,000円
  • 所定給付日数:180日
  • 支給残日数:90日(仕事が始まる前日まで)
  • 働いた日:30日
  • 支給残日数から働いた日を引いた日数:90日– 30日=60日

まずは1日分が上限に達していないか計算で確認します。
6,000円×30%=1,800円 > 1,821円

上限に達していないので、1,800円のままで計算できますね。上記例の場合「就業手当」が受け取れるのは、180日の半分の90日分なので、90日を掛けましょう。

6,000(基本手当日額)×30%×30日分=54,000円

就業手当は申請した日数が終わっても、所定給付日数が残っていたら再び失業保険を受け取ることができます。ですので、次に仕事後に受け取れる失業保険を計算しましょう。

6,000(基本手当日額)×60日=360,000円

申請した場合の国から受給できる金額の合計は下記となります。

54,000円+360,000円=414,000円

就業手当を申請しない場合の具体例について

しない場合はシンプルです。上記の例で言うと、基本手当日額と支給残日数をかけた金額になります。
6,000円×90日=540,000円

比較すると540,000円>414,000円の構図が成り立ち、申請しない方がもらえる金額が多くなります。

誤解のないようにお伝えしておくと、すべて申請しない方が良いのではないということです。例えば仕事の契約期間の最終日が、失業保険の受け取れる期間(基本的には失業後1年)を過ぎていれば、申請する方が得なこともあります。何故なら、1日4時間以上の労働は失業給付の支給が「先送り」になります。減額されることはないのですが働いた日数分、支給開始日が後ろへずれます。更に、受給できる期間は「離職した日から1年」。先送りで受給期間が1年を越えてしまうと受け取れたはずの失業保険が失効してしまうのです。

失業保険だけでは生活費が賄えないと、どうしてもアルバイトをしなくてはならない事もあります。直近で仕事をせざるをえなかった時も「アルバイト代+就業保険」の選択肢を選ぶ事があるのです。

就業手当の手続き方法について

「就業手当」を受け取る時の手続きの流れです。

1.就業する

就業とは「契約期間が7日以上」「週の労働時間が20時間以上」「1週間に4日以上働く」の条件がそろったものです。

アルバイトやパート、派遣でもこちらの条件が揃えば「就業」です。

2. ハローワークに書類提出する

就業手当の申請は、原則4週間に1回ある認定日ごとに行います。

就業したことを証明する「就業手当支給申請書」「雇用保険受給資格者証」「給与明細」などの書類を、ハローワークに認定日ごとに提出しましょう。

気になる振り込みはいつ?

認定日に書類を提出した翌日から1週間以内に、指定した口座に就業手当が振り込まれます。4週間ごと申請しなくてはいけない事を認識しておきましょう。

ベストは計画的な転職活動

「就業手当」は失業保険の30%であるため、助成金としての受給総額は減ってしまう事が多い制度です。何らかの事情で短期の仕事をしなければならないケースでないと損なので、正社員として転職を考えるのであれば基本的に無縁でしょう。

今日明日のお金が必要で短期の仕事をしなくてはならない場合は、受給することも選択肢に入ってきますが、ベストはしっかりと助成金をもらって転職活動に打ち込むことです。転職活動は前もって計画を立て、貯金をしっかりしてから挑むことをお勧めします。

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